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異世界転移したが俺に女神なんていない  作者: れみん
帝都

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57章 敵か味方か

読んでいただいてありがとうございます。投稿期間が空いて申し訳ないです…


10月20日 内容を追加しました。

 暗くなった道に街灯の微かな光が差し込んで周辺を少し明るくするが、この道を通ろうとする人はこっちを見ると避けるように道を引き返す。


 そんな事を気にする様子も無く、ベルが笑いながら問いかけた言葉をチルは理解出来ずに首をかしげてベルを見つめる。


 少しの静寂の後、呆けた顔のチルにベルはもう一度、問いかけるが言っている事が理解出来ないチルはまた首をかしげて口をポカーンと開ける。


 その表情を見たベルは吹き出して声を上げて笑い出すと、チルはハッとした表情に変わりベルに詰め寄り声を荒げる。


『ベル!話を逸らすな!また適当な事を言って煙に巻くつもりだろ?俺は騙されないからな!もう茶番はいいから早く帰るぞ!』


 怒鳴られたベルはチルに対して引きながら驚く『えぇ…嘘でしょ…チル…ホントにマジで気付かないんっすか?』


 ベルにそう言われたチルは怪訝な表情を浮かべると、周りを見渡して初めて俺に目を合わす『あっ!…あの時の人間じゃねーか!べ、ベル!どうして!こ、こいつがこんなところに居るんだよ!』


