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09 信用とは

 それにしても、もしアンジェリカお姉ちゃんが僕の側近になったら、毎日アンジェリカお姉ちゃんに会えるってことだよね?


 嬉しいなぁ。


 アンジェリカお姉ちゃんは一見気の強そうな顔をしているけど、実はものすごく僕に甘いし、かわいいものが大好きなんだ。僕ともぬいぐるみの趣味が合うぬいぐるみ仲間でもある。


 でも、アンジェリカお姉ちゃんは、自分には合わないからってぬいぐるみを一つも持っていないんだって。なんだか悲しい話だね。


 そんなアンジェリカお姉ちゃんだけど、僕のノアとミアが動くのを見たら、きっとわがことのように喜んでくれるはずだ。


 早くアンジェリカお姉ちゃんに会いたいなぁ。


 アンジェリカお姉ちゃんは、メイド候補として僕の側近候補になっているらしい。


 そして、僕の側近候補として選ばれた他のメンバー。


 ブラッドリー・レ・トラヴァーズ。トラヴァーズ男爵の息子で、十四歳の男の子だ。彼とはたぶん面識はない。どんな子だろうね?


 ナディア・ソン・マギニス。マギニス侯爵家の娘らしい。年齢は十一の女の子だ。彼女とも面識はないと思う。上級貴族であるマギニス侯爵家の出だし、どこかですれ違ったことくらいはあるかもしれないけど、正式に挨拶されたことはないはずだ。


 そして最後は、ニーナ。十八歳の平民のお姉さんらしい。今は冒険者として活躍していて、モンスターの生態にも詳しい点が評価されたようだ。


 この三人にアンジェリカお姉ちゃん、オズワルド、ニーナの三人を加えた六人が僕の側近候補と決まった。


「ふむ。なかなかの布陣じゃないか? まぁ、打診して、断られたら諦めねばならんが、まず断る者などおるまい」

「そうなんですか?」


 父上の言葉に僕は疑問をぶつけてみた。


 僕は王族と言っても年の離れた第三王子だ。たしかにまだブライアン兄上とメルヴィン兄上のどちらが王位を継ぐのか決まっていないけど、僕という線はないはずだ。


 そんなハズレ王子の側近になっても、あまりメリットがあるとは思わないけど……。


「うむ! 王族の側近というのは、名誉で言えば最高に近い」


 そう頷く父上に補足するように、隣に座るメルヴィン兄上が口を開いた。


「アーサーも五歳になったからね。そろそろ王族の矜持を持ってもいい頃だろう。我々王族は、国の顔であり、代表だ。もっと極端に言ってしまえば、我々は国であり、国は我々だ。我々の所作一つで国が褒められることもあれば、貶められることもある」


 僕たちが、国?


 メルヴィン兄上は時々難しいことを言うけど、僕にはちょっとまだそのあたりの感覚が薄いのかもしれない。


 たしかに、僕は王族だ。でも、僕の行動で国自体が貶められるというのがよくわからなかった。


 よくわかってなさそうな僕の顔に気が付いたのだろう。今度は隣に座るブライアン兄上が苦笑しながら僕の頭をポンポン軽く叩いて口を開く。


「難しく考える必要なねえぞ、アーサー。ようはナメられなきゃいいってだけだからな」

「そうなの?」


 僕がブライアン兄上を見上げて問うと、ブライアン兄上は大きく頷いた。


 しかし、それに待ったをかける者がいる。メルヴィン兄上だ。


「兄上、さすがにそれは暴論では?」

「突き詰めればそういうことだろ? お前の言葉はまどろっこしいんだよ、メルヴィン」


 そう言われて、メルヴィン兄上は苦笑を浮かべて肩を竦めてみせた。


「でも、ナメられないためにはどうすればいいの?」

「あー……」


 僕の質問に、今度はブライアン兄上が困った顔をする。


「はっはっはっ! ブライアン、お前も本質がわかっておらんではないか!」


 そう笑ったのは父上だった。


 そして、父上は真剣な顔をしてぼくをまっすぐ見つめてきた。


「いいか、アーサー。まずは嘘を吐かないことだ。嘘を吐く者の言葉など誰も信用しないからな。そして、自分の言葉を翻さないことだ。言葉を翻す者の言葉など信用できないからだ。まずは人に信用される王族になれ。すべてはここからだ」

「はい!」


 父上の言葉はわかりやすかった。


 まずは、人に信用されるようになる。簡単なようで難しい。なんとなく、これは一生の課題になるような気がした。


「さて、アーサーの側近候補も決まったし、難しい話はこれで終わりだ! そろそろ夕食の時間だな。食堂で話しながら夕食を待とうではないか。セバスチャン!」

「はっ!」


 父上に呼ばれて登場したのは、ピシッと執事服を着こなした、白髪混じりのロマンスグレーの初老の男性だった。


 セバスチャン。僕たち王族のお世話をしてくれる使用人たちを束ねるグランドスチュワートだ。


「料理長に夕食の時間はいつも通りでかまわないと伝えてくれ」

「かしこまりました」


 夕食にはまだちょっと早い時間だ。でも、僕たちが食堂に入れば、料理長たちが急いでしまうだろう。だから、急がなくてもいいって伝えてるんだと思う。


 こういう気遣いも父上の言っていた信用に繋がるのだろう。僕もみんなに信用されるような人になりたいな。

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