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4章 メランコリック・アイーシャ

《第4章》

『セイヴァー』極東支部の訪問を明日に控えた今日。つまり土曜日。部活動に入っている生徒は熱心に自らの技術や心体を鍛えているであろう曜日。

 だがしかし。俺は部活動に所属していない為、そこまで早起きをする必要は無いのである。コラそこ。自宅警備員予備軍と言うのをやめなさい。俺はきちんと真面目に勉学にも励んでいるからその職業に就くことはないだろう。きっと。

 話が逸れたが、結論を言ってしまえばこれといった部活動に入っていない俺は、このような午前5時という時間に起床しなくても良いのである。という訳で、俺はもう一寝入りさせてもらうとしよう。

 おやすみ! みんな!

 ピンポーン。ピンポーン。

 何だ何だ? 誰か来たのか? いやー、でも俺眠いからなー。面倒だしロロにでも頼むかね。

 そして、頭がハッキリしないままロロと『経路』パスを繋ぐ。

『ロロー。起きてるかー? 』

『いいえ。起こされました。私は機嫌を損ねましたよ? 』

 どうやらロロもまど眠っていたらしい。当然と言えば当然か。

『それは悪かった。また悪いが、誰かさんが家に訪ねて来たみたいだ。出てやってくれないか? 』

『え? 何ですか? 私にはよく聞こえませんでした。ではおやすみなさい』

『あ、ロロさん? ちょっと待っ』

 俺が何か訴える前に、ロロは『経路』パスを切った。ようは、『お前が行け。私は寝てるから』という事だそうだ。少々ムカつくが、そこはやはり大人の対応をしなければなるまい。

「ふあ〜。あー眠い」

 俺は頭をガシガシと掻きながら部屋を出て階段を下りた。そして、玄関の前で一旦止まって、ドアの向こうにいるであろう人物に声を掛ける。

「どなたですかー? 」

『綺麗なお姉さんで〜す』

 その眠くなるようなのんびりとした口調を聞いて、俺は踵を返して自室へと戻り始めた。

 面倒そうだ。寝よう。

『ちょ、ちょっと〜⁉︎ 龍海く〜ん⁉︎ これは流石に酷いわよ〜? あ、開けてくれないかしら〜? 』

 俺の気配が遠のくのを察知したのか、外にいる人物が焦ったようにドアをドンドンと叩く。簡潔に言うと、とてもうるさい。

 俺は近所迷惑というものをまるで意識していないその行動を止めさせる為に仕方なくドアを開けた。

 すると、そこには以前会った時のような迷彩服ではなく、別段寒い訳でもないのに厚手のコートを着て、頭にはロシア帽を被った、なんとなく芸能人の変装を思わせる格好をしたアイーシャが立っていた。

「何だよアイーシャ。こんな時間に」

「良かった〜。出てくれないかと思ったわよ〜? まあ、出てくれたから良いけど〜」

「そうかい。で、用件は何だ? 」

「龍海君、ちょっと頼まれて欲しいんだけど良いかしら〜? 」

「言うだけ言ってみろ」

「今日1日〜、龍海君の家に居させてもらっても良いかしら〜? 」

「は? 」


  ○ ○ ○


「龍海君って料理が上手なのね〜。お姉さん感心しちゃうな〜」

「料理だけではありません。主は家事全般をそつなくこなす、すごい人なのです」

「すごいな〜。私の家にも欲しいわ〜」

「っ⁉︎ ダメですっ! 主は私の主です! 誰にもあげませんっ! 」

「え〜」

「…………」

 どうしてこうなった……?

