44章 不明瞭な過去
読んでいただいてありがとうございます。編集をして少し内容が変わりました。
まだ何か足りないような気もするのでまた変わるかもしれません。
3月26日編集しました。ラニーについての会話内容とその他少しが少し変わりました。
食事が終わり皆と部屋に戻っている最中、ナナに呼び止められる『バル様…』振り向きナナを見ると体を回転させてクルッと回りワンピースのスカートを押さえ『どうですか?』と照れながら聞いて来る。
親指を立て『似合ってるよナナ』と何回目か分からないがそう言って歩き出すとナナは横に来て俺の手を握る。
前までの気まずい雰囲気が無くなったのはいいが急に積極的になり、どうしたらいいのか分からず、ずっと困惑している。
部屋の前に着くと執事が俺に近付き、軽く頭を下げ話しだす『バトス様、カイル様が貴方様にお会いしたいとお待ちです。ついて来て下さい』執事はいつもこんな感じだよな…朝のあの慌てようはやっぱりカレンがやばいのか?
そんな事を考えていると執事は歩き出し、みんなに先に部屋で待っていてくれと伝え、後を追い執事にカイルが来た目的を尋ねるが『すみません。私はバトス様呼ぶようにとしか聞かされていませんのでお答えしかねます…』そう返されてしまう。
執事も聞かされてないとなると、何が目的かさらに分からなくなる『そうですか…』そう一言話すと会話が無くなり静かになる。
気まずい空気の中、前を歩く執事を見て思う、彼の名前を聞いた事が無いなと、ずっと執事さんとしか呼んで無かったなと…聞いていいのか?でも会話が無いからって相手のプライベートに踏み入って良いわけでは無いはず…
迷っていると執事は立ち止まり『こちらでカイル様がお待ちです…』そう言って部屋の扉をノックして『カイル様、バトス様をお連れしました』そう言って中からカイルの返事を聞くと扉を開けてくれる。
部屋に入るとソファーに寛ぎながらカイルがティーカップの渕を鷲掴みにして何かを飲んでいて、すべて飲み干すと『おう!バトス!座れ座れ!これ飲むか?』そう元気に話し掛けて来る。
『いや俺はいいよ…さっき飯を食ったからもう腹に入らない…それより久しぶりだなカイル、今日はどうしたんだ?』そう訊ねカイルの座る反対のソファーに座る。
カイルは寛いだ体勢を直し『なぁ?カレンを知らないか?それと今日ここに来たか?』そう言ってティーカップに紅茶か何かを注ぐ。
少し空気が代わり緊張した雰囲気になる『ああ、来たけど…どうしてだ?』俺の言葉にカイルはため息を吐き小さい声で呟く『そうか…まだ…バトスが無事だという事は…』
なに?なに?何か不穏な事を呟いてるけど大丈夫なのか?まさか…結婚の話しがバレたのか?『カレンさんがどうしたんだよ?カイル教えてくれ!何が起きてるんだ?』心配になりそう訊ねる。
『いや…前に捕まえた奴らの懸賞金が手に入ったから、バトスにも知らせようとしたんだがカレンが行くって聞かなくてな…それで任したんだが…帰って来ないし泊ってる宿にも居ないみたいでな…』
カレンがここに来て懸賞金の話しを聞いたと伝えると『それがおかしいんだよな…カレンは、ちゃんとここに来たのに帰って来ない事がやばいんだよ…』神妙な面持ちでそう話す。
『何がやばいんだ?』『こういう時は大体トラブルを起こしてるんだ…俺が来たのも、もしかしたらバトスが死にかけてる可能性を考慮したんだが…まあその様子だと無事だったと分かるが…』まぁ…確かに絞殺されかけたが…
カイルは話を続ける『何かカレンは言ってなかったか?殴るぞ?とか覚えておけよ?とか私の顔を忘れるなよ?とかそんな感じの事を言われてないか?』そう訊ねて来る。
いろいろあったが…『最後部屋を出て行くときにまた来るから、またね。と言われたが…』そう伝えるとカイルは飲んでいたティーカップを置き『それが一番怖いな…』とポツリ呟く。
カイルは何か勘違いをしている気がするので今日の出来事を少し話す『なぁカイル?カレンさんが呼び捨てで呼んでくれって言って来たんだが、これはカイル的にどう思う?』
