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不幸な少女は神になる  作者: カモノハシ
序章-死神と少女-
3/42

始まり-3

らなかった。


 


何度も飛び跳ねながら、プレゼントの箱をぎゅっと抱え込む。


 


「おばあちゃん、おじいちゃん、ありがとう!」


 


ラキの声ははじけるように明るく、心からの笑顔がその場を照らした。


 


 


──その刹那。


 


老爺が、どこからかカメラを取り出した。


 


ラキに向けて、カシャッと素早くシャッターを切る。


 


 


「……うむ。やはりこの子の笑顔ほど輝いているものはないな。」


 


そう言って、白く長いヒゲを指でなぞりながら、満足そうにうなずいた。


 


 


しばらくして、老爺はフィルムを外し、それを丁寧に広げる。


そしてラキと老婆にそれを見せた。


 


 


「フィルムを外すと、現像できなくなりますよ。」


 


老婆が苦笑交じりに言う。


 


「いいんだ。このフィルムにこそ、本物の景色が写っているのだから。」


 


老爺はそう答えた。


 


 


ラキもまた、その光景を目に焼きつけた。


 


この時間を、絶対に忘れないようにしようと思った。


 


 


──うと。


 


まぶたが、ゆっくりと重くなる。


 


普段よりずっと遅い時間まで起きていたせいか、ラキの目は眠たげに細まっていた。


 


 


「おじいちゃん、おばあちゃん。今日はありがとう。ラキ、もう寝るね。」


 


プレゼントの箱を両手で大事そうに抱えたまま、目をこすりながら立ち上がる。


 


 


「あら、そうね。もうこんな時間だものね。お手紙は、明日にでも読みましょう。」


 


老婆の声に、ラキはこくんと小さくうなずく。


 


 


そして、きゅっきゅっとパジャマの裾を引き上げながら、階段をのぼっていった。


 


 


──ギイ、ギイ。


 


この日の階段は、いつもよりずっとよく軋んでいた。


**********


この作品を読んでいただきありがとうございます。


コメントや評価、レビューを是非お願いします。

モチベーションに繋がり、日々を頑張れます。


1話毎の文字数は多くならないようにしているので、気軽にお読みいただければ幸いです。


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