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金玉を銃で撃たれた男  作者: ゴキブリちゃん
キントリ帝国との戦い
3/3

第3話~落ちる弾と潜む玉

---チンナース軍駐屯地---


(こ、ここは?)

気が付けばチンナース軍の駐屯地がある島に流れついていた

大きな高波に飲まれたからか記憶が混雑している


俺は体に纏わりついていた海藻や砂を払い落とし、駐屯地がある場所に向かっていった


「ん?誰だ!」

1人のチンナース兵が銃口を向けて俺に問いかける


俺には自分が仲間であると叫ぶ気力も体力もに残ってはいなかったので自分の軍服に付いているチンナース軍の刺繍の紋章をちぎって警戒する仲間の兵士に見せた


「チンナース軍?!」

チンナース兵は銃口を下ろしてタマーレに駆け寄る


「まさかお前、タマウバウ諸島から生き延びたのか?!」

チンナース兵は今にも倒れそうなタマーレを支えながらそう言う


「ああ、仲間は全員やられた」


「戦況は聞いている、よく無事に戻ってきたな!」

チンナース兵は涙ぐみながらタマーレの生存を喜ぶ


「休んでいる暇はないんだ、司令官の下に連れていってくれ」

タマーレはキントリ帝国から盗んだ文書を握りしめながらそう言う


「何を言っている!どこを見ても致命傷ではないか」


「今すぐこの文書を俺の手で渡したいんだ、頼む!」

タマーレはチンナース兵の腕を握り締めながらそう言う


「それだけ重要な文書なのだな、分かった」


「助かる」


---チンナース軍駐屯地---


駐屯地は次の戦いに向けて兵士たちが右へ左へ行きかっており、何やら騒々しい雰囲気だ

戦況は俺達がタマウバウ諸島でキントリ帝国と戦った時よりも更に悪くなっているみたいだ

ここまで敵陣から離れたこの島でも本格的に出撃準備をしているという事は帝国はいよいよこの戦争を終わらせにきている

一気に詰めても俺達チンナース軍を押しつぶせるとそう確信に近い自信を持っているからこそ出来る動きだ


「テスティー大佐、少しよろしいでしょうか」

タマーレを運ぶチンナース兵が司令室の扉をノックしながらそう言う


「はいれ」

扉の奥からテスティー大佐がそう言う


「失礼します」


「ん?なんだいそのゾンビみたいな兵士は?」

黒髪の若い男がそう言う


どうやらこの男がテスティー大佐らしい、見た感じかなり若い

瀕死で帰ってきた部下に向かってゾンビとは舐めた司令官だ


「はっ、この者はどうやらあのタマウバウ諸島からの生き延びたチンナース兵でして重要な文書を持ち帰ったらしく、文書を直接大佐に手渡したいとの事でここに連れて参りました」

チンナース兵は股間を片手で押さえ、足はハの時に広げながらそう言う


いつ見てもふざけたポーズだがこれはれっきとしたチンナース軍の敬礼なのだ

本来は両手で股間を抑えるのだが俺を支えているので片手での敬礼だ


「ほう、あの絶望的な戦況で我々が大敗したタマウバウ諸島から生き延びたと」

「先ずはご苦労だったね、文書を見せてくれるかな」


大佐に言われたとおりに俺は手に握っていた文書とバックに入れてあったキントリ帝国の入国手形を大佐に渡した


「なるほど、キントリ帝国の底なしの軍力は隣国からの物資の供給があったからでしたか」

「まさか彼らと手を組んでいるとは思いもよりもせんでしたね、それに入国手形もあるとは」

文書をじっくり見た後、タマーレを見つめる


「奴らの駐屯地には兵の配置図を探したが無かった、配置図を手に入れれば戦況を逆転できるはずだ」

「帝国の入国手形があれば隣国にも入国できるはず、帝国に物資を供給しているという事は奴らの兵の配置を隣国は知っているはずだ」

タマーレは息を荒げながらそう言う


「確かにそうですね、ですが諜報に長けた人員が今ここにはいません、この情報は貴重ですが上手く利用できないとは少し困りましたね」

「まあ、今はキントリ帝国を迎え撃たなくてはなりませんからね、君は戦いに参加さず治療に専念しなさい」

大佐は真剣な表情をしてそう言う


「なに?奴らがここに攻めてくるのに俺は戦わず休めだと?!ふざけるな!俺は兵士だ、動ける体がある以上戦う!」

タマーレは怒号を混じらせながらそう言う


「おいお前!、大佐に向かってその態度は、、、」


「いいんですよ、まあ気持ちは分かります」

大佐はタマーレに怒鳴るチンナース兵の言葉を遮ってそう言う


「ですが休むのも兵士の仕事ですよ、それと階級と名前をまだ聞いていませんでしたね」


「チンナース軍擲弾部隊所属、階級/上等兵タマーナシ・タマーレ」

俺は股間に片手だけ当てて不完全な敬礼をした


「擲弾兵でしたか、ではタマーレ上等兵、暫く体を休め傷が治り次第隣国コウガンオトッシー王国に諜報員として向かいなさい」


「は?諜報員?!」

タマーレは驚いた顔でそう言う


「激戦地帯タマウバウ諸島から生き残る程の生命力を持ち、更に敵の駐屯地から情報文書を持ち帰ってくる胆力、今ここには貴方以上の諜報員はいないと思いますよ」

大佐はニッコリと笑みを浮かべる


「諜報員としては動いた事がない、だから失敗するかもしれない、それでも良ければ」


「失敗しても失う命は貴方だけですからね、気にせず向かってください」

「期待していますよ」

大佐は司令室から出ていった


生きているという事は必ず意味がある、ここまで仲間を失っても金玉を撃たれても奇跡的に生還した俺だからこそ出来る事、祖国を守るために俺は戦う!



--------次話に続く

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