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蜘蛛の床  作者: ただけん
「タランチュラ」
23/57

吹き崩れる風

この物語はフィクションです。

ヒュンッという風を切る音とともにカールが横薙ぎにナイフを振るが、空を切る。

「ハハッ!おせぇよ!」

身をかがめてかわしたクレイは、ナイフを振ったことでできたカールの右下の空間に身を滑り込ませる。

「脇腹もーらいっ!」

クレイのナイフがカールの右脇腹に向かう。が、カールは簡単に弾き返し、距離を取る。クレイは止まらなかった。距離は一瞬で詰められ、カールの首元にナイフが飛ぶ。カールは瞬きもせずナイフを首元ギリギリで止める。

「どう?あと少し力入れたらお前死ぬよ?」

「そうか、じゃあ力が入らないようにすればいいな」

ドフ、みたいな鈍くて布越しみたいな音が響く。カールの膝がクレイの鳩尾にモロに入ったのだ。

「う…モロに入った…クソ」

クレイが腹をさすりながらカールを睨みつける。今度はカールのターンだ。カールの右ストレートがクレイの顔面を強打する。よろめいて雪の中に倒れるクレイ。カールはちらっと見た後、

「…もうちょいやると思ってたんだがな」

と言い、背を向けた。背を向けてはダメだ、と叫ぼうとしたが、遅かった。起き上がったクレイがカールに飛び蹴りをくらわせた。カールの左手からナイフが離れた。正面から倒れるカールに対して、クレイは顔に蹴りを入れた。

「あのくらいで!俺が!この俺が!くたばると思ってんのか!」

ちょっとまずいかもな、止めないと。俺はクレイの肩に手を置いて言った。

「おい、暴風、そろそろや…」

ギュンッという音とともにクレイのナイフが俺の頬を切り裂く。

「あ?邪魔、殺すぞ」

クレイがナイフの先端が俺の喉元に向けてきた。

「やめろ、思い直せ。後で絶対に後悔する」

「しないな。こいつを今ここで殺せば俺が一番強くなれる」

「お前どうかしてるよ、頭を冷やせ」

と言ったあたりでクレイの後ろからゴンッと音が鳴り、クレイが倒れる。俺の喉元を向いたナイフがあるんだが。少しは気をつけてくれ。

「…とりあえずはこれでいいな」

音の主はオーロンだった。どうやらクレイの頭を銃床で殴ったらしい。

「帰還がかなりだるくなったぞ。どうする包帯」

「こいつら背負っていくしかないだろ」

「…総量60kg超える計算にならないか?」

「うーん」

どうしたものかと悩んでいると、遠くに何かが見えた。

「あれは…味方じゃないか?」

双眼鏡をのぞいてオーロンが言う。

「俺たちを探しにきたのか?なら位置を知らせないと!」

「銃を撃て!」

オーロンが空に向けて発報した。俺も発報する。味方はこちらに気が付いたようだ。ああ、助かった。

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