すでに飼い主は死んでいたにゃ
「はーっはっはっは!ついに、ついにこの日がキタァァァア!!!!にゃ。」
猫は、100年生きると猫又になると言う。
大好きな加奈子!
20年、共に暮らしたあの日々は、最高だった。
猫又になる資格を得てからと言うもの、もう、加奈子といっしょに楽しく過ごすことしか考えてなかった。
体を作り変えるため、しばらく人里を離れなければならないとはいえ、妖怪になればまた加奈子といっしょに暮らせる!
おしゃべりもできる!
ひと時とはいえ、加奈子と別れるのは辛かったけど、頑張った。
そして今日、遂に100年の時を経て、妖怪になったのにゃ!
「サァ、加奈子!私の愛を受け止めるのにゃあー!」
、、、あれ?
なんだココ。
確か、加奈子が住んでた辺りのはずにゃ。
建物が異様にでかい。
車の数も桁が違う。
なにこれ。
どうなってんの。
地面が全部石になってる。
「いや、ココは冷静に。妖怪になって色々な能力を手に入れたにゃ。落ち着いて、加奈子を探すにゃ。」
まずはその辺にいる野良犬か野良猫にでも、状況を、、、
野良猫?
なんか綺麗すぎて野良の動物がいる気がしなーい!
ペットを連れてる人すらいないぞ。
場所が悪いのかにゃ。
もう少し、外れた方に行こう。
そうすれば、どうにかなる!
高速移動して、少し住宅街の様な所へ来た。
うむ、最初からこう言うとこに来ればよかった。
あそこは、なんか異国の影響を受けてしまっているのかもしれないな。
「あー野良犬いたにゃ!」
「野良ちゃうわ」
とある家のかげに、犬の気配を感じた。犬や猫の情報網はなかなかのものだ。
「だって首輪してないにゃ」
「今時、散歩の時以外は、そうそう首輪とかせんやろ」
なるほど、柵で一面覆われた家なので、首輪を付けないのか。
しばらくみない間に、トーキョーも変わったなー。
「この辺に、加奈子って女の子は住んでるかにゃ?結構前だから、もう大人になってると思うにゃ!」
「ほう。なん年くらい前や?俺もココに来て長いわけやないから、そこまで知らんけど、知り合いに聞いたるで。」
おお、お人好しの犬でよかった。
「100年前にゃ!」
「、、、アホか!!死んどるやろ!!」
「、、、えっ?」
、、、人間て、長生きなの。
普通は、私たちが先に死ぬの。
そんな、100年くらいで死んじゃうなんてことある?
「ったく、久しぶりにオモロイ妖怪が来たと思ったら、ただのアホか。よくまぁ、猫又になれたな。」
にゃにゃっ!?
「なぜ私が猫又だと、、、」
「尻尾が二本ある猫は普通は猫又や。」
呆れた様につぶやく犬。
「あ、確かに。」
「まさか、100年経って飼い主探しに来る猫又がいるとはなー。俺もそこそこ長く生きとるが、猫又ってもっと知識蓄えとるんやないんか。」
「偉そーに!何様にゃ!」
「俺もあんたと似た様なもんや。長く生きて妖怪になった狼や。」
イーヌーじゃなかったー!
「何で妖狼が、ぬくぬく飼われてるのにゃ。」
「別にええやん、、、俺かって、ぬくぬく生きていきたいやん、、、」
さて、それはともかくどうしたものか。
目的の人間、加奈子は死んでいる可能性が高い。
かといってすることがない。
せっかく妖怪になって帰ってきたのに、詰んだな。
「仕方にゃい。また誰か拾ってくれるのを待つかにゃ。」
「このご時世、野良犬も野良猫も、アッサリ捕まって殺されるから、気をつけなはれや。」
くそう、すでに飼い主のいる勝ち組め、、、見ていろ、最高にぬくぬくの家に住んで見返してやる!