46章 希望の無い運命
読んでいただいてありがとうございます。新たに文章を追加したので読んで頂けると幸いです。
一応これで書き足す事は無いと思いますがまた編集するかも…
辺りを見渡してもナナの姿は無く、ルチルに聞いても俺と同じで気付いたら居なくなっていたと話し、探し行く前にルチルにナナが帰って来たらここに居てくれと伝えてくれと言い残し、ナナを探しに行く。
人だかりが邪魔で目で探すのが難しく、声を出してもかき消すように辺りは人の声で溢れ、俺の声が届いているのかすら分からない。
そんな中ひたすら無我夢中でナナを探すが見つける事は出来ず、小一時間ほど探し回ってルチルの元に戻ってきているという希望を抱きながら戻るがルチルの露店を遠目に見てもナナの姿は何処にも無い。
戻って来た俺にルチルが大きな声で話し掛けて来る『バル・バトス様!居場所が分かりましたよ!』その言葉を聞き安堵したが何か引っかかる言い方に不安も覚える。
『何所に居るんだ⁉』思っていたより声が出て俺の周りの人が一瞬で静かになり俺を避けるように道が出来るが、気にせずルチルの元に近寄ると『先にこれを見て下さい』とナナのナイフを見せて来るがこれを見てすぐに察する。
『どこの誰だ?ナナを拉致した野郎は?』怒りを露わにした俺にルチルは迷いながら話す『先程ある男がべアルスファミリーの者だと名乗ってこのナイフとこれを渡してきたのです…』その名前を思い出すと監獄に居た男で俺が殺したダムが思い浮かぶ。
ルチルからナイフと何か書いてある布切れを渡される『べアルスファミリーか…殺されたダムの仕返しか?それにしても全く関係の無いナナを巻き込みやがって!クソが…』駄目だ…怒りを抑えろ…冷静になれ!そう自分に言い聞かせ心を落ち着かせる。
怒りを抑えようとしているとルチルは話しだす『その布に書いてある通り、あの子はべアルスファミリーが所有する醸造所に居るみたいですね…』そう言われ布切れを見るが何て書いているのか全く分からない。
『すまないルチル…俺は字が読めないんだ…他に何て書いてあるのか分かるか?』そう尋ねるとルチルは顔を伏せ小声で話す『一人でべアルス醸造所に来いと…あとあの子の命が惜しかったら余計な事をしないで丸腰で来るようにと…』
『ありがとうルチル俺は…』ルチルと話していると、いつからいたのか分からないがカレンが俺の服を引っ張り話し掛けて来る『バル?どうしたの?何かあった?』
突然現れたカレンに少し驚いたが笑顔で『ないもないよ、大丈夫…あ!そういえばカレン、カイルが今日の昼にギルドに来てくれと言っていましたよ?』そう話すがカレンは俺を疑う。
『さっきあんな大声を出してたのに?本当に何もないの?』カレンに今の状況を伝えたいが…ナナが人質になっている今、心配してくれるカレンに嘘をつかないといけない状況にさら苛立ちを覚える。
『カレンありがとう心配してくれて…でも本当に何も無いんだ…』『そう?…バルがそう言うなら…』しょんぼりしてるカレンを見て、やるせなさを感じ、べアルスファミリーに対してさらに怒りを覚える。
カレンはしょんぼりした顔でジーッとこちらを見て動かなくなり、ルチルにべアルスファミリーが所有する醸造所について聞けなくなってしまい、辛い気持ちを抑え話しかける。
『カレン?…俺はこの人と大事な話があるんだ…』『ごめんなさい…そうよね…私…邪魔だよね?またギルドで会いましょ!』そう言って離れていくカレンを見て申し訳ない気持ちが溢れて来る。
カレンの姿が見えなくなるとルチルから話し掛けられる『バルバトス様?あの方は?』『ん?ああ…あの人はカレンと言って顔馴染みの冒険者で面倒を見てる子供達の世話になった人だ』
何気なくそう話すとルチルは驚く『え?あ、あの方がカレン様ですか?』その驚き様に少し気になり尋ねる『ん?そうだが?カレンを知っているのか?』
『あーいや…お会いするのは初めてですが…私が聞いた噂と少し違いがあったもので…まぁ今はそんな事いいじゃないですか!拉致されたあの子をどうするのですか?』
そう言われ抑えていた怒りがふつふつと湧いて来る『そうだな…ルチルはその醸造所の場所を知っているのか?』『一応把握はしてますが…もしかしてですが…バルバトス様は一人で行かれるつもりで?』
『ああ、話し合いは無理だろうから…俺がもし死んだらダニエル・クロスって人か、その娘のラニーにナナのナイフを見せて、何があったかを伝えてくれ…』『騎士団長ともお知り合いなのですね…分かりました…醸造所の場所は……』
ルチルから醸造所の場所を聞き一人でその場所に向かっているがここがスラム街なのか分からないが雰囲気が悪く、嗅いだことのない異臭がしていて、それに表を歩く人が居ない。
誰も居ない道を歩き思い出す『確か…この先だったはず…』廃墟となった教会の近くだと言っていたが…
