☆赤ん坊0歳 獲物を狩る☆ その2
佐藤和正は、中小企業に勤める、ごく普通の一般人だ。
「ヒャッハァ!」
他に比べて特別非力というわけではないが、暴力というものを極度に嫌い、生まれてから死ぬまで一度も人を打ったことはなかった。
「や、やめっ」
「可愛い子ちゃんは逃がさないよぉ〜」
「キャァァ誰かァァァ」
だが、産まれ変われば人も案外変わる者で、
「(可愛い子ちゃんは俺の物ダァァァ!!!!!)」
『欲望カウント……満タサレマシタ……殲滅モード二移リマス』
「ブアホッ!?」
(間接的に)顔面ドロップキックを全力で食らわす。
…自分は指示だけ出して、高台で傍観するだけなのだから、タチが悪い。
…
……
そこからは、視力が乏しいせいで殆ど見えなかったが、生霊が無双かまして領主(?)を狙う夜盗どもを千切っては投げ千切っては投げ、しかしその領主の館は既に火が放たれていたらしく、激しく燃え盛り、プライドを捨て盗みに入ろうにも…たった二つしかモノを持ち出せず…ため息をつきながら、普通に盗賊から奪った金でミルクを買って眺める。
「(あぁ……取り敢えず次は家かな?)」
『了解』
ハーレム帝国建国まで先取りは長い、新たな目標を胸に和正は領主邸を後にした
…関係ないことだが、久しぶりに飲むミルクの味は甘かった。
◆◇◆◇◆ 次の日
「う、ん……ここは?」
とある少女が目を覚ました。
「そと………ッ!お父様!お母様!」
少女は暫くぼんやりとした後、微かに香る煙の匂いに飛び起き、背後を振り向いて焼け崩れた元住まいに絶句する。
そして、最愛の両親の名を必死に叫び、しかし決して返ってこない返事に涙を浮かべてーー
「サタニーヤ!」
「サタニーヤちゃん!」
一瞬、錯覚だと思った。
けれど、目の前から駆けてくる二つの大きな存在は少女の華奢で小さな体を優しく包みこんだのだ。
「お父様!お母ッ……えぇぇぇぇん!!」
確かに感じる温かい抱擁に緊張の糸が切れた、少女は人目も憚らず大声で泣いた。
…今はただこの温かさを噛み締めていたかった。
「(…残念ながら俺はロリには興味ねぇんだ、十年後に期待するぜ、嬢ちゃん。)」
『欲望カウント…正義のヒーロー……』
だから、まぁ…物陰から覗く二つの影に気づかなくても仕方ないだろう。
……
…
謎の夜盗に襲撃を受け一夜にして館を失った領主家族。彼らは、数年の時を経て屋敷を再建し、一つの大きな絵画を飾った。
絵画の題名は【救済の聖女】
領主とその妻は、生きることを諦めかけた炎の中、救済の手を取ったあの聖女に一生感謝の祈りを捧げたという。
少女の年齢は12歳。
はい、ロリですね。