 現時刻。午前8時35分。

 あの後、アイーシャをリビングに通して彼女にお茶を出した俺は、「テレビ見てるわね〜」と言って勝手にテレビの電源を点けたアイーシャを放って、自室に戻って再び惰眠を貪っていた。

 しかし、しばらくしてロロが起こしに来たのを無視して眠った俺はロロの必殺・布団剥がしによってベッドから落とされて強制的に目覚めさせられた。

 そして、1階に下りてリビングに入った俺は、ロロと(なぜか)アイーシャから腹減ったコールを受け、簡単な朝食を作って今に至る。

 ちなみに、アイーシャはコートとロシア帽は脱いでおり、今は黒のスカートに白のワンピースという服装だ。

 俺は、今も優雅に朝食のチーズトーストをかじっているアイーシャを見据えて言う。

「アイーシャ。まだ許可は出してないと思うんだがなぁ? 」

 アイーシャはきちんと口の中の食べ物を飲み込んでから言った。

「ダメなの〜? 」

「いや、ダメとは言ってない。ただ、昨日知り合ったばかりの男の家に急に訪ねて来たからには、何か相応の理由があっての事なんだろ? まずはそれを聞かせろ」

「ええ。確かに理由があるわ〜。かなりお姉さんにとっては重大な案件ね〜」

「何だ? その重大な案件って」

「お姉さん、今ストーカーに狙われてるのよ〜」

 おっとりとした口調ながらも、表情を暗くさせるアイーシャ。

 その様子を見るに、彼女はそのストーカーとやらに相当被害を受けているらしい。

「警察には通報したのか? 」

「してないわ〜。だって、もしそのストーカーが他の組織の人だった場合〜、警察では対処できないもの〜」

 まあ、それもそうか。実際、異能力絡みの事件は発生しているが、いずれも最終的には警察が逮捕しているが、そこまでの道のりに警察はほとんど関わっていない。解決までの役割はどこかの組織が担っているらしいが、なにぶんこの世界に踏み込んで(踏み込んだかどうかも謎だが)日の浅い俺には知る由もない。

 俺は陰鬱な表情をしているアイーシャにテンプレートな質問をぶつけた。

「そのストーカーとやらに何か心当たりは無いのか? 」

「無いわ〜。でも、あるとすればやっぱり他の組織かしらね〜」

「そうか。だとすると、原因は? 」

「『仕事』、かしらね〜」

「なるほどねぇー」

 俺は呟くように言って、コップの牛乳を一口飲んだ。

 そうなってくると、これの解決にはかなり危険が伴う恐れがあるな。危険度は言うまでもなくアイーシャがダントツで高いだろう。

 今朝のアイーシャの頼みを聞き入れた場合、俺やロロにも同じような危険が及ぶ訳だが、それでもアイーシャに降りかかる危険の方が大きい。

 思案する。だが、ここで1つの疑問が発生した。

「アイーシャ。もし俺がお前を家に泊めるとして、日数は1日で大丈夫なのか? 俺にはストーカーがその程度で諦めるとは思えないんだが。それに、向こうの正体が分からない以上、お前を1人にしておくとどんな危険が及ぶか分からない。どこかにツテがあったりするのか? 」

 アイーシャはその疑問に「そうねぇ〜」と呟いてから、こう答えた。

「でも〜、正体は1日で分かるかもしれないわね〜」

「どういうことだ? 」

 俺が聞いた直後、1つのボールのようなものが俺の家の窓ガラスを割って中に入って来た。

 俺は何か言うより先にボールが割った窓を開けて、外を見渡す。しかし、犯人は見つからなかった為、俺は諦めて窓ガラスを割ったボールを拾った。

「修理費、掛かるだろうなぁ……」

「主の目がうつろに! 」

「お姉さんが手伝ってあげても良いわよ〜? 」

 俺の両親は現在進行形で行方不明だが、どこかで生きているらしく、俺の通帳には毎月20万円という大金が振り込まれている。余ったお金は次の月に繰り越したりしているが、それでも出費は極力抑えたいのである。そんな俺にとって、今回の出費は大分堪えるだろう。

 それは一旦さておき。ボールを調べていた俺は、ボールの半分の辺りにガチャガチャのカプセルのような切れ目が入っているのを見つけた。

 何だ?

