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異世界転移したが俺に女神なんていない  作者: れみん
帝都

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50章 一難去ってまた一難?(後半)

読んでいただいてありがとうございます。忙しい中50章まで書いたので新しく別ジャンルの小説を書き始めました。

息抜きで書くので投稿頻度は未知です。

 周りの視線を感じ、改めて自分の服装を見ると服は破れ所々血が付いていて、ズボンは元々茶色だったのにナイフを刺された足の方は血で赤黒い色に染まっている。


 今の服装では明らかに場違いな場所だと思いながら辺りを見渡すと奥の方で椅子に座り食事をしているルチルの後ろ姿が目に入り、近付こうと歩き出すと目の前に大柄な男が現れ止められる。


 目の前の人物を見上げるとポッチより背が大きく、それにただ縦に大きいのではなく横も大きくガタイが良い、それに威圧感が凄い。


 その威圧感の要因は大きい事もあるが、主に服装で男は黒のトレンチコートを着ていて、頭には服と合わせるように黒いハットを深く被り、ハットからわずかに見える目で俺を見下ろすと低い声で話し掛けて来る。


『なにか用か?』その言葉に怯まず話し返そうとすると同じような服装の細い男がすぐにやって来て大柄の男と話しだす『どうしたリク?この人は通して良いって言われてるだろ?』『すまない…忘れていた…』


『なぁリクしっかりしろよ。お前より強い奴に出会えたのがそんなに嬉しいのか?』『………』『おいどうした?まあいい、あとで聞いてやるから今は俺に任せろ』


 二人が話し終えると大柄の男は俺から離れ、細い男が俺に頭を下げ喋り出す『すみません、バル・バトス様。直ぐにトルナイト様の席にご案内します』


 細い男が頭を上げると静かに歩き出すので後を追うように付いて行くと細い男は聞こえるか聞こえないか位の小さい声で愚痴を喋り出す。


『やっぱりベルに任せるべきじゃ無かった…一緒にここに連れて来る予定だろ?クソ、あいつは何処に行きやがった…ハァ…それにあのリクが人間の子供相手にあんなにビビるなんて…』


 一人で喋り続ける目の前の男から顔を逸らして少し気まずさを感じつつ、付いて歩いているとルチルが席を立つと両手を開きこちらに声を掛けて来る。


『バルバトス様!またお会いできて良かったです!どうぞこちらに座って下さい!レディもこちらにどうぞ!』ルチルに軽く会釈をして促されるまま席に近付きナナを下ろそうとするが抵抗される。


『ナナ?』『イヤです!』食い気味にそう言われ困っていると俺を連れて来た男と席に座ったルチルが話し出す『チル?ベルはどうした?彼女が連れて来るはずじゃ無かったか?』


 ルチルの言葉を聞くとチルは肩を落とし、見てわかるくらい落ち込んで深く被っていた帽子を取って頭を下げ謝り出す『トルナイト様すみません…彼女が連れて来る予定でしたが…居なくなりました…』


 帽子を取り、下げた頭を見ると短髪の茶色い髪と一緒の色のピンと立ったケモ耳が目に入る。


『チル…私は怒ってない。それにここは帝都だからいいがいつも帽子は外すなと言ってるだろう?』ルチルはそう優しく話しかけるとチルは焦るように帽子を被ると謝る。


『すみません…何度もご迷惑をお掛けして…それと後でベルを捕まえて一緒に謝りに行きます』そう言って下がろうとするチルをルチルは止めて優しく諭す。


『チル落ち着きなさい。ベルの性格は少し難があるが私が了承した上で雇っているんだ。それに彼女は面倒くさがりだがちゃんと仕事はする子だから責めないでやって欲しい』


『トルナイト様…ありがとうございます…』頭を下げ泣き出したチルの肩を叩きルチルは声を掛ける『チルいいか?ベルが帰って来ても叱るんじゃないぞ?』


『分かりました。これ以上ご迷惑はお掛けしません』『よし。それじゃあチル、私は客人の相手をしたいんだ下がってくれ』その言葉にチルは軽く会釈をしてルチルの後ろに待機する。


『すみませんね…バルバトス様、私の護衛が迷惑を掛けてないと良いのですが…お詫びに何か食事でもいかがですか?』正直腹は減っているが断る『いえ大丈夫です…この後、急ぎの用事があってここには報告だけしに来たんです』


 俺の言葉にルチルは俺とナナを交互に見て話しだす『そうですか…いやーレディとバルバトス様がその様子だと無事と言って良いのか分かりませんが戻って来て良かったです。それと預かっていたこれをお返しします』


