「お祭り」
お祭りは、壮大な物だった。
皆、ナヴィーにすり寄っては、泣いていた。
ナヴィーは皆に愛されてたんだと月は思った。
ナヴィーは苦しくなかったのだろうか。
ナヴィーに、負の感情があれば、神にはなれないということを告げられた。
例えば、嫉妬、悲しみ、強欲。そう言うのが無く完全なる正の感情(嬉しい等)しか持ってはいけないと。
誰かを恨んだり、誰かを嫌ったりは、ダメだと。
そう言う感情を持てば天界が崩壊することを教えてくれた。
いけない事をして、しかる位なら良いらしいけど。
少し厳しいと月は思ってしまった。
月たち人間は、そんな感情を持ってずっと生きてきたのだから。
私はここにきたばっかりだし、選ばれることは100%ない。
ずっとここにいた人たちがどうせ選ばれる。
私が心配することは、何もない。
もっとこのお祭りを楽しもう。
月はそう思って花火が打ち上げられている広場へと走って行った。
――――――――…
ナヴィーの作った料理が並べられる。
出来たてで、アツアツと鍋から湯気が立っていた。
「皆、いっぱい食べてね(ニコッ」
相変わらず、笑顔だった。
皆を魅了させるような…でもどこか悲しんでいるような…そんな笑顔。
「「「「いただきます」」」」
皆美味しそうにがつがつ食べる。
月も、スープの汁をすくって口へ運んだ。
「おい…しい…」
どこか懐かしい様な味で、ひとりでに涙が出てきた。
「美味しい 美味しい」
ぽろぽろ涙を零しながら、スープを口に運ぶ。
零れる涙を左手で拭き取りながら、右手でスープを口に運ぶ。
何故、泣いているのか月自身分からない。
悲しくはない。なのに、何故…。
「ありがとう月。そんなに美味しそうに食べてくれると、私も嬉しいわ」
涙や鼻水で顔がぐしゃぐしゃになっている月に、ナヴィーが頬笑みかける。
ナヴィー、ナヴィー ナヴィーさん。
大好きです。
何処にも行かないで――――――――っ!!
―――――――――…
「まだ、少し時間がある。
後、約6ヵ月。
もう少し、ここに居させてほしい。
もう少し、皆を見守らせて。
もう少し、惨劇が起こるのを遅らせて」
小さく、小さく、ナヴィーは呟いた。
「私が神様の座を譲ればあいつも変わる。
今変わってはいけない。
今はまだ、早い」
あんな地獄を、はやめてはいけない―――――――