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蜘蛛の床  作者: ただけん
「タランチュラ」
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「蜘蛛」の日常

この物語はフィクションです。

訓練後、仲間達とともに焚き火を囲んで食べ物を焼く。この生活の唯一の楽しみだった。本当はこの時間食事禁止なんだけど、俺たちが特殊部隊だからか、はたまた教官の気分か、そのおかげでこの時間が確保されていた。

「ダレク、肉もうちょっとくれないか?」

「食べないならこっちがもらうよ?」

向かいにいるクレイとオーロンが声をかけてくる。見るとあっちの皿から肉が全て消えていた。ただし野菜が多少残ってたが。

「悪い、少しぼーっとしてた。お前らは野菜しっかり食えよ」

ちぇーっ、と残念そうに、でもニヤニヤ笑いながら野菜にかじりつくあっちの面々。こんな時間がずっと続けばいいのにな…。


しかし続くはずもなく、9時には消灯なので大人しく寮のベッドに身を投げる。ベッドといっても、めちゃくちゃに硬いから快適には程遠い。でも疲れた体を休めるには十分だ(いや、そうでもないかもしれない…)。なんにしても明日も訓練と見張りだ。早く寝た方がいいだろう。


ジリリリリリリリリリリ…

爆音で流れるベルの音で目を覚ますが、それよりももっと目を覚ます出来事があった。このベル、空襲警報だ。わかりにくいわ。さて、呑気なこと言ってる場合じゃないな。早く着替えて応戦だ。

「おい寝坊助?流石に起きてるよな?」

心配になったのかランディが声をかけてきた。

「心配ご無用」

素早く軍服に着替えて寮を飛び出す。


多分だが、今回上空を飛んだのは偵察機な気がするなぁ、とクレイに話した瞬間に爆発音。近い、まずいな。なにせここはガッツリ前線。重要な補給路だ。ここが落ちたら前線が落ちたも同然。

「総員戦闘準備。迎撃せよ」

指令はこんな感じ。当たり前だってんだよ。


迷彩服ってThe・戦闘服って感じでかっこいいよな、と思っていた訓練生時代の俺をぶん殴りたい。こんなの死装束と変わらない。

「腹減ったな。一口でいいからなんか食えるものない?」

「同感だ。チョコレートくらいくれないかなぁ…」

クレイとカールが愚痴をこぼしながら銃に弾をこめていた。2人とも楽しみにしている朝食がなくなってイライラがMAXになりつつあるな。そんな2人を横目に見つつ、俺は銃の整備をしていた。


敵の姿が見えたらしい。戦車12台に歩兵を積んだジープがいっぱい、対空砲やらなんやらもいる。…頼むから冗談であってくれ。戦車ねぇ…どうするか。


「行動開始」

その合図とともに兵士たちが一斉に各持ち場につく。もちろん俺たち「タランチュラ」も。今回は拳銃2丁にアサルトライフル、ナイフの他に少しの食料と水を持って行くので非常に重装備だ。正直に言うと重装備は嫌いだ。重くて、機動力が下がるしな。それでも上の命令は絶対(俺たちはまあまあな頻度で破っては怒られているが)らしいから、従うしかない。今回の作戦は側面からの奇襲。陽動作戦みたいなもんだな。あわよくば一部撃破を狙う。まあ、無理だろうな、戦車いるから。そもそも戦車相手に歩兵で立ち向かうとか上は頭おかしいのか?東側の奴らは頭が悪いと教えられて来たが、こっち側も十分頭が悪かったようだ。

「ダレク?早くこいよ。銃の整備ももう終わっただろ?」

「もうそろ行くから先に行ってくれ」

クレイ、お前なんでそんな楽しそうなんだよ。能天気なのか、戦闘狂なのか。答えは後者だろうな。

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