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蜘蛛の床  作者: ただけん
「タランチュラ」
14/57

激昂

この物語はフィクションです。

「あんた負けたらどうするつもりさ?この短期間に司令が二回も変わるなんて前代未聞だよ?」

「私はお前に負けるつもりなど毛頭ない」

ヘルテル代理司令がキッパリ言うと、ヒョロヒョロ男は笑ってこっちに突っ込んでくる。速い、その体型からは想像できないほどの身のこなしで近づいてくる男。

「ヒャハ、死に晒せ!」

男は凄まじい速度でナイフを振り下ろす。食らったら致命傷だろう。しかし、ヘルテル代理司令は完璧に合わせ、防ぎ切る。

「貧弱な力だな、それでもルタードの幹部か?」

「ヘッ、「ルタードの口」は教祖に対する忠誠心が強けりゃ強いほど権力がもらえるのさ!」

男は軽く後ろに下がり笑って言った。ゲスい、真っ黒い笑みだ、見たくもない。

「だから俺はよ、他の奴らが必死にあげた成果を奪い取って上がったのさ!世の中正直者が馬鹿を見るんだよ!面白かったぜ?やめてください、お願いします、って地べたに頭擦り付けて命乞いすんだぜ?」

「…てめえとことんクズだな!」

司令の後ろで話を聞いていたランディが叫ぶ。男は表情を変えずに、吐き捨てるように言った。

「黙ってな坊や、俺は子供が大っ嫌いでね、黙らないと容赦なく殺すよ?」

「そのまま返すぜお坊ちゃん幹部!」

ランディがからかい口調で言った瞬間、男の表情が急変する。怒りに震えてるようだ。

「どうした?言い返す言葉も出な…」

バンッ!!

ランディがさらに挑発した瞬間、男が発砲した。弾はランディの胸に命中した。そのまま膝から崩れ落ちるランディ。

「そうそう、命乞いする奴らは全員こんなふうに殺してやったよ」

ヘルテル代理司令の護衛たちがランディを抱えて退場するのをニヤニヤしながら見ている男。抑えきれないほどの怒りと殺意が沸いてきた。

「特にあれが面白かったな、手足全部撃ち抜いてから頭ボコボコに殴って嬲り殺してやった時だ。顔面が原型留めてなくてさぁ…最高に愉快だったよ…」

ニヤニヤした表情で悍ましいことをつらつらと話す男。

「フン、実力で上がってこなかったなら真正面から私とやり合っていいのか?今当たった感じからして、お前一分も持たないぞ」

「ヒヒッ、あんた、俺が真正面からやると思ってるのか、そりゃ間違いだ」

そう言い終わるか終わらないかくらいで男は銃を撃った。弾は代理司令の足を貫いた。銃の腕だけはいいな、あのクソ野郎。

「さて、歩けなくなったな。それじゃあ回避ができないなぁ…さらにもう一発!」

男は代理司令の肩を狙ったつもりだろう。が、代理司令は身をよじってなんとかかわした。

「なんで当たってくれないかなぁ?あんたもどうせすぐ俺に撃たれた坊やと、爆発に巻き込まれちゃった哀れな坊やと同じ場所に行くことになるだろうよ」

やはりここは俺たちが加勢するべきか、俺はそうしたかった。普段と違って今非常に腹が立っている。このクソ野郎をぶっ殺してやりたい気分だった。

「勝手に殺してんじゃねぇよ…」

司令以外の目線が声の方向に向いた。そこには、倉庫の瓦礫の山から出てくるクレイがいた。おいおい、血まみれじゃねえか、あまり動くなよ。

「暴風、動くな、とりあえず止血を…」

と言うオーロンの声が聞こえていないようだった。多分周りも見えていないだろう。俺の目にはクレイの表情が見えていた。今まで見たこともないような怒りだった。雰囲気と気配だけで人を殺せそうなオーラを纏っていた。

「おい、ゲス、俺とやれ。てめえみたいな自己中胸糞野郎が俺は大っ嫌いだ」

「…あのさ、俺が子供嫌いだってさっき言ったよな?お前には話しかけられたくもないんだけど」

「あっそ」

二人の間に殺気と殺気の火花が散った。

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