35章 壊れゆく価値観
読んでいただいてありがとうございます。次の投稿は未定です。決まり次第報告します。
ここに来て数時間が経って一人で喋ってるこいつの名前が分かった…分かったというよりずっと自分の名前らしき単語を延々とブツブツ暗示のように呟くからだ。
今は落ち着ているのか俺をじっと見てボーとしているが…男は頭を抱え始めたので、そろそろ始まるな…『ダムはなる…ダムはなる…ダムはなる……』ほら始まった。
次は幹部になるを連呼してから電池が切れたかのように静かになって俺をジーと見るのが始まり、また最初に戻る、これをずっと繰り返している。
最初は関わったらダメな奴と判断して無視をしていたが、無視しても別にあっちから何か攻撃を仕掛けて来る訳でも無かったのだが…流石に永遠とこれを聞かされると精神的にも我慢の限界だった。
まだ呟いている男に話しかける『なぁあんたの名前はダムって言うのか?』その言葉に男は呟くのをやめこっちを見て喜ぶ『そ、そうだ!やっとだ!やっと俺は解放される!』
男は立ち上がり俺に近寄って来るが正直臭い『オイ!それ以上近寄るな!』この場所のくさい臭いにやっと慣れたのに、それ以上の悪臭を振りまくダムについ声が出てしまう。
俺の言葉を聞いてダムは元の場所に戻り話しかけて来る『そ、それで⁉いつここから俺は出れるんだ⁉』興奮しているのか声が無駄にでかい。
それにしてもさっきから何を言ってるんだこいつは?よくわからないが否定する『多分出れないと思うぞ?』俺の言葉を聞いてダムは激昂する。
『ふざけるな!俺はもうここにずっといるんだぞ!それに俺はべアルスファミリーの幹部になる男だぞ!お前も我慢の限界だよな?』また何もない空間に話しかける。
『…お前もそうだよな!…あー分かったよ!よしやるぞ!二人でこいつを殺して逃げるぞ!』おい!どうしてそうなる?…頼むから勘弁してくれよ…そんな思いは届かず、ダムは何もない空間に指示を出しながらこっちにゆっくり寄って来る。
急いで鉄の扉を叩き看守でも何でもいいから呼ぶ『おい!誰か来てくれ!殺される!助けてくれ!おい!』扉を叩き叫ぶが何も反応が無い。
嫌な匂いがするので振り向くとダムは近くまで来ている『誰も来ねーよ!…なんだって?…ハハハッハハ確かにそうだ!こいつバカだ!ハハハ』何もない空間と盛り上がっている間にスペツナズナイフを生成する。
ダムにナイフを向け忠告する『これ以上近づくな!殺すぞ!』突然出て来たナイフにダムは笑うのをやめこっちを見る『ナイフがなんだ!俺は死なない!』そう言いながらこっちに寄って来る。
こいつマジかよ…脅しも効かないとなるともう…殺すしか…いや早まるな!でもどうすればいいんだ?何かいい案が無いか考えるがダムは歩みを止めない。
とりあえずダムから距離を取ると『やっちまえ!』ダムは叫ぶが何も起きないでいると『おい!目の前に居るのにどうして殺さないんだ!…何?あーそうかい!いつもお前はそうだ!言うだけ言って何もしないもんな!』何もない空間と喧嘩を始める。
何が起きているのか分からないがダムは突然こっちに向かって来て、何もない空間にタックルをかましマウントポジションを取り地面を殴り始める『どうだ!俺に逆らうとこうなるんだ!分かったか!』
殺さず気絶させるチャンスなんじゃ?そう思いナイフを消して、地面の布を拾いダムの首に巻き付け、後ろからダムの背中に足を置いて力を掛けていく。
拳を振り上げたままダムは抵抗する素振りも無いまま大人しくなり、上にあげた拳は力無くだらんと下がる。
動かなくなったダムの首の布を緩めて今のうちに手足をその布で縛り上げていき、何か固定できる場所に縛れたらいいがここには平坦な壁しかない為、諦めダムを部屋の真ん中に放置する。
ダムから離れ壁に手を付き一呼吸置くとなんでこんな事をしてんだ俺は?ふとそんな疑問が湧くがそれを考えた所でここから出れる訳でも無いので部屋の隅で地面に座りただひたすらに待つ。
そろそろ夜になったのか?そんなことも分からないくらいここは薄暗く、天井にある謎の灯りがここを照らしていて外部からの光はここにはない。
ダムも目を覚ます気配もないし、ここに来て何時間経ったのか分からないが誰もここに来ない、さっきから腹が鳴り空腹のイライラとどうして俺がこんな目にと言う思いが募る。
あれから誰かが来るのをひたすら寝ずに待っているが…クソ!どれくらい時間が経った?夜は明けたのか?それにどうして誰も来ないんだ⁉ずっとその考えが頭の中を埋め尽くす。
壁に背を預けただひたすら待つが眠気が襲って来る、眠らないように目を開けてダムを見張るんだ……
『……は懲りないな』なんだ?『ん?久しぶりね。貴方がここに来るのは何年振りかしら?』何か分からないが声が聞こえる『私の事はどうでもいい』『あらそう?それじゃあ何の用で?』
『お前がまたあれを始めたと聞いてね。少し様子を見に行くように言われたんだ』『じゃあ口を出さないで貰える?前は少しやり過ぎてめんどくさい事になったけど今回は大丈夫よ?』何の話をしているんだそれにここは?
