人は心の救いを求め
ワタシは初投稿であることをここに宣言する。
ワタシはシスターエリンの案内で教会に入った。
外装も凝ったものだったが内装も素晴らしい。
ワタシとエリンは長椅子に座りしばらく話していた。旅のこと、お金がないことなど。少なくともワタシが困っていることは伝わっただろう。
彼女も自身の名前や知っていることをいろいろ教えたくれた。なかなかお喋りなようだ。
いままでよくわからなかったこの世界の地理がわかると多少見方も変わる。
まずここら一帯はルーイン帝国の領地であるらしい。帝都もここから百数キロ先にあるようだ。馬車で数日。私の感覚では遠く感じるが異世界では近い方らしい。
教会についてはおおよそ予想が当たった。聖バース教会はこの世界では大半の人に信仰されている宗教らしい。
そしてこの街の歴史、教会の成り立ちを教えてくれた。
「そして、この教会は孤児院も兼ねているのです。」
エリンはそう言うとワタシを別の建物に案内してくれた。それは3階建ての石レンガの建物で教会に比べるとみすぼらしく見えた。
「もう夜ですから皆寝ています。静かにお願いしますね。」
エリンは人差し指を唇にあてる。このジェスチャーは異世界でも変わらないのか…
エリンは抑えめの声量で孤児院の説明を始めた。
内容を要約すればよくある孤児院のイメージそのままだった。
今は30人ほどの2歳から17歳の少年少女が暮らしているとのことだ。ほとんどが親を亡くしたり捨てられたりした子らしい。
さらにこの建物は彼らの寝室、台所、食堂、風呂などの日常生活を送る上で必要な施設が全部入っている。これらは彼らだけでなくエリンなどの正式な修道女も使っていることがわかった。
「旅でお疲れでしょうし、暫く休んでいかれたらどうでしょう?」
「そんな…ワタシはお金を持ってませんし…」
「構いませんよ!人を助けることが仕事ですから」
「しかし…」
ワタシがしぶっているとエリンは少し悩みひとつ提案してくれた。
「では、暫く私の手伝いをするのはどうでしょう?会って数時間でこんな馴れ馴れしいことを言うのもアレですが…」
「いえ、そんな」
エリンの提案にワタシは頷いた。
期待していないと言えば嘘になる。
だが、泊まるとこと風呂が手に入ったのだ。これほどありがたいことはない。
手伝いも皿洗いや庭の掃除らしい。これならワタシにもできる。
その日、ワタシはエリンとともに神に祈りを捧げた。そしてエリンの持ってきたパンと飲み物を食べ、ふかふかのベッドで眠った。
久々にゆっくり出来た夜だった。
この教会の名前はセリクラネス大聖堂。ルーイン帝国の中でも大きい方の教会で観光客も多い。塔の中は立ち入り禁止。