プロローグ
────私が物心ついた頃から大規模テロリストとの抗争が続いている。都市を中心に戦いは起こり、日に日に過激化していった。人口が異常な程密集していた都市は、簡単に廃棄区画モドキへと変わっていった。
その戦争とも言える戦いを終わらせるために開発された私達5人───人型人形は戦場を駆け回った。
正直、嫌だった。敵とはいえ、それらは人だったから。身体に能力を付加するカードを使い、これでもか、と言うほど人を殺めた。
***
「あはははっ!ほら、もっと頑張りなよ!」
───あぁ、やってしまった。《別の私》が出てきた。
カードの使用限界時間を越えて使ってしまい、私は暴走する。意思とは関係無く身体が動き、敵味方関係無く人を殺していく。嗤いたい訳じゃない、殺したい訳じゃない。なのに、《別の私》は勝手に私の身体を弄ぶかの如く走らせる。
私の手は、いや、私自身は血にまみれた。何十人、何百人と、私は人の身体を屠ってきた。飛び散る血、肉片、内臓。哭く人、嗤う人、怒る人。散々見てきた。
***
7、8分経っただろうか。私は《元の私》に戻った。そして、戦争は────終わっていた。私達、軍の勝利だった。
私の周りは地獄のような光景だった。誰も、生きてはいなかったのだから。皆、《私》が殺した。同じ部隊の兵士や、顔見知りの兵士がピクリとも動かない。意思は違えど、《私》がやったことに違いはない。
***
人殺し人形。
民衆の多くから、私達、人型人形は言われるようになった。人殺しを忌むのではなく、人型人形の存在を忌むことで、そんな名前がついた。
────今でも夢を見る。私が殺した人達を、あの光景を。そして、行方不明になった、2人の人型人形のことを。決して、私は離れられない。この戦争からは、ずっと────。