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逃げられないので  作者: ヒートン
1/2

脱出ピクトグラム

一部設定変更のため書き直し中です。

 あっ、宿題するの忘れてた。現国の宿題、しかも小論文的なやつ。国語は2限だからそれまでに終わらすのは無理だな。帰ろう。俺は電車の扉が開くのを待つ高校生の列から離れ、改札へ続く階段へ向かう。それとほぼ同時に、同じクラスの女子も列を離れる。なんか、こちらを見ながら数歩後ろを付いてきている気がする。あの長髪スカート長めの人、確か最近遅刻や早退、サボりが増えてる奴だったような…。関わりたくない。


 少し早足にすると、後ろの奴も早足になった。気付かれたと思い、追い付こうとしているのかもしれない。早く逃げないと、どんな用事であれ追ってくるならめんどくさいことだろう、逃げたい。タイミング悪く電車のドアが開き、そこへ並んでいた生徒の群れが流れ込む。ドアが開く直前までは、並ぶのってマナーですよねって感じで大人しく並んでいたのに、入れるようになった途端、列など無かったように入り口周辺へ半円状に押し寄せる。同じ料金を払って乗るのだから、当然座れる方がお得だ。列など、先に着いた人がその優位性を保つための一時的なものに過ぎない。


 そんな事を無駄に考える程に前に進めない状態が続いたが、ようやくホームの入り口じゃない側へ人の少ない場所ができる。動けなかったのは向こうも同じらしく、少し後ろで奴は窓から電車内を見ている。乗り込んで逃げると思ったのだろう。


「きゃっ」「うぉっ!?」

 そんな余所見をしているから、俺は他の生徒にぶつかった。その女子が肩に乗せていた人形が落ちてしまったので慌てて拾って渡す。「すまん!」そいつは始終驚きっぱなしで返事が無いのでそのまま俺は改札へ走って行く。いよいよ全力疾走で前を見て逃げる。今のやりとりで追ってきてる奴が気付いてしまったのだ。くそっ、今の奴なんであの状態で並んでるんだ。あの状態で列の形に従う意味なんて無いだろう?それに、高校生にもなってあんな人形持ち歩くなら、肩に乗せずにそれっぽく抱き締めてればいいんだ。焦っているので被害者に対しそんな失礼なことを考える。


 階段まであと十数歩というところで、後ろの奴が「行けっ!」と声を上げた。その瞬間、二、三歩先に高さ15cmぐらいの白い人影が二体浮き出た。つまずきかけたが、ギリギリで避けた。どんな面白グッズを使ったのか分からないが、攻撃して来やがった。急いで逃げないとヤバい。駅構内の男子トイレまで逃げれば大丈「ブッ!」


 階段を上ろうとした途端、なにかにぶつかった。目の前には只の上り階段しかないが、よく見るとガラスか何かで通れなくなっている。


「お困りのようね」追い付かれてしまった。すぐ近くで右手を腰に当て、半笑いで話し掛けてきた。

「私は原因を知っているわ」自己紹介をありがとう、変な人に追われて困ってます。

「そいつをこっちによこしなさい」指さした先、俺の横の地面を見るとアレがいた。


 あの、名前があるのか知らないけど、建物の天井にある、出口はこっちだよーって看板。それに描いてある緑の人型が立っている。大きさは元々より気持ち大きい気がする。厚さは殆ど無く、少し斜めから見ないと居るのか分からない。


「こいつか?じゃぁ投げるから、お前が追ってきても俺が逃げれるようにもう少し離れてくれ。」言いながら人型を拾い上げた。

「いいわよ。ソレを潰したいだけで、あなたには用事ないから。」

「潰す?殺すのか?」

「人聞き悪いからやめてよその言い方。どうみても生き物じゃないでしょソレ。」


 潰されると分かっていて渡すのは何となく、可哀想とかじゃなくて、その行程に俺が加わっているみたいで嫌だ。後ろにもたれながら、人型に話し掛ける。

「おい、逃げた方がいいんじゃないか?」

 なんと、通じたのか手から飛び出し、走っていった。ただし、奴がいる方に。

「来たっ…!」

 奴は鞄を持ち上げ人型を待ち構えた。教科書をちゃんと入れてるなら、確かに潰せそうだ。


 しかし、人型はそこまで行かず、丁度俺らの真ん中ぐらいで止まった。

「ねえ?ソイツをこっちに投げ寄越して?次はないよ?」

 奴は掲げていた鞄を顔の横まで下げ、それに付いた防犯ブザーの紐に手を添えてそう言った。従うしかない。鳴らされたら高確率で逃げられないし、弁護無しで有罪だ。多分。


 人型を拾い、どうせなら奴の後ろまで飛ばしてその間に逃げよう。奴の言う通り投げるし、人型も電車の居なくなった線路に逃げれば助かるかもしれない。すごい、皆の願いが叶う!上投げを構えると、天井、今居るところの真上に、緑色のあの看板がある。そして、本来出ていく人が描かれているそこには、ただ白い出口だけが描かれている。もしかして…


「入れぇっ!」看板に向かって人型を投げる。入った。

「ええっ!」奴は驚いたが、すぐに気をとり直した。

「戻るなんて初めて知ったけど、関係ないわ。」こちらへ向けて歩いてくる。俺はその分下がる。


 奴は看板の下で立ち止まった。

「あいつらを倒す方法の一つは、原本の…、破…、壊……」鞄でなんとか看板を殴ろうと、その場でジャンプを繰り返している。俺は、その間にエレベーターで逃げた。

同じ、または似たような設定のがあったら教えて下さい!私もそっちを読みます。

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