死神4
見物客に不審がられた少年は呟きます。
「いやあ、危ないところだったなあ。死にそうな人間に生き死にがわかるなんてことが人様に知られたらいろいろ面倒なことになりそうだもんな。それにしても、あの死神の言ったことは本当だったんだなあ。頭から血を流している人間が死なずに意識を取り戻したもんなあ。しかしあの救急車で運ばれた人には悪いことをしちゃったかもなあ。もう少し早く二人目の死神さんを見つけて追いかけていれば怪我をする瞬間に間に合ったかもしれないもんなあ。そうすればあのお兄さんがどうして怪我をしたのか、事故だったのか、誰かに殴られたのか目撃できたのになあ」
少年はしばらく残念がっていましたがふとある事を思いつきました。
「そうか、さっきまで話していた死神のおじいさんみたいな人を探して、見つけて、ついて行けばいいんだ。見つけられるのは寿命でくたばりそうな年寄りかもしれない。その場合はどうしようもない。ひょっとしたら峠を迎えている病人かもしれない。この時は、まあ、僕はしがない浪人生だからほっておくしかないなあ。でも、もしかしたら、もしかしたら殺人事件が今まさに起ころうとするところに出くわすかもしれない。そうしたら、やっぱり事件を阻止するには犯人を取り押さえなくちゃあならないから、それはちょっと恐いからごめん被るとして、犯人が自首をせずに隠蔽工作をしたり、逃げ出したりしたら警察に通報するくらいはできるんじゃあないかな。いや、通報で済ますなんてもったいないぞ。こう、事件が発覚して警察の皆さんが捜査を始めたところに僕が登場して事件のあらましを最初から最後まで見てきたかのように、まあ見てたのだから当然だけど、話してやれば、そいつはまさに名探偵ってことじゃあないか。いいぞ、これは、期待していた女の子いっぱいのハーレム展開とは違うけれどもこれはこれで悪くない漫画みたいな展開じゃあないか。人を殺した悪人の罪を暴き立てるのだから世のため人のためにもなるし言うことなしだ! よし、そうと決まったら善は急げだ。早速新しい死神さんを探しに行こう」
少年はそう決めるが早いがすぐに駆け出しました。