8章 新たな仲間
読んでいただいてありがとうです。毎日小説を連載している人は凄いと最近常々思います!
一日経って犬の獣人達が出発の準備を始めるとアキが近づいて来る『使徒様達の準備は整ましたか?』そう聞かれ『はい、大丈夫です』返事を返しナナを見ると袖に掴まっている。
『それでは付いて来て下さい』アキに連れられ進むとマルクスとジョーと他の犬の獣人達と何やら集まり会議している『オヤジあっちに行ったら兄者に会えるんじゃねーのか?』ジョーが何かに指を指す『いやあっちには人間の村がある兄者なら避けるな』
近付いて気付いたがマルクスが地図を持っていた『アキさんあれって地図ですよね?』聞かれたアキは淡々と答える『ええそうですよ。村長は兄者から貰った物だからって私は見た事はあるけど触らしてくれなかったわ』
アキと話しているとジョーが俺に気付き話しかけて来る『ん?使徒様じゃあねーか!もう身体は大丈夫か?』それに続きマルクスも地図を見ながら喋る『使徒様こっちに来てくれ!兄者とはぐれた位置を教えてくれ』
二人に近付き『身体は大丈夫です。アキさんに治療の祈りを受けたんで』ジョーにそう伝えるとそうかそうかと俺の肩をジョーは叩きマルクスは『使徒様こいつを見てくれ!』そう言って地図を見せる。
見てみると地図は大雑把で✕と線だけ、例えるなら特定の位置だけわかるように書いた簡易地図のようだった『どうだ?はぐれた位置が分かるか?』そう聞かれてこの地図を見せられてもギリギリ分かるのが端から端に続く河らしき線だけだった。
『すみません東の村はどの辺りですか?』そう尋ねるとマルクスはここだ!と迷わず指を指す『じゃあここから西の村に行く途中の河です』凄く曖昧な答え方をしてしまった。
少し考えたマルクスはため息を吐き『わからん!』と元気に一言いいアキにため息を吐かれ、見てられなくなったのかアキが聞いて来る『使徒様、東の村長は西の村に向かっていたんですよね?』
『はいそうです。勇者が東の人間の町に居るらしいので、それを伝えるために…でもどうして皆さんは西の村から離れているんですか?』それはとアキが口ごもるとジョーが答える『勇者だよ』
意味が分からない俺にマルクスが説明をしてくれた『俺の村の近くに河沿いを住処にしてるリザードマンの集落があったんだ。昔は何回か争いはしたが、言葉が通じなくても何回も拳を合わせていくうちに仲良くなってな』
いやーあの時は若かったなーなんて黄昏ていたマルクスをアキが叩く『それでな、そこの集落が消えたんだよ。消し炭になってな、多分だが集落一つ消す魔法を使えるのが勇者くらいじゃないかってのを兄者に聞きたくて東の村に向かってたんだ』
アキが口を開く『次は私たちの村かもしれないと思い、東の村に避難と勇者の存在を伝えようとしたのですが、近道であるリザードマンの集落を横切るのが恐ろしくて遠回りをしたのですが、使徒様に出会い話を聞き、すれ違いになったようで…』
『そういう事だ!だからこそ、この兄者から貰った地図を使って合流をしたいんだが、兄者ならどうやって移動するか考えてたんだよ』二人の話を聞き勇者がどんな奴なのか知りたくなる。
さっき地図を見た時に疑問に思ったことを聞いてみる『地図に書いている✕は何ですか?』聞かれたマルクスはすぐに答える『人間がいる町か村だ』『じゃこれは河ですか?』と地図の端から端まである線を指を指す。
『そうだ河だ、兄者の村からいつも通りで来るとしたらここの河を渡ってリザードマンの集落を抜け少し行った所に俺たちの村がある』そう言いながら地図に指をなぞる。
『今の場所はどの辺りですか?』マルクスは大体この辺りだと指を指す。指した位置を見ると近くに河があった『この河を上ったら会えるんじゃ?』
俺の言葉を聞いた皆は不思議がりマルクスは『どうしてだ?』と疑問をぶつける『俺がはぐれたのが河だからポッチだけでも河の周辺を探しているんじゃないかって思いまして…』