 開けてみると、中には【アイーシャ=ハリソン様、及び彼女を閉じ込めている家の家主宛】と書かれた手紙が入っていた。手紙を開いてみると、そこにはこう書かれていた。

【まずは、我が敬愛するアイーシャ=ハリソン様へ。どうやら先日私めがお贈りしましたプレゼントがお気に召さなかったようで、申し訳ありませんでした。ですが、私めは今度こそあなた様のお気に召すような最高のプレゼントをお贈り致します】

 この文面から察するに、ストーカーされる原因は『仕事』ではなく片想いによるもののようだ。

 続きにはこう書かれている。

【次に、我が敬愛するアイーシャ=ハリソン様を閉じ込めている家の家主へ。この手紙を読んでも尚、彼女を閉じ込めておくと言うのであればその時は相応の事をさせていただきます。悪しからず】

 なるほど。要は『アイーシャを引き渡せ。でなければ実力行使だぞ』と。ふざけてやがるぜ。

「何が書いてあったの〜? 」

 と、怪訝な表情でアイーシャが聞いてきたので、俺は彼女の前に手紙を置いた。すると、アイーシャだけでなく、手紙の内容が気になってアイーシャと一緒に読んでいたロロまでもが読み始めた瞬間に嫌そうな顔をした。

 まあ、それもそうだろう。あんなの俺でも嫌だ。こうなってくると、ますますアイーシャの安全が心配だな。

 そう思った俺は、アイーシャの肩に手を置いて言った。

「分かった。アイーシャ。ここに泊まって良いぞ」

「本当〜? ありがと〜! お姉さん嬉しいわ〜! 」

「や、止めろアイーシャ、抱きつくな! 」

 当たってるから! 色んなものが!

「照れてる〜。かわいいなぁ〜」

「あ、主ぃ……」

 ろ、ロロが泣きそうになってる! なんとかしないと!

「ーーって、いい加減離れろー! 」

 そして急遽、アイーシャが俺の家に泊まる事になった。

 と、いう訳で。それにあたって色々と決めないといけない事があるな。

「まずは、アイーシャの寝床を決めないといけないな」

「龍海君と一緒が良いなぁ〜」

「アイーシャは、ロロの部屋で良いな」

「はい。主」

 よし。寝床は決まった。誰かさんが横から「え〜」とか言っているが無視無視。

「あとは……。うん。特に無いな」

 そう呟いた俺は、残りのチーズトーストを食べる為に席に着いた。食べかけのそれにかじりつくと、既にそれにサクサク感は残っていなかった。

「冷めてるな……」

 そして、朝食を食べ終えた俺は歯を磨きに席を立った。


  ○ ○ ○


 詰んだ。完璧に詰んでしまった。

 俺は今、数学の問題集と文字通りにらめっこをしていた。かれこれ30分は続けているだろう。だが、問題自体は応用なので、別に恥じる事はないと自分に言い聞かせる。すると、俺の中の悪魔が何やらささやいてきた。

『もう解答見ちまえって。そっちの方が楽だぜ? 』

 続いて天使がささやく。

『いいや。その方法じゃあ、身につかない。解答は見るな』

『オイオイ。俺は自分の主人の身を案じて言ってるんだぜ? このままだとこいつの脳はパンクしちまうぞ』

『そ、それもそうだな。うーむ。ここは天使としてどう出るべきか……』

『天使ってのは、要は主人の使いだろ? だったら、その主人が苦しんでいるのにお前はそれを見過ごすって言うのか? 』

『ぐ、確かに……。仕方ない。解答を見るんだ』

 結論、出たな。天使の許しも出たし、解答を見ようじゃあないか!

 天使と悪魔の言われた通り、俺が数学の解答へと手を伸ばすと、俺の手は横から伸びてきた別の誰かの手によって優しく叩かれた。

 その誰かは俺に言った。

「分からないからって解答を直接見るのはダメよ〜? 」

「あ、アイーシャ? 」

「解答じゃなくて〜、教科書を見てやり方をまず確認。そして、それを使っていく事で自然と頭に定着するのよ〜? 確かに解答を見るのも1つの手段だけど〜、その手段はお姉さんあまり好きじゃないの」

