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『旅立ちという名の無断欠勤』

「情けねぇ!」

ガツン

「情けねぇ!情けねぇ!」

ガツン ガツン ガツン!!


「情け――」

「いい加減止めなよギン」


震える拳を地面に打ち付けるギンは睨むように彼を見つめ、トルは咎めるように見つめ返した。


「何言ってやがる!?俺たちは()()何も出来なかったんだぞ!時間だけ稼いで、一人の犠牲も出さないまま、おめおめと―――!」

「犠牲を出すな。それが閣下の命令だ。隊長の判断は最適だったし、スキルもない僕達じゃ、あれが限界だった」

「それでも俺たちは騎士として閣下の為に死ぬ気で奴を食い止めるべきだった。例えそれがどれだけ無謀でも無茶でも剣を捧げた主に!それが騎士道だろう!」

「………騎士道なんて、騎士になって三日目に切り捨てた女の子の前で腐り落ちたよ」

「―――ッ!」


彼が最初に抱いたのは盲信だった。

武学に精通していたギンが騎士団に入隊をして、上司に進められた酒を飲んだ後の記憶がない。目が覚めた時に握られていたのは知らない女の首だった。

「(俺は何をして、この女は誰だ?)」夢と現実の境を歩いているようなぼんやりとしたギンの意識が抱く“戸惑い”それを読んだように現れた副団長のレモンドは言う「よくやった」それが絶望の始まりだった。

罪のない人間を斬りつけて女は犯す。嬉々として汚職にも手を染め、麻薬や奴隷を扱う国の闇組織と顔馴染みになった。心の底ではしてはいけないと分かっているのにどうしてこんなに楽しいのだろうか。その答えが出せないまま、己という存在が腐り堕ちて行く感覚に酔いしれていたギンはカズマサに槍で突かれ塩酸で皮膚を焼かれ謎ビームでヘドロのようにこびりついていた感情の全てを一度洗い流した時、目が覚めた。


そして、走馬灯のように罪の記憶が流れ落ちる。


『お願いです娘だけは!』


『いやぁ!お母さん』


『止めろ!』


『まだ子供だぞ!』


『ワシが何をしたと言うのだ!』


『ギャァァァァァ!!!』


『腕がぁぁ!』


『ごひゅ………この悪魔』


『痛い痛い痛い痛い!!!?』




あ、あぁ、ア、ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!



『まるで、地獄絵図だな。………お前ら取りあえず俺の家にこいよ』


彼女の言葉がなければ自殺していただろう。

カズマサはギン達に居場所を与え、食事を振る舞い、償いの機会を与えてやるから従えと言った。

それでも己の犯した罪の重圧に耐えきれず自害を図ろうとしたトルを殴り飛ばし、叱りつけたカズマサを見たときギンは涙が出ていた。

あぁ、この人なら自分達を正しく導いてくれるに違いない。そう確信したのだ。


それを頷けるように魔獣災害を退け、己の無力さに歯がゆく思わせられる一方、この方こそ理想の騎士だと益々高まる尊敬の念に飛び上がりそうになる

俺たちは閣下の影であり、閣下の手である。その事がなりより誇らしかった。


「………それでも俺たちには閣下が必要だ。いや俺やトルだけじゃない………スカーさんや俺たちみたいに従いたくもない正義に操られる社会のゴミどもを救えるのは閣下だけなんだ。自分の命を優先してもし、閣下に何かあったら俺は自分が許せねぇ」

「………じゃあどうする?」

「決まってる強くなるんだ!」


ギンは意気揚々と立ち上がり、トルはその答えを待っていたと苦笑を浮かべて歩きだした彼に続く。


二人の騎士は歩き出す。その方法が如何なるものか、どのような手段を用いるのかは分からない。だが、憧れるだけの怠惰は彼らに別れを告げた。

ギンはカズマサに心酔しています。カズマサを失う恐怖に耐えきれずカズマサや三郎のような人外の(スキル)を取得するため修行に出ました。



【スキル】とは


『生まれつき』と『努力型』の二種類あり、

生まれてから半年以内に目覚めるスキルを『生まれつき』

ある一定の条件を満たすことで取得するスキルを『努力型』と言われている。『生まれつき』のスキルは高火力で自然現象を無視した物が多く『努力型』は肩凝りにならなくなるだとか髪が艶々になるなど地味な物が多いが、三郎のように強大な力を持った物もある。しかし、取得条件が一切判明しておらず、スキルの取得は生涯に一度しか行えない為にその事に記された文献はない。途方もない時間と資金を用意するのもバカらしいと、誰も実験しようと思わなかったからと考えられるが………過去にはあったかもしれない。現在の王国では確認されていない。


過去にあった勇者君の先天的、後天的なスキル理論は法国内で伝わるだけで正しいかどうかは今一はっきりしていない。ただ法国では二種類ではなくスキルは三種類あると云うのが一般的。

ほぼ全ての人間が生涯を終えるまでに何らかのスキルを取得しているのは本当。勇者君が聞いた話によると年齢を重ねれば重ねるほどスキルの取得条件が緩くなっていくだとか。


国々でスキルについてはようような解釈や憶測が建てられており、『生まれつき』『努力型』が一番信じられていて一部では「精霊の加護による物だ。」とか言われている。


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