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蜘蛛の床  作者: ただけん
ヘレヴェール奪還作戦
56/57

胸騒ぎ

この物語はフィクションです。

「なんかねぇ…変な胸騒ぎがするんだよな」

オーロンもそのようだ。

「今日は特になんもないな…強いていえば午後から雨降るくらいか」

カールがテレビに視線を戻して言った。

「それなら午前中にクレイのとこ行ったほうがいいな」

オーロンの言う通りだ。雨はごめんだからな。

「ダレクが食い終わったら行くからな。用意しとけよ」

「あー!今の特集見たかった!」

カールが切った電源を急いで付け直すランディ。この光景を見ていると平和ボケしそうだ。クレイの怪我が治り次第前線復帰なのに、これではたるみすぎな気がするな。

「ダレク、急がなくていいからな」

テレビに釘付けのランディが言ってきた。

「急ぎたくても急げねぇよ、誰かさんがブラック持ってくるせいで…うぅん、まだ苦い」

ランディの表情にはかなりの悪意が見えた。あの野郎…。俺がミルクと砂糖をマシマシにしていると、不意に破裂音がした。窓ガラスが割れたようだ。…ここは3階のはずなんだが。次の瞬間、ランディが叫んだ。

「伏せろ!」

考えるより早く体が動いた。直後に凄まじい爆発音がする。コーヒーが入ったマグカップは粉々になっていた。部屋中にコーヒーが散乱している。俺にも多少かかった。

「全員警戒、そして戦闘準備しろ!」

「了解!」

カールが素早く銃を取り、玄関に向かった。オーロンも続く。俺もすぐさま戦闘服を引っ掴み、着替える。

「歯車と貝殻で窓方面を、俺と包帯で玄関側を見る。お互いに何かあったらすぐに連絡しろ」

カールがきびきびと指示を飛ばす。オーロンが付け足した。

「あと、無理するなよ。怪我の心配はあいつだけで十分だ」


粉々になった窓ガラスを乗り越え、外を確認する。早朝とは対照的に人通りが多く、襲撃の犯人がいても全く気づかないだろう。不意にランディが脇腹を突いてきた。そして、無言で玄関を指した。俺は小さく頷き、素早く遮蔽物に身を隠した。


軽快な音が鳴る。玄関のチャイムは無情だ。こんな有事でも明るい音を鳴らす。

「宅配でーす。開けてくださーい」

やはり聞き覚えのある声。向こう側もわかっているのだろう。最低限の演技だ。

「返事がないってことは入っていいね?」

犯罪者的思考だな、鉛玉で迎えてやろうか?ドアノブが少し回った時だった。

バン!

と一発の銃声が響いた。銃を撃ったのは最前にいたカールだった。銃弾はドアを貫通したようだ。くっきりと銃痕が残ってる。外からはゲホゲホ言う声が聞こえてくる。そんなことは気にも留めずカールは扉を開けた。

「どうもいらっしゃい侵入者!」

腹を抑えたそいつにカールが蹴りを入れた。

「ゲホッ…ぁぁああ…はぁ…はぁ…ドアごと撃ち抜くとか頭イカれてるだろ…」

侵入者は立ってるだけできつそうだ。血がボタボタと地面にシミを作っていた。

「そりゃどうも、お互い様だ」

カールがさらに顔面に拳を叩き込む。が、侵入者はその手を払った。

「…次会う時は必ず殺す」

「あぁそう、次はないから残念だな!」

カールが至近距離で2発撃った。普通はかわせないが、そいつは超人的な動きでかわしてみせた。そのまま窓を破り、飛び降りていった。

「逃さねぇよ」

すかさずオーロンがスナイパーライフルを構える。毎度どこから取り出すのか、気づいたら時には構えている。

「…足…あ、着地失敗してる」

オーロンがスコープを覗きながら呟いた。カールが言った。

「…放っておいたら死ぬな」

ランディがすぐに階段に向けて走り出した。


下に着いた時、そいつは呻いていた。

「ぅぅ…痛…い」

3階から飛び降りたなら、両足が使い物にならないくらいにはなってるだろう。にしても、ルタード内では窓を破って飛び降りるのがブームなのかってくらいにはみんな飛び降りるな。

「一旦拘束して病院送りにしよう。尋問はまた後で。担架あるか?」

ランディが怪我の具合を見て言った。

「…なんで俺のことを殺さない?」

カールがそいつの顔に蹴りを入れた。

「死にたいか?」

「オカリナ、敵だけど一応怪我人。無闇に攻撃を加えるなよ」

ランディがカールを制する。カールはフンと鼻を鳴らして自分の銃に目をやった。

「おいクソ、よく聞け。わかってるだろうけど、なんかしたら容赦なく頭を撃ち抜く。いいな?」

侵入者はコクコクと頷くしかなかった。

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