クソゲー界のブラックダイヤモンド!『トイレ・オブ・ザ・デッド』レビュー
世のゲーマー諸君、安息の時は来た。
いや、違うな、便器の時が来たのだ!
今回私がレビューするのは、クソゲー界に激震を走らせ、そのあまりの酷さで逆に伝説と化した問題作『トイレ・オブ・ザ・デッド』だ。
まず言っておこう、このゲーム、紛うことなきクソゲーである。
だがしかし、そのクソさ加減は、例えるならドブ川に咲いた一輪の蓮…いや、ドブ川に浮かぶトイレットペーパーの芯くらいには、我々ゲームマニアの心を揺さぶる何かを持っているのだ。
物語は至ってシンプル。
突如としてトイレに魂が宿り、人間を便器の中に引きずり込もうとする恐怖を描いた…トイレ・ホラーアクションRPGだ。
ジャンルからして既におかしい。
だが、この時点で引き返そうとしたそこの君は甘い! クソゲーの真髄はここからだ!
プレイヤーはトイレ掃除人となり、特殊なトイレブラシ「エクス・カリバーン」を手に、凶悪なトイレどもと戦う。
戦闘システムはターン制で、プレイヤーは「磨く」「流す」「詰まらせる」などのコマンドを選択し、敵トイレのHP…もとい、清潔度を削っていく。
これがまた、シュール極まりない。
トイレの攻撃方法も、当然ながら常軌を逸している。
水鉄砲攻撃は序の口、「うんこミサイル」「トイレットペーパー拘束」「吸い込みブラックホール」など、小学生でも思いつかないような下品な技のオンパレードだ。
グラフィックは、PS2初期を彷彿とさせるローポリゴン。
トイレの質感だけは妙にリアルで、見ているだけでお尻がムズムズしてくる。
BGMは終始チープな電子音で、戦闘中にかかる緊迫感ゼロの音楽は、むしろプレイヤーの精神を攻撃してくる。
操作性も劣悪。移動はカクカク、カメラワークはガタガタ、そして何より致命的なのが、ボタン配置が意味不明なこと。
L1で磨く、R2で流す、□ボタンでなぜか脱臭剤を投げる。
この操作に慣れるまで、何度コントローラーを便器に投げ捨てようと思ったことか…!
しかし、だ。このゲーム、酷い、酷いと言いながらも、なぜかプレイを止めることができない。
それは、開発者の狂気とも言える情熱が、ゲームの隅々から滲み出ているからだろう。
例えば、敵トイレの種類は豊富で、洋式、和式はもちろん、小便器型、ウォシュレット付き、果ては黄金に輝く王様トイレまで登場する。
それぞれに固有の攻撃パターンや弱点が設定されており、そのバカバカしさに笑いを禁じ得ない。
そして、最もエモいのが、トイレたちの悲しい過去だ。
ストーリーを進めるうちに、彼らがなぜ人間を憎むようになったのか、その哀愁漂うエピソードが明らかになっていく。
汚物まみれだった過去を持つトイレ、人間によって破壊されたトイレ、人間に愛されなかったトイレ…。
彼らの切ない物語は、プレイヤーの心を打ち、涙なしには語れない…(嘘だ、笑いすぎて涙が出る)。
『トイレ・オブ・ザ・デッド』は、確かにクソゲーだ。
文字通りのクソゲーだ。
だが、それは単なるゴミではない。
開発者の狂気、そしてトイレへの歪んだ愛が詰まった、唯一無二のクソゲーなのだ。
このレビューを読んで、少しでも気になったゲーマー諸君。騙されたと思って、一度プレイしてみてほしい。
このゲームは、きっとあなたのゲーム人生に、強烈な…そして臭い思い出を残してくれるはずだ。
総合評価:星1つ(星5つ中)…だが、星5つでは足りないほどの魅力を秘めた、クソゲー界のブラックダイヤモンドである。
追記:クリア後、しばらくトイレに行くのが怖くなったのは、私だけではないはずだ。