 慌てながら驚くチルに対して、ベルは目と口を大きく開けて呆れるよな顔をした後、ため息を軽く吐くと無言でチルの肩を叩いてから巨体の男を指差す。


『なんだ!ベ…ん?あー!やめろリク!やめろって!殺気を飛ばすな!その人間はトルナイト様のお客だ!』


 チルが今更やっと俺の存在に気付いた事に少し驚いたが、見ているとチルは慌てて巨体の男に駆け寄り、やめろと声を上げながら服を引っ張る。


 だが、リクと呼ばれた男は動く気配が無く、逆にチルは必死に服を引き続けるが足がジタバタするだけで動く気配が無い。


 それもそうだと分かるくらい、チルとリクは身長と体格に差があり、どう見ても小柄なチルが巨体のリクを引っ張ても動くはずがない。


 だが、これで争いたいわけでは無いという事が分かり、こっちも敵意が無い事を示そうとポッチに止めるように声を掛けて地面に落ちた布を拾い上げる。


 布を広げて土を軽く落とし、ポッチに渡そうとするがポッチはまだ警戒を解いて無いのか、話し掛けても反応しない。


 すると、突然ベルはイライラした様子で声を荒げる『あー!もう!違うって!それにリクやめなって!マリ姉に言うよ?またリクが意味も無く殺しをしたって!いいんっすか?』


 その発言の後、嫌な威圧感が無くなり、ポッチはリクを睨みつけ警戒したまま後ろへ数歩下がると息を荒くして膝を突く。


『ポッチどうした?…平気か?』ポッチにそう話し掛けても、うつむき乱れた呼吸を整えていて返事が返って来ない。


『ベル…別に俺は殺そうなんてし…』『リク!安心しろ!ベルが適当な事を吹いたら俺がマリーさんに事の経緯を説明してやるから!』『チル…ありがとう…』


 下を向き落ち込むリクにベルが声を上げて怒る『あーもう!嘘だって!リク、マリ姉には言わないっすよ!…ハァ…てか…マリ姉…絶対怒ってるだろうな…』


 ベルは声を上げてリクに話すが、徐々に声は小さくなっていき、最後にはため息を吐くように話し、声に元気がなくなる。


 そんなベルに対してチルは手を広げて納得していないような仕草を取ると不機嫌な態度で話し出す。


『それで?ベル、話を戻すが、この人間が何か問題なのか?』『え?あー!そうじゃなくて!チル違うんっすよ!この人は人間じゃ無くて獣人っすよ!』


 ベルが何かを自慢する子供の様に自信満々にそう話すが、チルは口を大きく開け、太ももを叩き笑う。


『オイ!リク!聞いたか?こいつが獣人だってよ!どう見ても人間だろー?なぁリク?』


 リクを叩いてさらに笑うチルを見てリクは俺とポッチを見て口を開く。


『チル…こいつはさっき俺達…獣人が使う言葉を話した…それにさっきからチルにベルそして俺の話している会話も理解している。これの意味が分かるか?』


 リクが話し終えると、チルは首を傾けて難しそうな顔で俺とリクを何回か交互に見てから驚く。


『はッ⁉…って事は…あの人間は…俺達の言葉が分かるって事か?』チルは俺に指を指してリクに尋ねると小さい声で返事を繰り返す。


『そうだ…』『この会話も?』『そうだ…』『マジか!それじゃあ…今までの俺達の会話も聞かれてたって事か…』『そうだ…分かったか?チル?』


 二人のやり取りが終わると、チルはこちらをチラッと見てからリクを連れて声が聞こえないであろう距離まで離れていく。


 そのやり取りを見ていたベルがため息を吐くと話し掛けて来る『チル本人はいつも真面目なんっすけど、何て言うか…正直ポンコツなんっすよねー』


 やれやれと言わんばかりに額に手を置いてうなだれるベルだったが、場が静まるとゆっくりこっちに近付いて来て話し掛けて来る『…それで?耳は尻尾は?』


 このタイミングでまた振り出しに戻るような質問をするベルに声を荒げてしまう。


『だから、初めから無いって言ってるだろ!それに俺達は今それどころじゃないんだ!用が済んだなら、もう行っていいか?』


 苛立ちが隠せず少し言葉が強くなってしまいベルはムッとしたのか頬を膨らせ、むくれる。


『いいじゃないっすか…教えてくれても…うちはただ知りたいだけなのに…ホントちょっとくらい教えてもいいじゃん…』


 俺の言い方が悪かったのかベルは見て分かるほど元気が無くなり、小さな声でブツブツ話すと拗ねてしまったのか顔を伏せて黙ってしまう。


 言い過ぎた気もするが、先を急ぐ為に拗ねるベルを横目にポッチに布を被せて立ち上がらせようとすると、奥からチルの怒鳴るような声が聞こえる。


『ベル!そいつらを逃がすなよ!』『チルゥ…そんな気分じゃないんっすけどー…ハァー……バトスさん面倒なんでそこから動かないで貰っていいっすか?』


 さっきまで拗ねて顔を伏せていたベルが、けだるそうに俺に視線を向ける。


 ただ、口調は変わらないのにさっきまでの調子のいいベルからは想像できないほどの冷淡で感情が無い様な目で俺を見るベルに気圧される。


 それにさっきリクから受けた嫌な威圧感とは違い、棘の様に刺すような威圧感で一瞬で動きたいと、いうような感情が無くなる。


 もし仮にポッチがさっきまでリクからこの威圧感を受け続けていたなら、動けないのも理解出来ると思えるほど体が言う事を聞かない。


『よし、ベル!とりあえずこの二人をマリーさんの所へ連れて行く』何やら勝手に話しが進み、ポッチは抵抗する事も無くリクに軽々と持ち上げられる。


『え?そんな事していいんっすか?』会話をしながらベルが俺の手首を掴むと刺すような威圧感は無くなるが腕を背中に回されて身動きが取れなくなる。


『分からないから、それをマリーさん聞くんだよ』『ちょっとリク!チルはそう言ってるんっすけど本当にいいんっすか?』『俺はチルに従う…それに少し気になる事もある…』


 担いだポッチを見てそう話すリクにベルはため息を吐き諦めたように適当に返事を返すと腕を押され歩かされる。


先頭を歩くチルとリクが何か会話をしているが、チルが俺に目をやると突然距離を空けられ、その上、口に手を当てて何を話しているのかさえ悟らせないようにし始める。


そこまでして俺に聞かれたくない内容なのかどうかは知らないが、正直どうでもいい。


俺は今すぐにでもカレンを見つけて、あの家で起きた事を説明して、カレンの力でボルガを連れて来ないと…腹に怪我を負ったダニエルがいつまで持つか分からない。


切羽詰まる俺とは対照的に進み出した矢先、後ろで俺の腕を掴むベルが沈黙に耐えれなかったのか、ソワソワしながら小声で話し掛けて来る。


『ねっ、ねぇ、バトスさんホントに少しでいいっすから、耳、耳だけでいいんでどうやって切ったか教えてくださいよー』


またこの質問をしてくるベルにイラっとしたが、逆にここまで執拗に聞いて来る事に狂気を感じ、焦りが恐怖に変わりベルが怖くなる。


それと同時に獣人にも興味も湧き、耳の聴覚はどちらで機能しているのか気になる。


腕を掴まれ逃げる事も出来ない今は怒らせないように様子を伺いながら言葉を返す。


『その質問に答える前に…どうしてそこまで執拗に聞くんだ?…それに気になってたが、普通に人間の……って言っていいのか分からないが…耳が…』


話している途中で思い出す、ジョエルが王都では耳や尻尾を切り落とされた獣人が居るという話を…


前を歩くチルとリクの頭にはケモ耳を隠す為かハットのような物を被っているが、ベルは最初こそフードを被っていたが今は被っていない。


そんなベルのケモ耳はボサボサの短い髪で目立たないようにしていて、近くで見ないと分からないくらい目立たたない。


だがよく見ると左右で耳の長さが違い、刃物か何かで雑に切られたような跡があり、傷跡は完治しているが何か違和感がある。


ベルは誰かに無理やりケモ耳を切り落とされたのではないかと…


変な想像をしてしまい言葉が詰まると、ベルの表情が消えていくのを見て『…い、いや、何でもない……』そう呟き、顔を逸らすと静かにベルが話し出す。


『バトスさん…本当に獣人じゃあ無いんだね。ふーん…なんだ……うちがバカみたい…』


怒るわけでも呆れるわけでもないような話し方で、静かにベルがそう話すとそこから話し掛けられる事も無いまま、全く知らない場所に連れられる。


『おいベル!そい…その人を見張っとけよ。俺はトルナイト様に報告してくる。じゃあリク、後は頼んだぞ!』


そう言ってチルがその場から離れていくとリクが静かに声を掛ける。


『チルそっちじゃない。逆だ。ボスはあっちの宿だ』『クソ!あっちか!リクありがとうな!』


チルが離れて行くのを見たリクは俺を見てからベルに話しかける『ベル、話は大体聞こえてた。そいつが人間だろうが獣人だろうが俺はどうでもいいが、変な気を起こすなよ…』


そう声を掛けられたベルはいつもの口調で言葉を返す『分かってるっすよ。早く部屋に向かいましょうよ』


ベルの言葉に返事を返す事も無くリクは開けた扉に向き合うが、ただでさえ図体がでかいリクはこのままだと通れないと察し、担いだポッチを下ろして、羽交い絞めをして引きずって中に入っていく。


ポッチは気を失っているのか、なされるがままそのまま連れて行かれ、俺もベルに押され建物の中に入れられる。

まだ帝都でやることが出来たので当分出れないような気がしてきた…早く帝都から出て王都に行きたい……

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