少し歩くと教会らしき建物のすぐ近くに周りの建物とは明らかに雰囲気が違う建物が目に入る『ここだよな?』看板があるが字が読めない為、確信を得れないがその建物に近付く。
プラスチック爆薬で破壊するか?醸造所だしアルコールでさらに大きく爆発してくれるかな?『…ふっ』これから起こることに対しての不安で気を紛らわそうとそんな事を考えたことに笑ってしまう。
最悪ナナを逃がして自爆か…いやナナは俺を置いて逃げないだろうな…いやそれよりナナは無事なのだろうか…俺のせいでナナがこんな目に遭うなんて…俺はとことん駄目だな…
ため息を吐き、不安をかき消すように声を上げ扉を叩く『一人で来たぞ!子供を解放しろ!』すると扉越しに怒鳴り声が聞こえる『裏口に回りな!』そう言うと静かになる。
言われた通り路地に入り裏口を探すと、いかにもガラが悪そうな奴らが俺を待っていた。
三人いる男の一人が俺を睨みつけると『ついて来な!』とそう言って大柄の男は歩き出す。
だが…醸造所には入らず路地を歩いて行くと大きいとは言えないが民家らしき建物の裏口から中に入る。
沈黙の中その後をついて行くと男は扉の前で止まり扉に向かって話し出す『ボルガさん例の男を連れてきました』『おう!そうか…ちゃんと一人で丸腰で来たのか?』
そう声が聞こえると男は俺を大雑把に叩き武器を持っていないか確認をし始め『はい!ちゃんと一人で来ました。それに丸腰です武器は持ってません!』そう扉に言葉を返す。
『そうかそうか…入れてやれ!』そう声が聞こえると男は扉を開け俺の腕を掴み無理やり部屋に押し込める。
力任せに引っ張られた勢いでコケて地面に伏せていると『よく来たな!大抵の奴はべアルスの名を聞いただけで、その日のうちに逃げる奴らばかりの根性なしが多いのによ?』そう話し掛けられる。
急いで起き上がり顔を上げるとそこには白髪の男が机に足を乗せ酒瓶片手に偉そうな態度で椅子に座りこっちを見ていた。
悠長に話す白髪の男に苛立ちを覚え声を上げる『お前が誰かなんて知らねーが、子供を拉致したろ!何処に居るんだ⁉』
『おい根性があるんじゃなくてただのバカか?死にたく無かったら黙ってろ!あのガキを殺してもいいんだぞ?それに今お前が元気に怒鳴って、唾を飛ばしていられるのは俺の機嫌がいいからだと分かってるのか?』
男が喋り終えると椅子から立ち上がり酒瓶をあおり一気に飲み干すと『まぁ安心しろ、まだガキは殺しちゃいねーよ。それによ自慢じゃねーが俺は子供は大好きだ!小さい時から面倒を見てやったらいざという時、俺が死ねと言ったら死ぬからな!』そう言って笑いだす。
このクソ外道が…『そう睨むなよ!お前には一つ聞きたいことがあってな…』そう言い机の引き出しを開け、何かを取り出すと俺の方に軽く投げ、目の前の地面に落ち金属音を立てる。
何故これを…だいぶ前に俺が野盗か傭兵かを知らずに助けようとするために使ったフラッシュバンじゃないか?あー…コンパウンドボウを消すことに囚われて、これを消すのを忘れていたのか…
『はーなるほどな…聞かなくても分かるぜお前だな…おい!ゴードン!あいつらを呼んで来い!』そう声を上げると俺をここまで連れて来た男が返事をし、部屋を出て行く。
『さて…それについて…聞かせて貰おうか?』何を話したらこいつは納得するんだ?それに武器生成で出した何て言ったら絶対に俺をここから出さないだろうし…ナナもどうなるか…
どうするべきか考えているとボルガが話しだす『あーそうだった!黙れと言ったな…だがもう喋っても殺さないから俺の機嫌がいいうちに話した方がいいぜ』『何が目的なんだ?』そう訊ねた瞬間、何かが飛んで来る。
頭に当たった酒瓶は割れずに地面に落ち、音を立てながら転がる『いっ……クソが…うっ…いっ…』『なぁ?聞いてたか?機嫌がいいうちに話せって言ったよな?』ボルガは静かに話す。
『うっ…ハァハァ』頭を押さえていると汗が顔を滴り落ちる感覚があり、押さえていた手を見ると血が付いており、さらに呼吸が乱れて心臓が高鳴り始める。
『早く言えよー、威勢が良かったのは最初だけかー?』つまらなそうな顔をして話すこいつに殺意が湧き、さっきまでどうやってここを切り抜けるかと考えていた自分が今はそんな状況じゃないと嫌でも理解する。
『なんだよ?痛みで喋れないのか?俺はそんな強く投げてないぞ?演技はいいから早く言えって!いい加減にしないと足を切り落とすぞ?』平然とそう話すボルガに恐怖を覚える。
『分かった分かったから…言うから…子供が無事か確認だけさせてくれ』俺の言葉にボルガはため息を吐きまた椅子に座り机にあった新しい酒瓶を取り出し飲み始める。
部屋には俺の乱れた息遣いとゴクゴクと酒を飲む音が聞こえ静かになる。
仕事が忙しいので全然進まない……投稿頻度が落ちて申し訳ないです。




