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神様と閻魔様  作者: 玲那
1/5

「小さなすれ違いと大きな恨み」

それは…ほんの少しのすれ違いから始まった。

小さな小さなすれ違い。


そこから大きな物へと変化して―――――

――――――――――…


その2人は、かつては親友だった神様と閻魔様。

かつて、人間だった時に引き起こしたすれ違い。


それが、死んでからもなお続いて――――

死んでから始まった神様と閻魔様の大戦争――――――…


―――――――…


「月、おはよう!!」


(ルナ)と呼ばれる少女に声をかけた少女――――那留(なる)は後の閻魔様。

那留に声をかけられた少女――――月は後の神様となる少女であった。


幼馴染であり、親友でもある那留と月。趣味も同じで、大体の意見が同じだった。


「おはよう那留(ニコッ」


いつも通り他愛ない話をしながら登校する。

いつも通りのはず、だった――――――…

 

「―――――ということで、私は野菜を植える、山崎君の考えの方がいいと思います」

総合の時間、花壇に何を植えるかを話し合っていた。

でた意見は、野菜を植える。花を植える。この2つだった。


「私も山崎君の意見に賛成かな~野菜だったら食べれるし、ね。月」


月も同じ意見で居てくれるだろう。そう那留は思って月に声をかける。

全てはここから始まった――――…


「私としてはね、やっぱり花壇だから花を植えたいな。だって野菜を植えても、嫌いな人だっているでしょう?枯れたら食べられなくてガッカリするでしょう?雀等の鳥に食べられたり、モグラなどに根を食いちぎられたら終わりでしょう?花なら、観賞するだけだし、枯れても特にガッカリすることも無いでしょう?だから私は、花を植えたいな」


初めてだった。月と那留の意見がここまで食い違ったのは。

そこから少しずつ、少しずつ―――――…


「周りはやっぱり☆で埋めようよ」

「いや、花の方が良いんじゃない?作るという楽しみも味わえるし、一色だけではないから楽しみを味わえるよ」


月は、那留の意見を反対する。


「そうだね。月の意見に賛成かな」

そして、皆はいつも月の意見に賛成した。


―――――…

「山田君格好良くない?」

「私は、沖田君の方が格好いいと思うな」


好きな人も、好みも今までずっと一緒だった。

気になる人も、何もかも。

だから、こんなに意見がすれ違うなんて今までなかったのに―――――――…


「将来は漫画家になりたいなー!!」

「私は小説家になりたいな」


今までずっと将来の夢も同じだったのに…

少しずつ、少しずつすれ違って行く。


ある日の学校の行き道。

いつも通り月と那留は並んで歩く。

「月ー!!」

「どうしたの?」


同じクラスの子に声をかけられ振り向く月。


ここから本格的なすれ違いは始まる―――――…

振り向いた際、ドンッと月と那留が当たった。

はじき飛ばされた那留。

「那留!?ごめんね。大丈夫!?」

急いで声をかける月。

「う…うん。大丈夫」

そう言って立ちあがろうとした瞬間―――――…


グチャ


えげつない音がした。

乗用車より大きい車は、視野の範囲が狭い。だから、座っていた那留に気付かなかった。

そして那留の右手は―――――…


「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


車に、潰されてしまった――――――…

「誰か!!救急車を呼んで!!」


そう月が叫んだ。でも那留は、その声を聞く前に、痛みで気を失ってしまっていた――――――…


―――――…

「右手の骨はボキボキに折れていて、元の形に戻れるか分かりません。神経が麻痺しています。右手はもう使い物にならないかもしれませんね―――――」

「―――――ッッ!!」


漫画家を目指していた那留。

右手で何年も、何年もかけて絵を描いてきた。

今更、左手で出来るものか。左手で、あれ以上の絵が描けるものか。


漫画家を諦めなきゃいけない。

あっさりと夢を諦めなくてはいけないなんて。那留は泣き崩れた。


――――もしかして月はわざと私にぶつかったんじゃないの?――――

許さない―――ゆるさない―――許サナイ―――ユ ル サ ナ イ――――



偶然が、大きな恨みを作ってしまった――――…



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