表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/65

第4章「妻と柴犬」⑰

「それからしばらくして、俺が部屋を空けた隙に、孫が勝手に箱の鍵を開けた」

今までも自由に出入りしていたが、そんなことをする子ではなかった。何か異常な誘惑が、孫をおかしくしたに違いないと、坂本は主張した。

導かれるように鍵の隠し場所を探し当て、箱の中身の赤黒い塊を取り出すと、孫はそれを、飼い犬の口先にもっていった。なぜ、犬に与えようとしたのか、それも不思議でならない。何かが導いているかのようだった。

孫の飼い犬は、雑種で大人しい性質だったが、その塊を鼻先で嗅ぐと、一瞬で飲み込んだ。喉元を大きな塊が通り過ぎる。孫の目の前で、飼い犬は全身を震わせ、それから高い声で鳴くと、ばたりと横倒しに倒れ、やがて息が絶えた。

孫の絶叫を聞いた坂本が駆け付けると、鳴き続ける孫の前に犬が横たわっていた。

犬の口から、先ほど飲み込まれた塊が吐き出された。それは、犬の体内の熱を帯び、湯気が立っていたが、しばらくすると亀裂が入り、小さな塊になって、砂のように崩れていった。犬の死骸の前に、赤黒い砂と、幾つかの赤い石の塊が残された。

「それが、この小瓶の中身だ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