表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蜘蛛の床  作者: ただけん
「タランチュラ」
19/57

白い悪魔

この物語はフィクションです。

「敵の皆さんは年中無休かよ、なあ?」

クレイが防寒着を着ながら言う。

「当たり前だろ、仮にもここ前線なんだし」

カールが正論を返すのでクレイはイライラしながら言った。

「皮肉だよひ、に、く。まったく…」

多分だけどこれは朝食がなくなったことに対する苛立ちだろう。


外は雪が降っていて、少し積もりつつあった。ヘルテル司令の行動開始で全てがまた始まった。

「今回は丘から奇襲か、なんか俺たち奇襲多くないか?」

オーロンが歩きながら指示を確認する。ちなみに今回の作戦はランディが参加できないので、オーロンが隊長となっている。

「あれだろ、特殊部隊にしかできない仕事ってやつだよ」

カールがサイレンサーが取り付けられたアサルトを担ぎ直して言った。今回もまた重装備だ、嫌になる。

「吹雪で数メートル先も見えねぇな、目の前から出てきた敵さんとエンカウント即射殺もあり得るって訳か。ちょっと燃えてきたぜ」

寒さに堪えていた戦闘狂は燃えていた。この前みたいに単騎で突っ込まないで欲しいものだ。

「それよりも、遭難しないようにしろよ。はぐれたら本当に生きて帰ってこれない。来年の春に骨として発見されるだろうよ」

オーロンが警告するように独り言を言う。そこからは会話は途切れた。


「さて、作戦ポイントはここのはずだが」

吹雪でまともに周りが見えない。敵を迎え撃つどころじゃない大雪だった。雪中戦特化の防寒着は着ていたが、この寒さと大雪があと何日、何週間続くかわからない今、体温をあまり失いたく無いのは事実だった。

「おい、作戦中止とか無いのか?包帯、無線からはなんか無いのか?」

「全く無い…あっ…」

オーロンが青ざめる。どうしたんだ。

「…無線持ってくるの忘れた気がする」

その場の全員が膝から崩れ落ちる。

「おい何してんだよ…」

クレイが頭を抱えるが、カールは冷静だった。

「取りに戻るよりも今を耐えたほうがいいだろう。凍死したら戻ることも作戦を実行することもできない。テントとかあるだろ、風を凌げるだけでマシになるはずだ」

カールがテキパキと作業を始めたので、クレイは黙って続いた。俺とオーロンもそれを手伝う。こうして防衛作戦は、生存作戦となった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