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岡本少年

 私の名前は岡本勝美、年齢64歳、神戸で生まれ、神戸で育った。神戸と言えばおしゃれなイメージを抱く人が多いだろうが、私には全く無縁の話だ。

 自宅は神戸の中心地三宮にほど近い中山手、周りには有名なコーヒーのニシムラやフロインドリーブはあったが、私の家と言ったら戦後のどさくさに紛れて住み着き、お風呂もシャワーもないような貧乏暮らしだった。


 神戸生まれの母は叔母の店でパート、瀬戸内海の小さな島出身の父は、仕事もほとんどせず、今でいうニートのような状態。他人とのコミュニケーションに恐怖を感じるような父で、心理的に障害を持っていたかもしれない。

 子供の頃、周りの皆は流行の自転車を買ってもらい、公園に遊びに行くのはいつも自転車、私はその後ろをいつも自分の足で走っていた。そのためか、走るのだけは速く、スポーツ大好きな少年に育った。当時はサッカーより野球、暇があったら神社の境内に集まり皆で野球をしていた。最初はソフトなゴムボールだったが、誰かがグローブを買ってもらうと、すぐ軟式に代わり、皆がグローブで野球をするようになった。

 そういった中、なんと母が私にもグローブを買ってくれた。喜んで神社の境内に向かい皆の仲間入り、キャッチャーをすることになったが、ピッチャー役の康人君が投げたボールは私のグローブのポケットを突き破り、左目あたりに命中。目の周りを青くパンパンに腫らしながら私には笑うしかなかった。母が無理して私の為に買ってくれたのはスポーツ店では無く、おもちゃ屋さんだった。


 そんな貧乏暮らしのなか、走る事と教科書を読むことで時間を過ごすしかなかった。そのおかげか、中学時代は陸上競技で近畿記録を樹立、高校では塾にも通わず、ストレートで国立大学に進学した。近所の人達からは『神童』と持てはやされたが、過去の栄光である。

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