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不幸な少女は神になる  作者: カモノハシ
序章-死神と少女-
4/42

始まり-3.5

ラキは、柔らかな温もりに包まれていた。


 


ああ、幸せだ。


 


──ラキは今、広大な緑の大地にいる。


 


遠くに見える山の影響か、時折、暖かな風が吹いてくる。


その風は心地よく、ラキの髪をふわりと揺らす。


 


ラキは横になり、柔らかな草の上に身を預ける。


 


草は沈み込み、まるでラキを優しく受け入れるかのようだった。


 


そのまま空を見上げると、ふと、空中に何かが浮かんでいることに気づいた。


 


「誕生日おめでとう」


 


ラキはその文字を見て、嬉しくなって少しニヤけた。


 


楽しかったなあ。


嬉しかったなあ。


 


ふと、ラキは考えた。


老夫婦の誕生日を祝ったことがなかった。


 


「明日、聞いてみよう。」


 


ぼーっとしているうちに、ラキは視線を横に向けた。


すると、どこかで見覚えのある少年が忙しなく走っているのが目に入った。


 


誰だったかな…。


考えているうちに、その少年は木々の中に消えていった。


 


少しの間、ラキは少年のことが気になり、探してみることに決めた。


 


ラキは立ち上がり、少年が進んだであろう林の中へと足を踏み入れた。


 


最初はまばらに木が生えていたが、進むにつれて木々は徐々に密集していった。


 


やがて、木々の間隔は狭く、ラキは枝を掻き分けないと進めないほどになった。


 


それでもラキは諦めず、枝を押し上げ、木の根元をくぐり抜けた。


 


しばらくして、ラキがまた枝をグッと掻き分けると、視界が開けた。


 


そこには、先程まで木々に隠れて見えなかった光景が広がっていた。


 


背を向けている老婆が見えた。


その背中は、どこか頼りないようにも感じられた。


 


ラキは老婆に声をかけようと手を伸ばし、静かに近づいていった。


 


そして、老婆の背に隠れていたものが、次第に見えてきた。


 


ラキは足を止めた。


 


口に手を当て、思わず息を呑む。


 


老婆の前には、さっきまで追いかけていた少年が、首を吊って死んでいる姿があった。


 


ラキはどうすればいいのか分からず、ただ立ちすくんだ。


 


その時、老婆が背を見せたまま、静かに呟いた。


 


「お前が…」


 


ラキはその言葉に凍りついた。


 


「お前のせいだ。」


 


その言葉が、胸に響いた。


 


 


──


 


──


 


 


ラキは、掛け布団を蹴飛ばすようにして跳ね起きた。


 


同じ布団で寝ていたハッピーも、その音に驚いて跳ね起きた。


 


ラキの鼓動が、部屋中に響いているようだった。


**********


この作品を読んでいただきありがとうございます。


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正直相当面白いモノになったと思うので、是非ブックマークもしていってください。

後悔はさせません。


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