俺の発言にカイルは口を開け固まる『カイル?大丈夫か?』『あ?あー大丈夫だ。えーと…どうしてそうなったんだ?』そう聞かれカイルに、絞殺されそうになる部分は省いて今日の出来事を説明をした。
すると俺の話しを聞いたカイルは『あ~なるほどな…あのカレンがなぁ…バトスに…でもバトスはラニーと付き合ってるんじゃ無いのか?』そう聞いて来る。
レイチェルだな…『カイル…それはラニーがついた嘘だ。全然恋人でも無いし、むしろ俺は被害者だ。それにこの話がカレンさんの耳に入ったら俺はどうなると思う?』そう力説してカイルに訴えかける。
だが俺の話しを聞いたカイルは笑いだす『嘘だって知ってるよ、ダリルから聞いたよ。少しからかっただけだ』という事は?『それじゃあカレンさんもこの結婚は嘘だと知っているのか?』俺の希望はすぐに消え失せる。
『いや?俺は誰にも言って無いからカレンは知らないだろうな、それにダリルもあの性格からして言わないだろうな』まぁそうだよな…こんな話しをするのは身内だけだよな普通は…
落ち込む俺にカイルは『バトス、ダリルにも言われたと思うが俺からも言っておく、ラニーはやめとけよ?言い方がキツイがあいつは少し頭がイカれてるんだ』そう言い切る。
流石に黙って聞くことが出来ず声が出る『おい!流石に言いすぎだろ?それは酷くないか?』俺の言葉にカイルは鼻で笑い静かに話しだす。
『バトス?俺はラニーが赤ん坊の時から知ってるが、あいつが子供の時に兄貴のティミーが死んでから変わっちまったんだ…時折ラニーを見ているとティミーと重なるんだ…昔のラニーはティミーとは違って笑う事が少ない奴だったのに…』ラニーとはそんなに長く一緒に居たわけでは無いが心当たりがある。
それは情緒不安定になるときがあり、怒りが急に消え笑い出したり、泣いたと思ったらすぐに笑い出したりすることがあるからだ、それに後先考えないような行動をするが後悔するはするが反省する素振りが無い。
何とも言えなくなる俺に『バトスも少しは心当たりがあるんじゃないか?ラニーが急に意味が分からない事をしたり、突然怒ったりすることがあるだろ?』そうカイルは聞いて来る。
『ああ、あるが…でも…イカれてるなんてそんな言い方をしなくてもいいんじゃないか?』そう話すとカイルはため息を吐き『そうだな…言い過ぎたな、すまなかった』素直に謝罪をする。
気まずい空気になると、頭を掻いてカイルは話しだす『俺からこんな話をしといて空気が悪くなったな!今の話しは忘れてくれ!…それで、カレンの事についてだが…聞きたいことはあるか?』
釈然としないが気になっていたことを尋ねる『カイルはカレンと呼び捨てにしてるがどうしてなんだ?』俺の疑問にカイルは無理に笑ってから答える『あーそれはな…俺がパーティーのリーダーだからだ!』
カイルはそう話すが意味が分からないでいると『初めは実力もあるカレンにリーダを任せようとしたが、だるいからアンタがやれと言われてな…渋々だが俺がリーダーに決まって、
俺達はカレンをさん付けで呼んではいたんだが、そう呼ぶとカレンがリーダーと間違えられるからって、呼び捨てで呼ばないと殴るって言いながら殴られたんだが、何故かジョエルはさん付けでも許され、俺だけずっとカレン呼びだ!』最後は笑いそう話す。
『なるほど…次が本題なんだが…カレンさんって何者なんだ?』そう尋ねるとカイルの顔が険しくなる『それは…まぁ俺が知ってる範囲なら話せるが噂だったりで信憑性があんまり無いのが多いからな…』
少し黙ると続ける『ただこの話は俺達が帝都の英雄とカレンを呼び実際にこの目で見た話だ…あれは数十年前の事で俺とジョエルとダリルで帝都の森で冒険者ごっこをしてる時だ…』そう切り出すとカイルは話しだす。
『突然の事で何が起きたのか、あの頃は分からなかったが密かに魔物たちは帝都を襲撃しようとしてたみたいで、その魔物の大群に俺達は運悪く出くわしたんだ。
息を潜める間もなく見つかり、逃げたが子供の足じゃ直ぐに追いつかれ魔物達に囲まれて、これから死ぬんだ!という死の恐怖をそこで味わったよ。
