33章 拡がる話
読んでいただいてありがとうございます。編集でまた変わるかもです。
ダリルが部屋に入って来るが何とも言えない空気感になって静かになる。
そんな中ラニーは続ける『とりあえず一回家に戻って服を着替えて、装備を整えて帝都から出ましょう?』その言葉にダリルが驚く。
『オイオイ待てよ!どうなってんだ?バトスもう帝都から出るのか?昨日の今日だぞ?』その言葉にラニーは立ち上がり『行きましょ?』ダリルを無視してそう冷たく話す。
ラニーが部屋から出ようと扉に向かうとダリルは扉を体で塞ぎ、焦るように話しだす『さっきは悪かったって!面白そうだと思って助けなかったのは謝るよ!けどやばいと思ったら助けるつもりだったんだ!』
ダリルの言葉にラニーは静かに話す『謝るつもりがあるならバトスさんを無料で冒険者にして』無茶苦茶な事を言うラニーに驚く。
流石に怒ると思ったがダリルは『初めから冒険者になるように勧めるつもりだったが…そうか金か…うーん』一人で悩み始めブツブツ話す。
しびれを切らしたラニーは声を上げる『冒険者にしないならもう行くよ!ほらバトスさん立って!』ダリルはすぐに俺達を止め『わかった!わかった!でも条件がある…』そう告げる。
その言葉にラニーはダリルを睨み『条件?…それならもういい!行きましょ?バトスさん』そう言って扉の前のダリルをどかそうと服を引っ張る。
ダリルは頑張って踏ん張りながら話す『ちょっ!条件の内容を聞けよ!てか冒険者にならなくてもいいのか⁉』中々どかないダリルにラニーは引っ張りながら『条件とかめんどくさいから!早く帝都から出たいの!』そう怒鳴る。
そんな押し問答を聞きながらナナに預かっていたナイフを返す『ナナほらこれ…返すよ』ナナはナイフを受け取り、首に掛け大事そうにナイフを手で掴む。
まだ言い合ってお互い引かない二人に声を掛ける『二人とも落ち着けって!』その言葉に二人はこっちを見る。
『ダリルその冒険者になる条件の内容とどれくらい時間が掛かるんだ?』そう訊ねるとラニーに服を引っ張られた状態で答える『条件は…ちょっとした事なんだ…五日くらい掛かるかな?…』
その言葉にラニーが反論する『長いし条件も言わないし!それに普通ドッグタグを作るだけなら一日も掛からないじゃない!ハイこの話は無かったってことで!』
ダリルは俺に助けを求める『バトス!たった五日で冒険者に無料でなれるんだぞ?普通なら高い金払ってなるのを無料でいいって言っているんだぞ?』そう口早に言う。
別に冒険者になりたい訳でも無い俺からしたら『ダリル悪いな、確かに五日は長い、それに今ちょっとゴタゴタがあってすぐに帝都から出たいんだ』
その言葉にダリルは反応する『そのゴタゴタってラニーが関係する?』驚く俺とラニーを見てダリルは何かを察して笑う。
ラニーは笑うダリルの胸ぐらを掴みビンタをかまして問い詰める『誰から聞いた!答えないともう一発喰らわすぞ!』急にビンタをされたダリルは放心状態になりビンタされた頬をさする。
その様子にラニーはもう一発反対の頬にビンタをかますとダリルが怒る『いてーなオイ!』だが無言で手を構えるラニーに『さっきカイルを探してたラニーのママさんから聞いたんだよ!』ラニーはダリルを放し頭を抱える。
動かなくなったラニーを見て頬を押さえながらダリルは俺に近寄り小声で話す『まさか本当にラニーと付き合ってるのか?』やっぱりこうなるか…と俺も頭を抱える。
ダリルは俺の様子を見て肯定したと勘違いして話して来る『やめとけ!ラニーだけはやめとけ!付き合うならうちのギルドの女性にしな!バトスに好意を持ってる奴も多いし!すぐに手が出る奴なんかいい事無いぞ?』
その言葉にナナがダリルのこめかみ目掛けて殴る『いった!え?なにが起きた?』殴ったナナは拳に息を吹き掛けそっぽを向き知らぬ存ぜぬを貫く。
『俺、今殴られたよな?』そう訊ねて来るが『今のはダリルが悪い。それと俺はラニーと付き合って無いから』そう告げる。
ダリルはため息を吐き『なんだ…ママさんの早とちりか…良かったなバトス』そう言って俺の肩を叩くが『早とちりじゃ無いんだな…これが…』俺の言葉にダリルは『どういう事だ?』と不思議がる。
