49章 個々の強さ
読んでいただいてありがとうございます。
4月17日 一部分編集して、後書きを追加しました。
能力が進化…という事は俺の武器生成も進化して銃器が使えるようになったりするのか?だがそもそもこの能力の存在自体意味が分からない、超能力の類なのかスキルの派生なのか…
『まず能力って何なんだ?』俺の疑問にボルガは怪訝な表情になる『ハァ?何を言ってんだ?お前は武器生成の能力を持ってるのなら自覚があるだろ?』
ボルガはそう言うが俺はこの世界の人間じゃないし…それに意味の分からない存在にこの能力とやらを急に渡されたんだぞこっちは…
『それにお前も俺も神に選ばれた人間なんだ。考えてみろ?俺の能力とお前の能力があれば無敵だ。戦争を起こせば武器は無限にあって、負傷した奴が居れば俺が治す。
国を興して俺達の力を示せばべアルスの名が世界に轟くんだ!そうなればなんでも出来る。どうだ?悪い話じゃないだろ?』
こいつ一人で勝手に盛り上がっているが俺はそんなことに興味が無い。だが能力の話し自体はもっと詳しく知りたい気持ちもあるがボルガの手下が居ない今、こいつをどうにかしてナナを取り戻す方が大事だ。
『確かに俺はある意味選ばれた存在かもしれないな…だがお前の野望に興味はない。あと能力が進化するって言ったな、これが進化なのか?』そう言いМ67グレネードをボルガの前で生成して見せる。
出て来た物を興味深そうに見るボルガに安全ピンを抜きながら話し掛ける『言っとくがこれはそこに転がっているフラッシュバンと違って人を簡単に殺せる武器だ。死にたく無かったら子供を返せ』
俺の言葉にボルガは明らかに警戒し始める『待て待て…ハハハ…分かった分かった…落ち着けって…薬漬けにするって言ったがあれは冗談だって、それにガキは解放してやるからどうやって進化させたかだけ教えろ』
こんな狭い空間でこいつを使えば俺自身無事では済まないと分かっているので出来れば使いたく無かったから、脅しが効いて良かったが…今こいつは進化する方法を聞いて来たのか?『待て。お前は能力を進化する方法を知らないのか?』
俺の言葉にボルガは苛立ちを隠さず答える『あー俺は知らない。だがお前は武器生成を進化させたんだろ?だからお前に聞いてるんだよ。で?どうやるんだ?』
まさかボルガは能力を進化する方法を知らないとは…だが嘘をつけばナナが解放されるならそれに越したことないが…その後はどうやってここを切り抜けるかだが…
この場をどうするか迷っているとこっちに歩いて来る足音が聞こえてくる『次は何だ?』呆れたようにボルガがそう言い開いている扉の向こうを見て固まる。
『バル!アハハ!ごめんなさい!』笑いながら俺の前にカレンが戻ってくる『私ったらホント…バルを呼んできてって言われてたのにあの話のせいで忘れてたわ』笑顔でそう話すカレンの腕には複数の酒瓶が抱えられていた。
そのカレンの姿にボルガは口を開け呆けたまま話しかける『カ、カレンさん?それ…』話し掛けられたカレンはボルガを見ると機嫌が悪くなる。
『なに?ボルガちゃんの子分がどうぞどうぞってくれたんだけど?なんか文句でもあるの?』『いや…文句は…ないです…』力なくそう言いボルガは肩を落としうなだれる。
落ち込むボルガを見てもカレンは気にせず俺に話しかけて来る『バル?どうしたの?ギルドに行きましょ?』『あ?ああ…』と返事を返し、手にあるグレネードを消し立ち上がる。
カレンとここから出る事は出来るがナナを置いていけない…素直にナナがこいつに拉致されたと言えばカレンはボルガを殴るなりして居場所を吐かしてくれるかもしれないが…恨みを買ってしまうだろうな…
迷う俺を置いて部屋を出て行こうとするカレンに話しかける『なあカレン、実はナナとはぐれて、そこのボルガって人がナナを見つけてくれたみたいなんだ…』
これでボルガの肩を持った訳だが、これでナナに危害が加えられる可能性と俺にヘイトが向かわなればいいんだが…
俺の言葉を聞いたカレンは踵を返しボルガに詰め寄る『へぇーボルガちゃんが人助けねー…で?ナナちゃんは何処に居るの?』そうカレンに聞かれたボルガは何か言いたげに俺を睨んでくる。
その様子にカレンは腕いっぱいに持っていた酒瓶を優しく地面に置き、そのうちの一つを手に取り酒瓶の飲み口を掴むと何の前触れもなく、地面に座っていたボルガの頭目がけて振り下ろす。
勢いよく中身のワインとガラスの破片が飛び散り、殴られたボルガは地面に伏せ、血なのかワインなのか分からないが白髪だった髪が薄い赤色に染まる。
カレンの急な行動に驚きと恐怖を抱いているとカレンは口を開く『ボルガちゃん…なにバルに殺気を飛ばしてるの?今私が話してるのを聞いてた?』
そう冷たく話し、割れた酒瓶を倒れて動かなくなったボルガに投げつける。
目の前の出来事に意味が分からな過ぎて固まってしまったが直ぐに声を上げる『え⁉…ちょ!カレン!そんな事して死んだら…』『バル…貴方はホントに優しいのね』そう言い笑顔を向けて来る。