マルクスは頷き『なるほどな。いい案が無いなら俺は使徒様の提案に賛同する!皆は?』このまま俺の提案が通りそうな勢いに水を差す事を言わないといけなかった。
『ちょっと待ってください!言っておきたいことがあるんです!』なんだ?とマルクス達が俺を見る『河に流された次の日に河に行ったら大量のゴブリンの死体が流れ着いていて明らかに剣で切った後だったんで…もしかしたら…』
マルクスが反応する『それは妙だな、勇者か何かがいるな…だが行くしかない!』村長!とアキが声を上げる『仕方ないだろう!何が待ってるか分からないが、兄者も俺たちを探してるかもしれないんだぞ?』『それでも私は反対です!もう少しここで待つべきです』
そこからアキとマルクスが言い合いを始め、ジョーに止められるとジョーと俺で探しに行くこととなった。
どうしてこうなったか言うと…
マルクスは探しに行きたいが村長なんだからダメとアキに強く言われ、ならジョーが俺だけ行くと言い出したがもちろんアキに止められたが、ジョーは反対されても食い下がらなかった。
マルクスもジョーの肩を持ち賛同するがアキはこの博打のような行動に渋っていた。
もしポッチだけじゃなく東の村の皆が俺を捜索しているなら俺も犬の獣人達に命を助けて貰った恩があり受けた恩を返すべきだと思い。
俺は行くことを提案すると、アキはしぶしぶだが条件付きで許可してくれたが、条件は俺とジョーの少数で行き、三日で帰ってくることと何かあったらすぐ引き返すことだった。
この話が決まるとアキは俺に小さい声で囁く『すみません使徒様…まだ私達部族の一部に使徒様を信用していない奴等が居まして…ここに居るより安全だと思い、追い出すような形になってすみません…』アキはそう言うと静かに離れていく。
確かに西の村の皆は俺に対して少し距離を感じていた、それは敵意とかではなく何か別の感情を含んだ目で見られている感じがする。
会議が終わり河の付近まで移動することとなり、移動しているとジョーが話しかけて来る『使徒様さっきはあんがとなオヤジも喜んでたぞ!たった三日だが冒険だぜ?ワクワクするな!』尻尾と腕を振り興奮している。
『ジョーは怖くないのか?』何がだ?と不思議がる『もし自分より強いやつがいて殺されそうになったら?』ハハハハハと笑い『俺が弱かったってことだ、素直に死ぬさ』潔いのか単純なのか。
『だがそうならない為に俺たち部族は逃げたんだよ。その結果生き残ってる。逃げることも正しいことだと思うが、俺は…いや忘れてくれ』そう言い先に進んでいく。
目的地の河付近に着きナナにポッチ達を探しに行くと言うと、ナナも行くと言い出した。
危険だと言っても付いて行くの一点張りだったのでジョーに相談すると『別にいいんじゃないか?たった三日だぞ?』と楽観すぎる返答をされ、アキに相談しても『言葉が分からないから使徒様が目覚める一日でも大変だったんです。それを三日はちょっと…』と言われた。
行き詰まりナナが付いて行くとこを許可したらナナは俺に抱き着き喜んでいたが、念のためナナに首から掛けれる小さいナイフを渡し使い方を教えておく。
急いでナナの分の荷物を準備をすると、ジョーが声を掛けて来る『直ぐに出発だもう準備は大丈夫か?』荷物を肩に掛け『ああ大丈夫だ!』と返事を返し、ナナを見るとあげたナイフを首に掛けどこか自慢げだ。
『じゃあ行くぞー!』声を上げ後ろの犬の獣人達にジョーは手を振る『直ぐに帰って来るからよー待っとけー』マルクスが手を振りながら絶対兄者を見つけろよーと声を上げる。
この先に何があるのか?ポッチ達は無事か?ゴブリンの死体は何だったのか?色んな事を考えながら俺も手を振り犬の獣人達に見送られる。
皆さんには申し訳無いのですが投稿ペースを下げます。睡眠時間がバグって来たのとリアルの仕事が忙しくなりそうなんで。
マルクスは地図を読めるわけでは無く兄のジョージにこの地図だけを読めるように叩き込まれた結果です。