ダンジョンアタックⅡ
2階層への階段を降りると、そこにはちらほらパーティーを組んでいるシーカーがいた。彼らから離れ入り組んだ迷路のような洞窟を歩いていると、角からこちらに向かってくるような足音が聞こえた。
それは靴を履いているシーカーが出すような足音ではなかったので、何が出てくるのかは直ぐに分かった。ステータスを見て舞い上がっていた気分を鎮め思考を切り替える。角から現れたのはやはりゴブリンであった。ゴブリンはこちらを見つけたとたん、汚いだみ声で叫びながら走ってきた。武器などは持っておらず腰ミノしかつけていなかった。どうやら化け物らしくその汚い牙と爪で俺を殺そうとしているらしい。
すでに抜刀していた剣を構えて落ち着いて待つ。講習によると2階層の単独で行動するゴブリンは飛び掛かり首を嚙みちぎる傾向があるらしいのでそれを避けカウンターする、それは事前に決めていたので動揺することなく戦いを迎えられた。
ゴブリンは間合いに入った途端その130㎝にも満たない体を少しかがめて跳びかかってきた。半身になり一歩下がりながらゴブリンを躱す、すれ違いざまに剣を振り下ろし胴体を深く斬り裂いた。初めてモンスターを斬ったがその手ごたえに、これは殺せたと思いながらも残心を忘れずモンスターから目を離すことはしなかった。
すると突然頭の中に声が響き体が熱くなった
[モンスター初討伐ボーナスによりレベルを1上昇させます]
その声に驚いているうちに目の前のゴブリンはすでに消えており、その代わりに着けていた腰ミノと小さな黒っぽい石が落ちていた。どうやらこれはあのゴブリンのドロップアイテムらしい。ダンジョンで死亡したモンスターは魔石といわれる石と稀にそのモンスターを象徴するアイテムを落とすと判明している。
「これが魔石かー初めての戦いで得たものだと思うとなかなか感慨深いなー、腰ミノも落としたし超ラッキーー!ゴミに見えても地球には存在しない物質で作られてるから高く売れるみたいなんだよなー。」
初めての戦果を喜ぶのもいったん落ち着かせて、さっきの戦いを自らに戒めるように声に出しながら振り返っていく。
「やっぱりレベル0の初期ステータスだからといって身体能力が以前と全く同じとは限らないみたいだな。ゴブリンの体もクリティカルに当たったとはいえ結構簡単に骨を砕きながら斬れたし、避けるときの体捌きも前よりも少しスムーズだったそして何より初めての戦いだってのに全然動揺せず冷静になれた。どうやら身体能力だけじゃなく精神まで少しいじられているっぽいな。」
まぁいじられていようが俺の求めていた戦場だからもっと楽しみながら進んでいくことに決め、ドロップ品をバックに詰めて先ほど変化の起きたステータスを確認する。
<ステータス>
レベル1 up
ジョブ 剣士
㏋20 MP13
筋力7
防御7
器用9 (×1.2)
速度9 (×1.2)
魔攻6
魔防6
ユニークスキル
マルチジョブ
スキル
生活魔法
パッシブスキル
剣術3 new
器用強化 new
速度強化 new
となっていたどうやらステータス強化系スキルは対応するステータスの値を1.2倍するみたいだ。そして講習の通りジョブによりステータスの上昇量は決まっているので想定していたステータスと同じことを確認し終えたので先に進むことにした。
当初目標にしていた3階層に行くべく、3年間先行して探索している自衛隊が作成した地図を見ながら先を急ごう。
各ジョブによるステータスの上昇量のまとめを書いておきます
剣士
HP 10 MP3
筋力2
防御2
器用4
速度4
魔攻1
魔防1
戦士
HP20
MP3
筋力4
防御2
器用1
速度1
魔攻1
魔防2
魔法使い
HP3
MP20
筋力1
防御1
器用2
速度1
魔攻4
魔防2
シーフ
HP10
MP10
筋力1
防御1
器用5
速度3
魔攻1
魔防1