死神6
少年は懲りずに自分好みの事件を求めて死神を求めてさまよっています。
「死神さん、死神さーん、おりませんか。いい感じにテレビのレポーターや新聞記者さんが飛びつきそうな、こう、若くて見た目の良い、お姉ちゃんを取り扱っている死神さんはいらっしゃいませんか。ヘヘッ、いいぞこいつは、またまた死神さんのお出ましだあ」
少年は今度も死神を見つけてはついていきます。
「さてさて、今度こそ僕ちゃんをスターダムにのし上げてくれるようないい感じの生きのいい死にそうな人間だとよろしいのだけれども。とか何とか言っていると死神さんがな何か豪華な佇まいをしたマンションに入って行ったぞ。よし、ここは後をついていって、ってこれじゃあダメだ。マンションの入り口が暗証番号を入力しないと開かないタイプのやつだ。一応インターホンも付いているみたいだしこれでこのマンションの住人に頼んで開けてもらうこともできるみたいだけど、いかんせん部屋番号も何もわかんないもんなあ。どうしよう。そういやさっきの死神さんはどうしたのかな。やっぱり壁とか自動ドアのガラスとかをすり抜けっていったりできるのかなあ」
少年が攻めあぐねているとその後ろからマンションに入ろうとする男が近ずいてくることに気がつきます。
「わっ、人がきたぞ。このマンションに入ろうとしているのかな。ええと、その辺りの物陰に隠れてと」
少年が身を潜めていると男はインターホンに部屋番号を入力して部屋の住人を呼び出してドアを開けてもらいマンションに入っていきました。
「よし、都合がいいぞ。ドアが開いている今の内にマンションに忍びこんじゃおう」
少年はそうしてマンションに入り込むととりあえず先にマンションに入っていったさっきの男の後をつける事にします。
「まんまとマンションに潜入できたのはいいけれどもこれといって当てもないしなあ。ま、さっきの男の後をついて行く事にしますか」
少年が男の後をつけて行くと男はある部屋に到着し、やおらドアを開けるとそのまま閉めもせずに部屋に入っていきます。
「わあ、ドアが開けっ放しだよ。けれども中を覗きやすくてちょうどいいや。どれどれ、あ! 死神さんがいる」
少年が入った部屋には死神のおじいさんがいました。