一・五章 回想の暇
「何故、どうして、一体全体、本当に……どうしてこんな人と『付き合って』いたんでしょう」
思い出せば思い出すほど、意味が分からない。
無理やりあの時の状況を例えるなら、
『白馬に乗った王子様がハァハァ言いながら迎えに来た』みたいな感じになるだろうか。
中々に酷い状況である。完全に警察沙汰である。
そんな王子様と早く大人になりたかった自分。
だけど子供のままでいたかった自分。
大人は一人で生きていけるから。大人は一人で死んでいけるんだと思っていた。
誰にも迷惑をかけない形で、死んでしまいたいと思っていた。
同時に、『誰か私の事を生かして欲しい』とも思っていた。
あの頃は、『愛してくれれば誰でも良い』と、確かにそう考えていたのだ。
愛されてさえいれば、生きていけると。
それが生の最上の理由だったから。それ以外に、何も考えられなかったら。
誰でも良いから愛して欲しかった。そんなマセガキだった。
そんな時に現れたのが凜で、正直、二人はコレ以上とないほどピタリとハマった。
それは、神様の作為すら感じてしまうほどに。
……他の人だったら、どうなっていたんだろう。
多分、愛の重さと言うヤツが足りずに、この体は地上に繋ぎ止められなかったかもしれない。
彼と話してみようと思ったのはそんな理由からだった。
出会い頭に告白するような人間が、どれくらいの愛を抱えているのか興味があったから。
けれど結果として、この人で良かったとも思う。
歪つで狂おしい二人には、そんな頭が溶ける麻酔の様な恋愛がお似合いだから。




