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さよなら、  作者: 菜の花
8/8

さよなら、シンデレラ


非日常の魔法にかけられて

ドレスがふわりと宙を舞い

ガラスの靴は愉快に踊る


憧れのプリンスと手を取って

光の舞踏会に心が躍る

きらめくシャンデリアの下で

私が主人公になる


廃れた日常を忘れて

夢の中を泳いでゆく

今日だけはおとぎ話のヒロインなんだから


けれど永遠にはいられない

プリンスに別れを告げ

星のようにゆらり

消えてゆくハイヒールで

階段を駆け下りる


キラキラのドレスは

朝の光に包まれて

昨日の空に溶けていった

私の手からこぼれ落ちてゆく


あの瞬間(とき)、胸で高鳴った鼓動

プリンスの柔らかな笑顔も

凛とした声も

風に揺られる髪も

すべて思い出になってしまう


それでも

確かに私は踊っていた

たとえ魔法が溶けたとしても

胸の奥に残る余韻と

プリンスの微笑みは

確かに存在した記憶


昨日の煌めきは

少しずつ色褪せてゆくけれど

キラキラのドレスも

ガラスの靴も

昨日の夜空に溶けて

星屑に変わったのだから

きっとまた私を照らしてくれる


もう魔法に頼らない

頼らなくたってきっと

ずっと私はこの物語の主人公なんだ


あの夜が教えてくれた勇気は

心の奥でそっと輝く

あたたかく輝いている


──さよなら、シンデレラ

夢を胸にしまって

私は私の物語を歩いてゆく

ご覧いただきありがとうございました。


昨日までの私に、さよなら。


誰かに届きますように。

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