ヤンデレ系ヒロイン 三郎
「……馬鹿な」
喘ぐような声が漏れた。
銀色の毛並み、意味深な…特に意味のない、強いていうなら種族を表す複雑な紋章を懐に宿した銀狼。
『銀狼族』それは三郎の種族だ。
…そう、種族だ。それだけならまだ同種であると言い訳も出来た。
三郎の部族は魔獣の群れに滅ぼされたとはいえ、種が潰えたわけではない。
偶然、例えば今の三郎のようにカズマサに感銘を受け忠誠を誓ったのなら!
…このような光景はあり得なくないのだ。
ーーしかし、
「行くぜ!」
『ワオオン!!』
偽三郎に股がり…高速で駆け出す。風の抵抗をものともせず、豪気な笑みを浮かべ槍を構えたカズマサは、
「《ホロウザボルグ》!」
弾丸のように突きだされた槍を振るい廃材で出来た木人形を見事に粉砕してみせた。
それはかつて成功することのなかった。三郎とカズマサによる複合技。
「(…そんな分けない。そいつは偽物だ。我が主よ、どうか賢明なご判断を!)」
「(お?…うーん。じゃあさ、今から三郎が三郎だって証明してやるよ)」
『(わふん!)』
あんな事を言わなければよかった。
我が主と私の信頼関係があってこそのこの技をみせられては最早認めるしかないではないか。
…
……
…………
「……我が主よ。」
「忍者、分かったろこいつは三郎だって。」
うつむいた三郎は、コクりと力なく頷く。
「えぇ、その技をみせられては疑いようもありません。その銀狼はーー」
「私の敵です。」
ーー三郎はクナイを構えたーー