表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/139

怖いことが起きる

カズマサが拳を振りかぶる。

なんの構えもない素人のそれだ。


(これで手打ちというわけか。)


白い化身を待機させ、それを受ける。


ーーゴンッ


硬い拳に、重い一撃。成人に満たない少女が繰り出す威力ではない。

声すら出せず意識は暗転した。





気づくとそこは知らない場所だった。


切り出した跡の見受けられない、一面の石壁に仄かに灯す松明がかけてある。

鉄臭い匂いが鼻腔を刺激し、鼻をつまもうとして腕が動かないことに気づいた。

いや、腕だけではない。全身が糸の切れた人形のようにピクリともいうことを効かないのだ。


「ゥァ、ァァ……」


叫び声を上げるがまるで声にならず、とてつもない喉の渇きを感じた。


(み、水……)


視線を動かし周囲を探る。すると、声が掛かった。


「チッやっと目を覚ましたか。」


苛立ちを含んだ低い男の声。

視線を動かすが、腰のあたりまでしか映らない。


(まぁいい。先ずはこの状況を把握しなければ。)


「ァ、ァァ…き様、は…誰…だ、」


掠れ掠れの声を紡ぎ、言葉を繋げた。


「3日目にして第一声がそれか?」


やはり高圧的な言葉を浴びせる男に沸々と怒りの感情を宿らせながら、『3日』その言葉は興味を惹いた。


(3日…飲まず食わずでいたのか…確かに、この異常なまでの渇きは長い間断食していたとしか考えられない。)


「マァ…イィ、水ヲ……ミズ…よコせ」

「ふざけるな!」


その瞬間、腹部に衝撃が走り視界はぐるりと上を向く。


「ナ、ギザマ……ッゥ⁉︎」


意味が分からず目だけを動かして男を見る。

そこに映り込んだ男は、年の割に老け顔で煌びやかな宝石の衣装を身にまとうーー



「私に水を注いで来いだと?無礼な!私はゼイ・ドウラク!この街の領主にして伯爵家次期当主であるぞッ!」



…………は?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