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蜘蛛の床  作者: ただけん
「タランチュラ」
9/57

一難去って

この物語はフィクションです。

「…たった一発入ったくらいで勝った気になってんじゃねぇよ」

頭から血がダラダラ垂れてくるエンツァイ。

「確かに!まだ勝ってないな!」

ニヤリと笑ったクレイが松葉杖で容赦なくエンツァイの顔面をぶっ叩く。よろけるエンツァイ。そしてスタスタと何事もなかったかのように両足で歩いて落ちた銃を拾った。…は?

「ギプスはお前を騙すための偽装でしかない。歯車、悪かったな嘘ついて、骨折したのは嘘だ」

敵を欺くには味方からってか、心配を返せ。

「クッソ…いてぇ、やってくれたな」

顔面血塗れのエンツァイから鋭い眼光が飛ぶ。クレイが笑って銃を撃った。今回はしっかり両手で構えていたので、外すわけがなかった。銃弾はエンツァイの腹に命中した。

「…ゲホッ…ここで終わるかよ…!」

エンツァイが苦しそうに呟く。クレイは迷わず二発目を撃った。が、エンツァイは避けた。マジか、あれだけのダメージをくらってまともに動けるのか。

「じゃあな…、白髪と鉄パイプ。また会うだろう」

エンツァイが窓を開けて飛び降りた。ここは…クソ、二階か。不意に声がした。

「どけ、俺の出番だ」

刺されて倒れたはずのオーロンがスナイパーライフルを持って隣にいた。

「え?お前動くな!まだ止血もしてないのに…」

「いいからどけ!」

俺を跳ね飛ばしてオーロンが窓から照準を合わせる。一秒前後で照準を合わせ終わると、一発。

バンッ

「チッ…なんで動けるんだよ…」

オーロンが呟く。

「当たったのか?」

「もちろん。体の芯を狙ったはずなんだがな…。あの野郎平然と走り去っていった」

言い忘れていたが、オーロンは優秀なスナイパーだ。外さないのは当たり前と言えるだろう。

「つーかお前早く止血しろ!腹刺されてるだろ!」

「え?あぁ…」

そう言った瞬間に後ろに倒れるオーロン。すかさずクレイが支える。

「ほーら言わんこっちゃない…」

「3人とも運ばないと…貝殻は置いていっていいか…」

「それがいいな。歯車はオカリナを頼んだ」

「待って待って待って、なんで俺置いていくことになってるの!?」

よし、起きたな。

「つーか敵軍は退いたのか?さっきから銃声聞こえないけど」

そういえば確かにさっきから銃声は聞こえない。

「とにかく医務室まで運ぶぞ、立ち話できる時間なさそうだし…」


医務室に着いた時、そこは地獄絵図だった。怪我人で埋め尽くされていて、血の臭いが充満していた。カールたちを運び込んだあと、今回の状況をもらった。エンツァイ率いる「ルタードの口」のやつらと敵軍の連合軍に苦戦し、かなりの死傷者を出したようだ。やっぱ司令部ぶっ殺した方がよかったかな…。


一週間後。カールは足に被弾しただけで、弾も貫通していたのでなんともなかった。さらにオーロンに刺さったナイフは服だとかが食い止めたらしく、浅かったので大した大ごとにならなかった。一番きつかったのはクレイだった。動いた時に傷が開いたようで、医師にめちゃくちゃ怒られていた(俺はともかく、なぜかランディも多少の擦り傷で済んでいた。運だけはいいやつだ、本当に)。

「ダレク、ダレク?なーにぼーっとしてんの?」

「お前の分のチョコレート食べるぞ」

クレイともう歩けるくらいまで回復したオーロンが声をかけてくる。

「お前らまだ自分の分も食べてないじゃないか」

ちぇーっ、と残念そうにする二人。ベッドにいるカールはうるさそうに笑っている。ランディは自分のチョコレートを食べ終えたらしく、クレイの分に手を伸ばしていた。

「あっ何してんだこのやろーw!」

笑ってランディを軽くこづくクレイ。こんな時間がずっと続けばいいんだけどな…。

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