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戦記 短編

アメリカの戦争犯罪

作者: 戦争裁判員

8月2日 日本本土に侵入したB29は八王子市は炎上し、廃墟となった。当時、日本には燃料備蓄が少なく、来るべき本土決戦に備えて搭乗員等を温存する方針を軍部は執っていた。その為、悠々と本土に米軍機が侵入するようになっていたのだ。



8月5日 先の空襲で中央本線は不通となっていたが、懸命な復旧作業によって全面運転が再開となった。


開通初日に運行された列車が419列車。


「では、お父さん。行って参ります。」


419列車には富士演習場に向う19名の軍関係者が乗る2等車と荷物車が連結されていた。しかし、出発は1時間遅れとなっていた。その少し前から空襲警報が鳴り響き


「早く出せ!」


「トンネルに入れば安全だからさっさと出せ!!。」


乗客等は機関士等の列車運行責任者等に怒声を浴びせていた。ここで、機関士等は0時15分に出発し、湯の花トンネルに向って全速力で走った。


第一浅川橋梁を通過し湯の川トンネル手前で


「お、おい!戦闘機が来るぞ!!。」


アメリカ軍のP-51が列車を捕捉した。そして、23センチロケット弾を放ってきた


「伏せろ!!」


民間人はパニックになっており、同乗している軍関係者の指示が聞こえた者は極少数しかいなかった。ロケット弾は運よく外れたが、次に機銃を放ってきた。


「ぎゃああ!」


「きゃああ!」


特に1号車は激しく銃撃され、中に居た乗客の大勢は虐殺された。列車はスピードを落とし始め、トンネルに2両目の半分程度が入った所で列車は停止した。


「おい、全部入らないのか!?」


「機関士が遣られたらしい。」


「くっそ。全員前に行け!!。」


しかし、この指示を聞いた人は少なく、殆どの者は車外へと飛び出た。そこへ、戻ってきた戦闘機が再び機銃掃射を開始する。


窓ガラスは割れ、車内に居た者は機銃弾で遣られていく。暫く反復攻撃が続き、ようやく帰還して行った。


車内は悲惨な惨状だった。ハラワタが出ている者、腕の関節を撃たれて腕が有り得ない方向に曲がっている者。5歳くらいの子供が亡くなり、半狂乱になって泣いている母親の姿まであった。肉片等や指先と思われるものまで転がっている。


この後、事件を聞きつけた地元消防団や婦人会の人たちが救助活動を手伝った。機関車を遣られた為、八王子機関区から蒸気機関車が来て、列車を牽引して車庫に戻る。



-車掌の証言-


「車両には足の踏み場が無いほどの血の海だった。貴重品や手荷物等が床に散乱しており、車輪や床に死に物狂いであえぐ数人。傷口から血が流れ出ていたが、これを救う方法が私には無かった。」


この車掌は僅か18歳の女性で、終戦後に国鉄を退職している。



この攻撃で49名(65名等の説あり)が亡くなり、負傷者は130名以上であった。戦時下のため、正確な情報ではないが実際に起きた事である。


毎年、8月5日には地元住民が主体となって慰霊祭が行われている。

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― 新着の感想 ―
[一言] 決して米国を擁護するつもりはありませんが、列車、鉄路は重要な戦略目標の一つであったはずです……。攻撃されても仕方の無い側面はあります。 民間人が多数乗っていたとはいえ、上空から見れば軍需物資…
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