 そう言ってハンカチを広げて俺が預けたナナのナイフを出すとチルが流れるように前に出て来て、ルチルからナイフを受け取るとこっちに来て俺の手に渡される。


 ナイフをナナに渡そうとすると露骨に嫌な顔してチルを見る『ナナどうした?』静かにそう訊ねるとルチルは笑いながら話しだす。


『それを騎士団長殿に渡すような事にならなくて良かったです…それと話は変わりますが一ついいですか?』笑うのを辞め真剣な口調に変わるとルチルから質問をされる。


『カレン様は本当に人間ですか?』それは俺もそう思うが俺もカレンの素性が分からないので、どうしてそう思うのか尋ねるとルチルは苦笑する。


『いやーカレン様の噂は聞いていたのですが噂以上のものでしたので…それに私がここで食事をしているのもカレン様と私の護衛によって露店を破壊されたのが原因でしてね…』


 驚く俺にルチルは淡々と何があったのか話し始める『まぁなにがあったかと言いますと…バルバトス様と別れた後、カレン様がお一人で露店に来ましてね…バルバトス様の居場所を聞かれたのですが…


 私も商人ですから商品と私を守る様にと護衛を雇ってはいるのですが、その一人がカレン様の凄さ…と言いますか…何かを感じ取ったみたいで…私を守ろうと前に出てカレン様に触れた瞬間、たった一発のパンチで吹き飛ばされましてね…


 護衛は死んでは無いのですが、吹き飛ばされた先が私の露店でして…商品が滅茶苦茶になりましてね…それに気付いたらカレン様が居なくなっていたので…』


 だからカレンは俺に行くなと言ったのか…カレンの滅茶苦茶さを知っている分、申し訳なさを感じているとルチルは話を続ける。


『あー言っておきますが、私は別にカレン様に商品を弁償しろと言いたい訳では無いのですよ。事実カレン様からではなく護衛が先に手を出したことですから…ですが私の選りすぐりの護衛がまさかパンチ一発で吹き飛ばされるとは思いませんでした…』


 苦笑しながらそう話すとルチルは申し訳なさそうにナナを見て話を切り出す『ただ…その事で、言い訳になってしまうのですがレディに頼まれていた商品がその…一緒に巻き込まれまして、売れるような物にならなくなってしまったのです…』


 その言葉にナナが反応して俺に下ろしてと言って来るので、ナナを下ろすと慌てるようにルチルの元に行く。


 机を挟んで二人を見ていると何かを取り出しナナの手に渡していく『こちらは無傷で済んだのですが…もう一つがこのように…』初めに出された物はブレスレットらしき物でもう一つが湾曲した棒状の小物だがぱっと見、何ともないように見える。


 だがルチルがその小物に指を指しナナに話しかける『分かりますか?ここが割れてしまって…前に説明しましたがこのままだと機能しないのです…それにこれが割れてしまうと直せないので売れるような物ではならなくなってしまったんです』


『それじゃあこっちは駄目でもそっちは光るんですか?』ブレスレットを指差しナナが尋ねるとルチルはハイと頷くが何か不満がありそうな顔をする。


『じゃあ買います』だが何も気にする様子もなくナナがそう言うとルチルは焦る『ですから売れるような物では無いんですよ!それにこんな半端な商品を売ったとなれば…私の商人としてプライドと信用が…』


 それでもナナは買うと言いルチルは別の商品を勧めてみるがナナは拒否して話が平行線になる。


 言い合いを見てナナは譲らないと分かっているので口を挟む『ルチルちょっといいか?無料で商品を二つ貰えるって話しでしたよね?』『ええ、そうですが?』『売れないならその二つを貰うよ』


 その言葉にルチルは迷いだす『えーそれは…不良品を押し付けるみたいで気が乗らないのですが…』『ナナはこれが欲しいんだろ?』ナナにそう尋ねると激しく頷く。


『うーんレディとバルバトス様がそれで納得するなら…それにこの商品は二つで一つの商品ですのでもう一つ何か無料で差し上げます…後これとは別に、商品を駄目にしてしまったお詫びとして指輪をサービスします』


 そう言って胸ポケットから布を取り出すと中には指輪が包まっていて小物と分けるように一緒に指輪を布で包むとナナに渡し、席を立ち俺に話しかけて来る。


『また明日同じ場所で露店を開くので来てください。そこでまた一つ商品を選んで貰って、それを差し上げますので。それと急ぎの用事があるのに引き留めてすみません』そう言い軽く頭を下げる。


『俺もナナも無事だったし、それにこちらこそ面倒な事を頼んだり、カレンが店と商品を滅茶苦茶にして申し訳ない』そう言ってこっちも謝るとルチルは笑顔で手を差し出す。


 手を掴み握手するとルチルは機嫌良く話し出す『久しぶりに貴方のような人に出会えてこちらも気分が良いです。それでは私の護衛が表までお送りします』


 そう言ってルチルと握手した手を放すとナナは手を広げて抱っこ待ちの態勢を取り始めるので、そんなナナを軽く持ち上げて先を歩くチルに付いて行く。

ルチルの護衛ですが基本獣人です。何の動物をモチーフにしてるのかは本編で説明があるかも…ないかも…

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