俺はがむしゃらに泣き叫んで、ジョエルは諦めた表情をしてたな…だがダリルは立ったまま気絶してたんだから笑うよな!』そう言って笑いかけて来る。
シリアスな雰囲気が台無しになるとカイルはワザと咳き込み話の続きを話す『もう駄目だと思った時に、帝都の兵士でも無い連中が現れ魔物達と戦いだしたんだが、そいつらは冒険者じゃなく傭兵でな、凄い強さと連携で魔物を蹂躙して追い返したんだ。
傭兵達のボスか知らないがある男が俺達を保護してくれたんだが…そいつは帝都に国の危機を救ったと言い出し、賞金やら金目の物を寄越せと帝都を恐喝し始めて、もちろん俺達は人質にされた。
いつ殺されてもおかしくない状態だったし、帝都は帝都で戦争を別の所で始めていたせいでこっちを助ける暇もなく、俺達は見捨てられたと思ったよ。
それにあの時の俺達の扱いはもはや人間じゃなく家畜に対する扱いだった…腐った飯を喰らい死ぬもんかと必死に生きて数日が経った時、そこに一人の少女が現れたんだ。
俺はあの時、死にかけていたから全てを見た訳ではないが傭兵のボスを張り倒し、馬乗りになって殴り続ける少女を見たんだが…嘘だと思う光景に幻覚かと思ったが二人もその光景を見たと言っていたからあれは現実だと確信したんだ。
だが気付いたらあの少女は居なくなっていて、傭兵のボスが死んだのか知らないが他の傭兵達も散り散りに居なくなり、俺達は何故か解放され帝都に帰れたんだ。まぁその少女がカレンだと知るのはだいぶ先の話しなんだがな…』
なんかすごいな…そんな感想しか出てこない『で?なにが帝都の英雄なんだ?』『それはな…あの時は助けられたと思って名前も分からない少女を俺達で勝手に英雄と呼んだのが始まりなんだ…それに子供のノリで気付いたら帝都の英雄と呼んでた…』何か落ち込むように話す。
『だが!あの少女がカレンだと分かり散々殴られた今では皮肉を込めて帝都の英雄と呼んでるんだよ…この話は絶対カレンに言うなよ?』帝都の英雄の意味が分かったが…要するに内輪のネタ話のようなものか?
だが俺が聞きたい話しを聞けてない『それでカレンは何者なんだ?』そうもう一度訊ねると『俺もよくわからん!』そう答える。
『オイ!時間を返せ!』そう声を上げると『冗談だって!だが正直な話し、一緒に居て分かったのはカレンは悪意を持って誰かを痛めつけたりはしない奴だってことだ…ただすぐに手が出るだけで悪意はないはず…』
それが怖いんだよ…悪意の無い暴力とか怖すぎるだろ…一人で怖がっているとカイルが思い出したように話す『そういえばバトスに好意を持ってるって話しだがそれは無いと思うぞ?』
『どうして無いって言えるんだ?』その疑問に笑って答える『カレンは男に興味が無いからな。あ!別に女に興味があるって意味じゃないぞ?あれだ!あれ!男とか女とかの認識が無いんだよ。友達かそうじゃないかくらいの認識だと思うぞ?』
そう話すカイルに『だからもしラニーとの結婚話しを聞かれても安心しろと?』そう言葉を返す『ああカレンは気にしないだろ!それに結婚の話しも嘘なんだからバトスが気にし過ぎなんだよ』と笑いソファーから立ち上がる。
身体を伸ばすと扉に向かい『まぁ明日の昼頃にギルドに来てくれ、それとカレンを見かけたらギルドに来いって言ってくれ、ダリルに話を通しとくから懸賞金を分けようぜ!そんじゃまた明日!』そう言って軽く手を振り部屋を出て行く。
いろいろとある意味疲れた…今日は濃い一日だったな…そんな思いを抱きつつ部屋を後にして、いつもの部屋に向かい扉を開けるとナナがこっちに歩いて来る『バル様!明日市場に行きませんか?』
明日お金も手に入る事だしポッチや子供達に何か買ってあげようと思い『いいぞ!行こうか!』と返事を返す。
今回早く帝都から出たい…そんな思いがあり、めちゃくちゃな展開で話を作ったのですが後々辻褄が合わなくなると思い、採用せず没にした内容があります。そのぐらい早く帝都から出たいです。




