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異世界転移したが俺に女神なんていない  作者: れみん
帝都

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58章 失ったものと得たもの

読んでいただいてありがとうございます。まず初めにすみません…

投稿が遅れた事に関してですが、仕事が忙しかったというのもあるのですが、いざ、休息が出来るとゲームばっかやって息抜きを楽しんだ矢先、また忙しくなったせいです。

今はだいぶ落ち着いたので、今までのを取り戻すようにがむしゃらで書いてます。

また応援の方をお願いします!!

 連れて来られた場所の外見は寂れた印象を受けたが、家の中もラニーの家と比べると月とスッポンであり、見るからに荒廃していて手入れはされてはいない。


 そんな場所が彼らの家なのか拠点なのかは分からないが、薄暗い室内を見渡すと窓や床は木で出来ており、家自体は主にレンガで出来ているように見える。


 そのせいか夜なのに関わらず壁から外にある街灯の光が漏れていて、閉め切っているはずの窓からも光が差し、風が吹くたびに木の隙間を通り中に風が入って来る。


 家に先に入って行ったリクは地面にポッチを下ろすと、部屋の暗さを気にする様子も無く奥に向かい、ベルは壁にあるランタンのような物に手を触れると光が灯る。


 その光で段々と部屋を明るくしていくと、ボロいと思っていた家は期待を裏切らないそのままの形で姿をあらわにしていく。


 だが驚いた事に部屋にはほとんど何も無く、明るくなった部屋で一番目に付くのがリクの横にある薪くらいであり、人が寝泊まりしてるようには見えず、それにここに住んでいるようにも見えない。


 奥に行ったリクは膝を突きどうやって火を点けたのか分からないが、暖炉に火を点けて慎重に薪をくべると立ち上がり話しかけてくる。


『こんなものか…まあ…座れ…別にあんたを拷問をしようって訳じゃ無いんだ……』


 そう言われ周りを見るが椅子も無いため、言われるがまま地面に座ると木の軋む音が静かな部屋で鳴り響く。


『悪いな…ここには初めから椅子も机も何も無くてな…』静かにそう話すと正面に向き合うようにリクが座る。


『…ベル、チルが心配だ。一応見てやってくれ…』『ハァ…確かに心配っすね……』扉の横で壁にもたれ掛かっていたベルは俺をちらりと見てからため息を吐き、リクと少し話すと外に出て行く。


 ベルが外に出て行ってから少し経つと、リクは立ち上がり俺に背を向けると暖炉に薪をくべながらゆっくりと語り出す。


『その獣を見て思い出した…ずっと昔だ…俺がまだ奴隷だった頃だ…』一呼吸置くとまた俺の前にゆっくりと座り、リクは話を続ける。


『…いつだったかは覚えては無いが、俺を含めた獣人の奴隷が、何人か森に駆り出された…いつも通り誰かを殺し…そして、いつも通り一日は終わると思った…』


 リクはポッチの方に目をやると、大きくため息を吐いた。


『最初は野盗か何かを殺すと思っていたら…まさか、相手が人間じゃなくて獣だったとはな……それも言葉が通じるとは…思いもしなかった…』


 ポッチの父親はかつて幼きポッチと母を逃がす為、戦ったと聞いたが…まさか…リクもそこに居たのか?