 アイーシャはそう言うと、勉強机の上に並べてある教科書類の中から数学の教科書を取り出して、俺が詰まっている問題の単元のページを開いて俺の前に置いた。

「まず〜、この問題は既に問題文に提示してある方程式を展開して〜、二次方程式にしないと解けないわよ〜? 」

「いや、そこまでは分かるんだ。そっからが全然分からないんだよ」

 すると、アイーシャは俺のノートを見て俺に言った。

「龍海君。平方完成って覚えてる〜? 」

「全く記憶にございません」

「だったら〜、まずはそこからね〜」

「お、おう」

 アイーシャは俺のノートの空いたスペースになにやらaやらbやら記号をスラスラと書き始めた。それはものの数秒で終わり、書いた部分をトントンと指で示してアイーシャは言う。

「これが平方完成の基本形〜。それで、こっちが基本形を簡略化したものね〜。これに〜、さっき出した二次方程式の数を当てはめれば自ずとグラフの頂点や完成形も分かるはずよ〜」

「ああ。分かった」

 俺はシャーペンを握り、再び数式を見た。

 数式よ。今度の俺はただじゃあ止まらないぜ? 何せ、アイーシャの助けがあるんだからなあ!

 アイーシャに言われた通りに数を代入していくと、俺が詰まっていた問題はその後数分で解く事ができた。同時に俺はその事実に自分で驚いた。

「と、解けた……」

「よくできました〜。ご褒美にお姉さんがなでなでしてあげる〜」

「そ、それはなし。でも」

「でも〜? 」

「ありがとう。アイーシャのお陰で詰まってた問題が解けたよ」

「うんうん〜。素直な子は〜、お姉さん好きだな〜」

「な、何で抱きついてくるんだよ! 離れろって! 」

 俺が抱きついてきたアイーシャを何とか引き剥がすと、彼女は少し残念そうに手を離した。

 言い過ぎたか……? だとしたらどうする? 何かフォロー入れないと……。

「そういや、アイーシャって何かを教えるの上手いよな。さっきみたいに」

「え? ええ。よく言われるわね〜。実感は無いけれど〜」

「学校の先生みたいだったぞ? すごく分かり易かったし」

「そ、そう〜? そう言われると、お姉さん嬉しいな〜」

 そう言って、頬を染めて照れた表情をするアイーシャ。

 本人はお姉さんお姉さん言ってるが、やっぱりこういう表情は同年代の女の子だなぁ。

 俺は続けてアイーシャに問う。

「こんなに教えるのが上手いって事は、学校の先生でも目指してたのか? 」

「学校の先生か〜。前は目指してたかな〜。でも、……」

「? 」

「でも、許しては、くれないわよね〜、…………」

「アイーシャ? 」

 突然遠い目をして固まるアイーシャに、俺は声を掛けて肩に手を置いた。

「Wow‼︎ 」

 英語かよ。

 驚きのあまり素が出たアイーシャに俺は言う。

「驚きはゆったりじゃないんだな」

「もう〜。触る時は声を掛けてね〜? 」

 声を掛ければ触って良いのか? いやいやそうじゃない。

「さっき、どうしたんだ? 急に固まったりなんかして」

「あ、いや、何でもないわよ〜? 」

「何でもあるだろ。良いから言ってみろって」

「嫌。言いたくないわ〜」

「そ、そうか。まあ、無理にとは言ってないからな。言うも言わないもお前の自由だ」

「ごめんね〜? 代わりに〜、お触りくらいならしても良いわよ〜? 」

 そうして、そのままの調子で俺の手を取るアイーシャに俺は言った。

「するか。てかそういうの止めろよ。あんまりそういう事をホイホイやってると、安い女だと思われるぞ? 」

「龍海君には、私が安い女に見えるの〜? 」

「え? 」

 アイーシャのその言葉は口調はそのままに、声に少々怒気が含まれていた。俺は、そんなアイーシャの言葉に思わず驚いてしまった。

「私は、私が認めていない人間にこんな事する程、軽い女じゃない」

「…………」

 俺のあの言葉は、アイーシャにあの特徴的な喋り方をさせない程に彼女を傷付けてしまったのか……。