『そうか…別に私はお前がどうなろうと気にはしないが…』『それより観ていく?今ちょうど一人殺したわよ?』『遠慮しとくよ。私は生で見るのが好きなんだ』ぼやけて目は見えないが何か影のような姿が見える。
『そうじゃあ出て行って。それと彼にも伝えといて貴方もたまにはこっちに来たら?とね』影が一つ消えもう一つがこっちに向かって来る。
『ん?急激なストレスのせいかしら?こっちの世界に来るなんて』影がこっちに手を伸ばして来るとどす黒い何かが体を蝕む『やめろこっちに来るな!触るな!』
目が覚め伸びた手で頭を押さえる『ハァハァ…夢か?クソみたいな夢だな…』いつの間にか横になっていた体を起こしダムを見るが寝る前と変化が無い。
まさか死んでないよな?嫌な予感がしてダムの足を軽く蹴るが反応が無い…もしダムが死んだふりをして俺が近付いて来たところを襲う何て事は嫌だから…『はぁ…やりたくないが…』思いっきりダムの脛を踏みつける。
本気で踏んだのに反応が無いので嫌な予感がしまくりだが腕の拘束を外そうと触れると冷たいし脈も無い…クソ…死んでるよこれ…どうすんだ?俺は死なない!って言ってたじゃん…この現状に頭を抱え、これも夢であってくれと願う。
段々と頭の整理がついて来るとこれは非常にまずいんじゃないか?という思いと、でもダムから仕掛けて来たから因果応報なんじゃないか?という思いが交差する。
だがこのまま死体が部屋の真ん中にあるのは良くないと思い、部屋の隅に運び布を上から被せ『ダムお前の事は名前しか知らないがどうか安らかに眠れ…』ダムに合掌して拝む。
死体がある反対の隅に行き、座り目の前にある死体から逸らし別の事を考えて気分を変えようとする。
それにしてもどうして誰も来ないんだ?何か飯を持って来るなり取り調べなり見張りなりがあってもいいはずじゃ?そんなフラグを立てても何も起きない。
待てよ?ダムはここにずっといると言っていたが食事はどうしてたんだ?痩せ気味ではあったが動けるほど元気があったし、飯と水が無いならそもそも動けないはず、なら食事が支給されるのか?
だが昨日は来なかった、まさか弱らせる為に数日おきに支給か?でもよく言われている3の法則もそうだ水が三日、飯は三週間まだ法則はあるが、問題はこの二つの内の水がどのタイミングで支給されるか…。
そもそも3の法則という概念が無いかもしれないが…それが一番最悪だな…『なぁお前はどうやって生きて来たんだ?』無意識にチラッとダムを見る。
駄目だ!駄目だ!これじゃダムみたいに何もない空間に話しかけて気がおかしくなるじゃないか?…クソ…ダムもこんな感じで壊れたのか?
嫌な考えを振り払い、とりあえずラニー達が何とかしてくれるはずだ!そう思い込むようにして死体のある部屋で待ち続ける。
ダム 彼はある組織に子供の時にスラムで拾われ、ダムという名を貰ったが初めから捨て駒として使われるために育てられ薬物中毒にされた。
長い監獄生活の中で薬物の依存からは抜け出せたが後遺症が残り、心が壊れないようにするために無意識に幻覚の友達を作ったのだが何故かその幻覚と喧嘩をよくする。
バル・バトスが組織の人間だと思い込み、ここから出してくれると喜んだがそんな事は無く最後は人生を諦め抵抗しないで死を選んだ。
また編集で変わるかもです。