 疑問が尽きないがリクが話している内容がポッチの過去に関係があるのか断言できない…だが、リクを見てポッチが異常な反応を示したのは事実だ。


 そのことを確認する為に割り込むように言葉を放つ『貴方は…』


 だが、リクが手を上げて俺を止める『名前で呼んでくれ。俺の事はリクと呼んで貰って構わない…それに俺も勝手だがあんたの事をバルと呼ばせてもらう』


『そ、それじゃあ…リクは…』少し間を置いたせいか、何を言えばいいのか分からなくなってしまう。


 その為、曖昧な質問をする『…この獣を知ってるのか?』


 俺の言葉に睨むようにリクはポッチを見つめ、軽く頷くと話し出す。


『ああ…そこに居るそいつとそっくりな獣を殺した…殺したと思っていた……目の前にその獣が現れるまで……』


 静かに落ち着いた口調で話してはいるが、張り詰めた緊張感が漂う。


 リクが殺意を持ってこちらを攻撃して来たら勝てないのはバカでも分かるが、聞かないといけない事がある。


『ポッチをどうするつもりだ?殺すのか?』俺の言葉にリクは大きく息を吐き、睨むように聞き返す。


『今、何て言った?』『ポッチだ。そこに居る彼の名前だ』『聞き間違いじゃなかったか…ポッチ…か…本当に…言葉が通じるんだな…バルは…』


 リクは呟くように話し終えると腕を組み天井を見上げて、何か考えるようなそぶりを見せると俺の方へと視線を移す。


『さっき言葉が通じると言ったが、俺達、獣人が使う言語より、獣が使う言語には少し癖と訛りがあるんだ…何を言ってるのかは雰囲気で分かる程度だ…』


 リクが何故、急にその話をしだしたのか理解出来ないでいると、リクは静かに話しを続ける。


『だが、これで確信した。俺が殺した獣は死に、そこに居る…ポッチはあの獣の子か……』


『なぜそう言い切れるんだ?』俺の言葉にリクは覚悟を決めたかのように大きな息を吐く。


『村を包囲してから、そこに獣人達が先陣を切って相手の数を減らす、そして逃げた者を周りの人間達が殺す。


 これがいつものやり方だった…俺達、獣人は替えのきく存在だからな、だから死ぬまで戦わないと存在する意味がないと思っていた。


 でも、あの時は違った……リース…ポッチ…名前は聞き取れたが、死に際でその後に続く言葉が聞こえなかった…だが、それが獣の…最後の言葉だったからだ。


 俺はふと思ったよ。その獣と対峙する前に子を抱く獣を…見たんだ。あのまま逃げても殺されると分かったから、俺は全力で走り人間達を殺して回った』


 リクはポッチを少し見ると睨みつけるような視線を俺に戻す。そして頭に手を伸ばし被っていた黒いハットを外す。


 獣人だと言っていたはずのリクの頭にはケモ耳は無く、短髪の毛をオールバックにしているせいか違和感がなく、普通の人間にしか見えない。


『俺はチルやベルとは違い、生まれた時から奴隷だ…家畜のように扱われ、何度も死に掛けたがここまで生きて来た…


 だが…今の俺は赦されない存在だろうな…昔の俺なら殺されても仕方ないと命を差し出したが…今の俺にはそれが出来ない…守る物が…ハァ…時間だ…』


 最後の言葉の後に勢いよく扉が開き、ベルの姿が見えると後ろに息を切らしたルチルと共にドレス姿の見知らぬ女性が姿を現す。


『リクー!チルが行方不明になったっすんけどー!見つけるの手伝ってー!』『ハァハァ…リク、私からもお願いだ!チルを探してやってくれ!』


 ベルに続きルチルがそう声を上げるといつの間にハットを被ったリクが静かに立ち上がり扉に歩き出す。


『すぐに戻る…』横を通り過ぎる際にそれだけを言い残しリクは外へと出て行き、ベルはこの場から逃げるように外へと出て行く。


 ルチルが二人を見送ると静かに振り向いて、困ったような表情で話し掛けて来る『いやー、バル・バトス様、本当に申し訳ございません。私の護衛が…』


 俺を見てからその後に床に居るポッチに目が行ったのか、ルチルは言葉に詰まる。


『…凄いですね。初めて獣を見ました…えーと…近くで見ても…大丈夫ですか?』


 ルチルは落ち着いた様子で話し、隣に居る女性がそのことを止めようとするが、ルチルはワクワクを抑えきれないような身振りを見せる。


 そんな彼に、突然ポッチが起き上がって襲いかかろうとする。


 一瞬の出来事でポッチにやめるように声を掛けれず、何か鈍い音が聞こえて来る。


 頭が真っ白になりどうしたものか考える暇も無く、ルチルが後ろによろけて尻餅をつくが、ルチルは怪我をしてるようには見えない。


 改めてポッチを見て理解する…ルチルが無事な理由は、攻撃が当たる直前に横に居た女性がポッチの腕を掴んだからだと。


 そのことに呆気に取られたポッチが動きを止めると、すかさずに女性は掴んだ腕をポッチの後ろに回して、痛がるポッチの後ろから膝を蹴って流れるように地面にポッチを押し倒す。


 一連の動きに迷いが無く、自分より大きなポッチを一瞬のうちに制圧する姿に只物ではない雰囲気を感じ取る。


『やっぱり起きてた。殺気が漏れてたわよー?』ポッチに対して楽しそうに話す女性にルチルは起き上がり、声を上げる。


『マリー!ドレスが!』『いいじゃない別に、もう着ないんだから。それよりー、ルチル?私はドレスよりいつもの服がいいわ!動きづらいもの』


 殺されそうになったルチルとポッチを組み伏せたまま普通に会話を始める二人に驚きを隠せない。

また後日何か書くかもです。

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