 無言になる俺とアイーシャ。互いに何も言わない時間が少しの間展開されたが、それはすぐにアイーシャによって破られた。

「あ、え〜と。お姉さん、そこに座ってるから、何か分からないところがあったら聞くのよ〜? 」

「ああ。すまない。悪かった」

「ううん。良いのよ〜? 」

 アイーシャはそう言って、俺のベッドに腰掛けた。

 そしてまた訪れる静寂。分からない問題に当たったが聞こうにも聞けず、微妙な雰囲気がその場を支配しかけた、その時。

 部屋のドアを開けて、ロロがひょっこりと顔を出した。ロロは小さなお腹をさすりながら言った。

「お昼にしませんか? ロロはお腹が空きました」

「おお、そうか。じゃあ、昼飯でも作るか」

 俺はシャーペンを置いて立ち上がり、ベッドに腰掛けているアイーシャに声を掛ける。

「下りないのか? 」

「後で下りるわ〜」

「そうか。分かった。できたら呼ぶからな、ちゃんと下りて来いよ」

「ええ」

 俺は部屋を出て、先を歩くロロに言う。

「すまないな」

「いえ。過程はどうあれ、あのような状態になるのは目に見えていたので、失礼ながら聞き耳を立てさせていただきタイミングを見計らっていました」

「そうだったのか」

「はい。主の女性に対するコミュ力が乏しいのもありますが、アイーシャさんの性格からも主とはまた別種の問題をみる事ができたので」

「別種の問題? 」

 訝しげに問う俺に、ロロは淡々と答える。

「彼女は、主に抱きついたり、何やら誘惑紛いの事を言うなど色々としていますが、決して軽い女などではありません。彼女は自分が認めた相手でないとあのような行動は絶対にしません。自分が認めていない相手には、自らの肌に指の1本すら触れる事を嫌がる、そういった人間です。ですが、今回それはあまり関係ありません」

「どういうことだ? 」

 話しながら1階に下りた俺とロロは、リビングのドアを開けてリビングに入った。

「今回1番問題なのは、主の女性に対するコミュ力が皆無という事ではなく」

「おい待て。今サラッと俺のコミュ力を0にしたな? 」

「彼女が主を、彼女自身の大切な誰かに当てはめている可能性が高いという事です」

「大切な、誰か? 」

「はい。ただし、彼女の記憶の中のですが」

「待てよ? て事は、その誰かってまさか……」

 俺の言葉に付け加えるようにロロが淡々と言った。

「その誰かとは、過去にあった何らかの事故などで既に死亡している人物でしょう」

 おっと。急に話が質量を持ったみたいに重くなってきたぞ。

「それは、誰なんだ? 」

「そこまでは流石に分かりません。そればかりは彼女自身に聞くしか方法は無いと思います」

「そうか。ありがとう」

 俺はロロに礼を言って、キッチンに立った。ロロは相変わらず定位置、ソファに陣取っている。

 あの話は恐らく本当だろう。何せロロがああ言っていたんだから。しかし、ロロはその『誰か』は彼女自身に聞けと言っていたが、その手段はあまり使いたくない。場合によってはアイーシャの心の傷を開いてしまう恐れがあるからな。だが、そうなってくるとどうやって調べるか考える必要があるな。まあ、今はそんな事を考えても仕方ないか。とりあえず、昼飯作らねぇと。

 そして、昼飯の献立を考える為に冷蔵庫を開けるが、3人分の料理を作るにしては明らかに食材の量が少なかった為、近所のスーパーに食材を買いに行く事になった。

「主。スーパーですね? 私も行きます」

「分かった」

 財布と買い物袋を持って廊下に出た俺は、アイーシャがいる2階に向けて言った。

「アイーシャ。買い物に行くが、一緒に来るか? 」

「私は1人で大丈夫よ〜」

 本当に大丈夫だろうか。ただでさえストーカーがどうとかという問題を抱えているのに。だが、無理強いするのも悪いよなぁ。

 そう考えた俺は、アイーシャを家に置いておく事にした。そして、俺はロロと2人で買い物に出掛けた。

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