『かくれんぼ』
ほどよい広さの公園で、子供たちが、かくれんぼ をしていた。
「もう、いいかい?」
「まーだ、だよ。」
「どうしよう。どうしよう。どこに隠れよう。」
滑り台も、小山の穴も、トイレの裏も使われている。
「もう、いいかい?」
「もう、いいよ。」
「え?、私まだ、隠れてないよ。急がないと。」少女は、防災倉庫の裏へ向かった。
すると、倉庫の裏にキャンプとかによく使われる子供なら入れそうな箱があった。
少女は、箱の影に体を小さくして隠れた。
「こんなんじゃ、すぐに見つかっちゃう…」
じっと、踞る少女。
箱の中から カリ、カリカリ…と引っ掻くような音が中からした。
「なに?何の音?」
すると、中から箱が少し開き、同い年ぐらいの少女が箱から顔を出した。
ビックリした少女は、声を出しそうになったが、箱の女の子が口に指をあて「しー」と言った。
顔を見つめ合う二人。
箱の少女が小声で声をかけた。
「あなたたちも、かくれんぼ してるの?」
「うん。あなたも?」
「でも、飽きちゃった。ねぇ、お名前教えて。」
「?…咲希だけど。」
「咲希ちゃんか、いい名前。」
歌穂ちゃん見つけた。と遠くから友達が見つかった声が聞こえた。
「ねえ、咲希ちゃん。」
「なに?」
「私、おトイレに行きたくなちゃった。少しの間、変わってくれない?」
浩子ちゃん見つけた。また友達が見つかった。
「早くしないと見つかっちゃうよ。」箱の少女が急かす。
「…うん。わかった。」咲希は返事をした。
すると、箱の蓋が開き少女が出てきた。
「あれ?この子どっかで見たことがあるような?」不思議な感じで箱の少女と入れ替わった。
そして、入れ替わり箱に踞る少女。
すると、「咲希ちゃん 見つけた!」と鬼の友達が声をかけた。
「あー、見つかっちゃった。」返事をしたのは箱に居た少女だった。
「咲希ちゃん、誰かと話してた?」
「んうん。誰とも話してないよ。」
「そっか。誰か居た気がしたけど…」
「気のせいだよ。ねぇ、かくれんぼ やめて違う遊びにしようよ。」
「いいよ。なにする?」
箱に入った少女は中から叫んだ。
え?
咲希?
咲希は私じゃないの?
こ、声が出ない。
え?
ここはどこ?
箱から出れない?
え?
咲希は、あの子?
私は誰?
誰か出して…出して…
カリ、カリ、カリカリ…
読んで頂き誠にありがとうございます。
夏のホラー2021 5作品目です。
今回は、王道でシンプルにまとめて見ました。