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07 オズワルド登場

「んー!」


 家族が揃った楽しかったおやつの時間を終えて、僕はノアとミアを連れて、自分の寝室に帰ってきていた。


 魔力が集まってきたので、僕は魔力の糸を使ってバルタザールを縫いに来たのだ。


 でも、魔力を振り絞り切るようにしてまで使っても、バルタザールが動くことはなかった。


「うぅーん……。やっぱり、大きいからいっぱい魔力が必要なのかな?」


 バルタザールは、寝室の半分を占めるほど大きなぬいぐるみだ。やっぱり大きいとそれだけ動くのに魔力が必要なのだろう。


 それにしても、僕も魔力の糸の操り方が少しわかってきた。


 もう最初のころと比べると、ずっと速く正確に縫うことができる。


 バルタザールが動かなかったのは残念だけど、自分の成長が感じられるのはいいことだね。


 僕は自分の離宮から王族の共有スペースである宮殿へと向かった。


「アーサー様」


 その時、後ろから声をかけられた。王族専用のスペースであるここに入れる者は限られている。


 まぁ、そんな情報がなくても、僕を呼ぶその声で、誰なのかすぐにわかったけどね。


「オズワルド!」


 オズワルドは、僕の乳母兄弟になる同い年の少年だ。ピルキントン伯爵家の男の子だ。オズワルドの母親は、僕の離宮でメイドをしているので、かなり僕と密接に関わりがある。


「アーサー様ってば、儀式が終わったらすぐに大神殿を走って行っちゃうんですから、追いつくのにすごく苦労しましたよ」

「ごめん、ごめん。それより見てよ! ノアやミアが動くようになったんだ!」

「王宮のメイドたちから聞いてましたけど、本当に動いてますね。まるで本物の犬や猫みたいだ。お手とかできます?」

「余裕だよ! ね? ノア?」

「ワフ!」


 ノアはその場に座ると、右の前足を上げてみせた。まるで「早く手を出せ」と逆にオズワルドに言っているようだ。


 オズワルドは苦笑しながらノアの右前足を握ると、しげしげとその足を見つめ始めた。


「本当にぬいぐるみなんですね。この感じだと、中は綿ですよね? 骨も筋肉もないのに、どうやって動いてるんだろう?」


 不思議そうにノアの右前足をにぎにぎするオズワルド。彼はわりと理屈っぽいところがあるので、ノアやミアの存在が不思議に見えるのだろう。


「さあ? 僕にはそれが『魂の魔法』だからとしか言えないよ。それより、オズワルドはどんな『魂の魔法』を賜ったの?」


 そういえば、僕はあの大神殿で自分のことしか考える余裕がなくて、オズワルドがどんな『魂の魔法』を賜ったのか知らない。


 彼はいったいどんな『魂の魔法』を賜ったのだろう?


「僕は透視の『魂の魔法』を賜りました! 神殿長が言うには、隠れたものを見つける魔法のようです!」

「へえ! 何か失くし物をした時はオズワルドに頼もうかな?」

「お任せください!」


 オズワルドが自信満々に右手を握って左胸に前に持ってきて、左胸を二回叩く。男の大人たちがやっている、敬礼の真似っこだ。


 僕も居ずまいを正すと、オズワルドの左肩に右手を置いた。


「頼んだぞ」

「はっ!」


 そして、二人でくすりと笑い合う。僕とオズワルドの関係は良好だ。


 乳母兄弟であるオズワルドは、それこそ生まれた直後から一緒に育ってきた本物の兄弟みたいなものだ。僕の一番信用できる友人である。


「そういえば、アーサー様は聞きましたか? 僕がアーサー様付きの文官見習いになるようです。他にも護衛騎士見習いや、メイド見習いを選定しているようですよ?」

「そうなの? でも、メイドも文官も護衛騎士ももういるんだけど?」


 僕が指を差した先では、困った顔をした六人の大人たちがいた。僕のメイドと文官と護衛騎士だ。各二人ずつで、合計六人いる。


 ちなみにオズワルドの母親もいる。


 他にも僕の離宮を管理するためのメイドや、離宮の警備をする近衛兵がいたりするけど、ここにいる六人は彼らの上位者であり、彼らに指示を出せる。


 つまりこの六人は僕の側近ということになるのかな?


 僕の生活は、彼らによって支えられている。


「僕も聞いた話で申し訳ないですけど、アーサー様の同年代の中でも側近を選ぶようですよ? なぜかは聞いていないので僕の推測になりますけど、アーサー様が相談しやすいようにとかではないでしょうか? あとは側近の代替わりとか?」


 オズワルドが自分の母親の方をチラチラ気にしながら、そう答えた。


「なるほど……」


 僕の側近の中には、もう六十歳の者もいる。寂しいことだけど、働けてもあと数年だろう。代替わりということはありそうだ。


 それに、大人ではなく、子ども同士だから相談しやすいことということもあるだろう。


 僕が本格的に国のために働けるようになる頃には、集められた子どもたちも見習いの文字が取れて、正式な僕の側近として働いてくれるだろう。


 その時、今いる側近の中には隠居する者もいるだろう。


 僕が生まれた頃から知っている彼らだ。寂しいけど、彼らにも彼らの人生があるから、これも受け入れないとね。

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