全ての始まり
光を司るインテグリス聖王国。
闇を司るメガロス闇黒帝国。
大昔、その二つの勢力が協力し、邪神に立ち向かった。
「光を放ち、邪なる神を封ぜよ。」
「闇を放ち、邪なる神を封ぜよ。」
「【封印の儀式】《エターナル・ケーラ》!!」
その騎士団大隊長の二人は聖剣、魔剣を空に交え、そう言い放った。
剣先から出た光と闇が交じり合い、一直線に繋がり《邪神グヴゥルボロス》の中核を貫いていく。
───邪神は動じずにこう言った。
「……貴様らに刻印を与えてやろう」
竜のような姿の邪神は波動を放つと、地は揺れ、天を押し上げるほどの轟音が辺りに鳴り響く。そして波動が多方面に広がり、帝国騎士団大隊長の心臓に収束していく。
「……なに?……ぐはっ……」
帝国騎士団大隊長のカイレンは血を吐いた。
血と言うより赤紫色のような、いかにも人間が出すものではなかった。
「カイレン!?……貴様……何をした……!!」
王国騎士団大隊長のファードは咄嗟に剣を構える。
だがそんなことはつゆ知らず波動を打ち続ける。
その波動が次はファードの体に取り込まれていく。
「……うっ……痛い……」
ファードは心の臓を抱え、うずくまる。
血を吐き、意識が朦朧とする。
「貴様らに刻印を与えると言っただろう。その刻印はな、代々受け継がれていくのだ。そしていずれ、貴様らインテグリス、メガロスは滅んでいく。正に滑稽だな。」
聖剣、魔剣と共に邪神の姿が消えていく。
【封印の儀式】の効果が出てきたようだ。
「封印か……良いだろう。また我が目覚める刻、貴様らの子孫ども根絶やしにしてやる。我を封印したことを後悔するんだな」
高笑いが戦場に響き渡る。
「最後にその刻印について話してやろう。」
「カイレン、貴様は我に対するその《復讐心》が自らを終わらせることになる。」
「ファード、貴様は自分の無力さに怯える《絶望心》が自らを終わらせることになる。」
──ここいらで眠るとしよう。
◆◆◆
邪神は消え、二つの国は救われた。
─────二人の英雄によって。
しかしこの時、世界が混沌に包まれることなど誰も知る由も無かった。
ここまでありがとうございます。
コメントお待ちしてます!