恐怖で声が詰まるとカレンはボルガの髪を掴み話しだす『大丈夫よ、これくらいで人間は死なないわ。見てて』そう言い頬にビンタを数発入れる。
『あぁ…うぅ…やめて…もうやめて…ください』ビンタで目を覚まし、かすれる声で喋るボルガを見て『ね?生きてるでしょ?』と言い掴んでいた髪から手を放す。
カレンは手を数回はたき地面に倒れるボルガに話しかける『ねぇ?ナナちゃんは何処?早く連れて来て、私達これからギルドに行かないといけないのよ』
話し掛けられたボルガは震える手で頭を押さえ能力で治療しながら痛そうに話す『うぅ…分かりました…でも少し待って下さい…』『だから!急いでるって言ってるでしょ?どうしてこっちが待たなきゃいけないのよ!』
カレンがそう声を上げるとボルガはふらつきながら起き上がり、地面に赤い斑点を残しながら急いで部屋を出て行く。
やっぱり圧倒的な暴力が全てを解決するのかと考える俺にカレンが近付いて来て恥ずかしそうに話しだす『ねぇバル…試したい事があるんだけど…昨日みたいにもう一回ギュってして?』
カレンは腕を開き恥ずかしそうにこっちの様子を伺う、だがさっき見た光景が脳裏に浮かび、機嫌を損ねないようにすぐにカレンを抱きしめる『うう…やっぱり恥ずかしぃ…もう、もういいわ!ありがとう!』
そう言ってすぐに離れ、深呼吸をしてそっぽを向くカレンにこの際だから聞いてみる『カレンは俺の事どう思ってるんだ?』少しの沈黙の後、こちらを見てカレンは悩むようなそぶりを見せる。
カイルが言っていたがカレンは男と女の認識が無い、彼女にあるのは友達かそうじゃないかだけだと、なら俺はどの位置に居るのか…
カレンはうつむいて話しだす『分からない…でもバルといたら落ち着くし、ギュってされたらドキドキもする…こんな気持ち初めてで私もよく分からないの…』
その言葉でカレンはそういった認識が無いのではなく、分からないだけだと分かり何て言っていいのか迷う『なぁカレンは好きな事ってあるか?例えば…お酒を飲むとか…』目に入った酒瓶を見てそう話すとカレンはすぐに反応する。
『食べる事は好きよ!それも美味しい料理をね!そうだ!ギルドの用事が済んだらバルもシャルンってお店に一緒に行く?』さっきの雰囲気とは変わってカレンは機嫌が良さそうに話しだす。
『あ、うん。行こうか…じゃなくて、その気持ちは…』『いや!離せ!』ナナの声が聞こえ、すぐに部屋を出て廊下を見るとナナの髪を掴んでこっちに歩いて来るボルガの姿が目に入る。
それを見て怒りで声を荒げてしまう『オイ!今すぐその手を放せ!』『なんだよ?連れて来てやっ…』『バル様!助けて!』ナナを助けようと体が動くが、何故か後ろに居たはずのカレンが気付いたらボルガの前に立っていた。
一瞬の出来事にボルガも驚く『ッ⁉カレンさん!ちゃ、ちゃんと言われた通り連れて来たんだから、殴るのは勘弁してくれ』
『ナナちゃんを放して』いつもの口調でカレンはそう話すがボルガは身震いを始め、掴んでいた髪から手を放しすぐにナナは解放される。
解放されたナナは下を向きこっちに走って来ると俺の後ろに隠れる『ナナ大丈夫か?何かされてないか?』そう話し掛けナナを見ると涙を流し怯えた顔をしている。
『ごめんな…俺が駄目なばかりに…こんな思いをさせて…』ナナを抱きしめ落ち着かせるように背中をさすってあげると後ろで凄い音が鳴り小さい何かが背中に飛んで来る。
その音の方を見ると土煙が上がり廊下の壁が破壊されていて、ボルガとカレンの姿を確認出来ないでいると崩れた壁からカレンが姿を現し、服に着いた土埃を落としながらこっちに歩いて来る。
『さぁ!ギルドに行きましょ!早くしないとジョエルがお金をちょろまかしそうだわ』平然と何も無かったようにそう話すカレンに俺と泣き止んだナナは顔を見合わせる。
『ナナ俺はこれからギルドに行くが、どうする?』そう話すとナナはさらに力強く俺に抱き着き震える声で静かに話す『バル様と一緒にいたいです…』
ボルガ・ミーシア ボルガは戦争孤児でグレックに育てられ、一緒に育った血の繋がっていない兄弟がいるが仲が物凄い悪い。その原因は能力持ち故に父のグレックから特別視された事もあるが主に性格が悪く他の兄弟を能力の実験台にする事があったからだ。
グレックの父は優しい人物で戦争で親が居なくなった孤児達を集め、べアルス孤児院を設立し運営を行ったが個人の資金ではすぐに底を着き、見かねたグレックが強請や盗みで金を得ていくと同時にグレックの悪名が広まり、そのことを知った父から家族の縁を切られ、父の為の行動を否定されたと思ったグレックは復讐を兼ねてべアルスの名を使い組織を作る。
数年で組織は大きくなり金回りも良くなったが父が死に復讐の意味を無くしたグレックは父が残した孤児院を買い取り、孤児院に居た数人の孤児を育て始め、組織の名をべアルスファミリーに改名した。




