不幸な少女-2
その頃、ラキはというと、魚屋の夫婦の予想が的中し、同年代の男の子3人に行く手を阻まれていた。
「お母さんが言ってたよ。お前は悪魔の子なんだ。」
1人の少年が、ラキの腕を引っ張りながら言った。
ラキは必死に抵抗しようとするが、3人の男の子によって、結局路地裏に連れて行かれることとなった。
路地に入ると、1人の少年が市場の方に回り込み、ラキを逃がさないように言った。
「悪魔め。俺たちが駆逐してやる。」
その言葉と共に、少年は手近にあった石を拾うと、ラキに向かって投げつけた。
「いたっ…!」
石がラキの頭に当たり、ラキは少しよろめく。
「お前の家族になった人が、次々と死んでいくって。」
他の男の子たちも、ラキに石を投げたり、倒れたラキを足で踏みつけたりと、激しく暴力を振るい始めた。
魚の入った袋を抱えたまま、ラキは叫んだ。
「違うもん。ラキが殺したんじゃないもん!」
「嘘つきだ。俺は知ってんだぜ。お前はお母さんとお父さんも殺したくせに、今度はおばあちゃんまで殺したんだ。悪魔め。悪魔は俺たちが倒す。」
3人の男の子は、正義のヒーローだとばかりに、棒や石、バットを手にして、ラキに向かって構えている。
「いくぞ!」
リーダー格の男の子の掛け声と共に、彼らは一斉にそれらの武器でラキに殴りかかった。
…子供は悪意を制御することを知らない。
最初は、背中やお腹を軽く蹴ったり、石を投げるときも手加減していた。
しかし、他の2人がエスカレートしていく中で、自分もその基準に合わせるようになり、暴力は次第に激しくなっていった。
ついには、そのうちの1人が、ラキが起き上がろうとした瞬間、上から強く、体重をかけて踏みつけた。
アスファルトに強く叩きつけられたラキは、目眩がして、鼻と口から大量の血を吐き出した。
その血溜まりを見て、ラキは驚き、折れた歯を見つけて更にショックを受ける。
3人の男の子たちも、その異様な出血とラキの潰れた顔を見て、少し怯み始める。
しかし、臆することなく(?)、強がりながら追撃を続けた。
「やめて…」
ラキの声は掠れていて届かない。
…届いていても、暴力が止まることはなかっただろうが。
「痛いよ…助けて…」
ラキはもう、指一本動かすこともできない。
クラクラとする視界と、遠のいていく意識の中で、ラキは必死に魚の袋を抱きしめていた。
老爺が待っている。
老爺が、ラキが作った料理を食べるのを楽しみにしている。
ラキが作った料理に対して、老爺は表情を変えることなく「うまい」と言ってくれる。それが最近のラキの生き甲斐だった。
「死にたくない…」
消えそうな意識の中、ラキは遠くから女性の声を聞いた。
「あんたたち、何やってんの!!」
ラキはその声を最後に、意識を失った。
「悪魔を倒してたんだ。」
1人の男の子が言う。
その言葉を聞いた女性は、倒れたラキを見て答えた。
「なんだ、この子か。」
女性はラキに唾を吐きつけ、男の子たちに向かって言った。
「あんたたち、昼間は大事になるからダメだって言ったろ。大人たちが向かってきてる。今日はもう帰りな。」
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