何があったか事の説明をするとダリルは笑う『それはラニーが悪いな!怒られるのが嫌だからってそんな事するか?』笑うダリルにラニーは背中を蹴る。
『うるさい!ママが怒った所を見た事無い人は黙ってて!』そう怒鳴り、続ける『あとこれで分かったでしょ?私は早く帝都から出たいの!』その言葉にダリルは『自分のせいじゃん…』ラニーに聞こえないように言う。
ダリルは背中をはたきながら話す『分かったよ!冒険者の話しは無しだ!だがそこの獣のステータスを見せてくれ!見せないとここから出さない!』そう俺に言って来る。
ステータスを可視化出来るのか?凄い興味が湧くが理由を聞く『どうしてだ?それに獣のステータスを知って何をするつもりだ?』俺の問いにダリルは笑う『落ち着けってバトス!どうもしないって!ただの好奇心だ!』
カイルと話す時の感じで答えるダリルはポケットから何やらカードのような薄い板状の物を取り出し俺に手渡す、受け取り見てみるが銀色のカードには何も書いていない。
『どうだ?凄いだろ?』とダリルが言って来るが何が凄いのか分からない『えーと?なにが起きるんだ?』その言葉にダリルが俺の手のカードを見る。
ダリルがカードを見て俺の手を持ち裏返しまた裏返す『え?そんな…壊れた⁉やばい…やばい…やばい…やばい……』ダリルはやばいを繰り返す壊れたラジオになった。
その様子にラニーは何かを察し『バトスさんそれ貸して!』そう言って俺の手のカードを取り『壊れてないよ!ほら!』そう言ってダリルに見せる。
カードには読めないが何やら文字と数字が書かれているが多分これがステータスなんだと理解した。
ダリルは凄い脂汗を流し息を荒くしながらカードを見る『あ~よかったーほんとよかった…』震える手でカードを受け取り確認をすると息を吐き『どうしてバトスは見れないんだ?』不思議そうにカード見る。
それは俺も知りたいと脳内で思っているとラニーが慌てる様に話を逸らす『こ、壊れて無さそうだし!早く獣のステータスを見たら?』そう言われダリルは『見てもいいか?』俺にそう訊ねて来る。
確認をしようとソファーで寛ぐポッチに話し掛けようとするとラニーが俺の口を塞ぎ小声で話す『バトスさん!なに普通に会話しようとしてるんですか?』
あ⁉そう言えば…そうだった!ラニーの手をどけて謝る『悪い悪い、癖で…普通に話しかけるとこだったな…』でもどうすればいいんだ?そんな事を考えながらチラッとダリルを見ると何かを疑うような目で俺達を見る。
流石に感づいたかと思ったが『バトスは付き合ってないって言ってるが…本当か?』別の意味で疑っていて安堵する。
ダリルの言葉にラニーは怒る『本当よ!私が嘘ついたせいでこうなってるの!』ラニーは怒りながら俺の肩を叩き、今のうちにと言わんばかりに合図をする。
すぐに立ち上がりポッチの前に行き小声で話す『ポッチ寛いでいるところ悪いけど、今から渡すものを何も言わず受け取ってこっちに見せてくれ』その言葉にポッチは頷く。
まだ言い合っているダリルに話しかける『それを貸してくれ』ダリルはカードを俺に渡しそれをポッチに渡すとカードは俺の時と同じく何も起きない。
ダリルはウキウキでポッチの持つカードを見るが何も書かれていない為、ため息を吐き落ち込む『やっぱり駄目か…でも何故バトスも駄目なんだ?』考え始めたダリルにカードを返す。
するとラニーが小声で『今のうちに部屋を出よう』と言いラニーは皆を連れ出て行き、まだ考え事をしているダリルに『じゃあダリルまたな』そう声を掛け足早にギルドを後にする。
銀色のカードだがこれは過去の遺物で誰が作ったなどの詳しい事は分からないが昔からギルドに在り、帝都のギルドではステータスが分かるやつと呼ばれていて、他のギルドも持ってはいるがその場所で名前が変わる。
手に持った人のステータスを目で判断する物だが人工的に作られた為ポッチのように異種族には反応しない。
この世界はレベルと言う概念があるが、レベルが上がればステータスが上がると言う事は無く、ある意味ただの数字であり飾りで大事なのは培った知識と経験とされる。極論を言えばレベル1でもレベル999を殺せる、が例外もある。




