ある日の日記9回
九回
「「イヤイヤ!」」
やはりダメですねっ。
面倒臭くて、面倒臭くて。どうしようもありませんよ。
たかが穴っぽこのある、同じ人間じゃないか。
そんなくだらん生き物に、金を費やし、おべっかいを使い、時間と労力を奪い取られるなんて――
今の俺には必要ないことなんだ! と、地の石頭的意識君が、僕の空しさ(誰もチョコレートをくれなかった悲しさ)を慰めてくれるのです。
やはり持つべき友は、良い友達でありたいものですねっ。
空しい時、悲しい時、辛い時、苦しい時……
そんな時に、暖かい言葉をささやき、励ましてくれる友達が欲しいですね。
今の僕にとって一番の友達といえば、そのように女性不要を唱えてくれる石頭的意識君なんです。
彼さえ居てくれたら、何も、彼女がいなくても恥ずかしくありません。
人間関係が上手くいかず、一人ポツーンとしていても、チッとも気になりません。
二階の加工課連中からケタクソに、けなされていても、僕は堂々と彼等のド真ん中をまかり通ることが出来るのです。
アァ~、良きともよ! 良き話し相手よ!
どうか一生僕のそばから離れないでくださいねっ。
「「アットットッ」」
これじゃいけませんねっ。こんな石頭的意識君の言うことを聞いていた日にゃ~、彼女の一人も持てやしないよ。
皆と和気合い合いすることも出来ないよ。
これじゃ、ダメだ。今日のように悲しい時、慰めてくれることもあるので有難い友だなぁ~と思う時もあるが――
しかし反面、また彼女の一人も与えてくれないことに反発を感じてくれる時もあるのです。
「「アァ~、面倒くせ~!」」
とにかく何とか、この石頭的意識君をもっと融通の利くように、飼い慣らさなくちゃ~ねっ。
君達の中から、彼女を作るためにもねっ!
今日のように、バレンタインデーだというのに、一人もチョコレートをくれない時――
フッと悲しくなって、モタイ殿の面影を思い浮かべます。
あれから僕は、何度、彼女の面影を壁にぶつけて、血まみれにさせたことか!
苦しさを、悲しさを、辛さを忘れる為に――
僕は意識が朦朧とするまで、彼女の面影をグシャグシャになるほど、地べたに叩きつけました。
これでもか! これでもか――と、罵りながら、彼女の面影が「やめて! やめて!」と泣いて頼むのを、せつなく涙で濡らしながら
僕は無心になって叩きつけました。
すると、フッと気がついてみると、彼女の面影は、今にも息絶えんばかりにゼェゼェ言いながら、血みどろになっているではありませんか。
その時――その時、僕は咄嗟に彼女の面影をガシッと抱きすくめました。
やはり僕には、彼女の面影を愛していたんだ。彼女しかいないんだ――と。
声も出ないほどに、胸がしめつけられて泣き叫びました。
アァ~、どうして君は、君ではないのか?
アァ~、どうして彼女は自分のものではないのか?
それを涙で拭いながら、そっと彼女の面影を抱きあげて、トボトボ歩きだしました。
この可愛い顔を見ながら
この可愛い口もとを見ながら
この可愛い胸元を見ながら
この可愛い足を見ながら
僕はトボトボと、歩き始めました。
いつまで続くのか? 分かりません。
ただ、とにかく今の僕には彼女の面影が必要なんだと……
彼女のささやきが必要なんだと……
それだけが、意識の薄らいだ頭の中を駆け巡っていました。
グルグル、グルグルと、訳も分からず――
駆け巡っていました――――
しかしまだ、今の僕には、余力が余っているので、それだけが救いの種です。
何ちゅ~たって、まだ僕は若いんですからねっ。
何(?)……
「藤田さんは、ウチ達と同じくらいの年頃に見える? まだ若いんだもん。彼女なんて持つ必要ないわ。
それに今の所、ウチ達とゆう素晴らしいガールフレンドがいるんですもんねっ。
もうしばらく我慢しなさい! その内、きっと素敵な彼女に巡り会えるから!」
そう言ってくれる君達の応援の声に甘んじて、今日のところは、許してやります。
そして今日、僕と同じ悲しみを味あわされた男性達と、その悲しみを分け合って――
今日の所は、クソたれて寝るとすっべか!
でわオヤスミナサイ!
仕事のことについては、まだ言うべき時期ではありませんので、後日に据え置くことにします。
でわいよいよサヨウナラ。オヤスミなさい。
アァ~、今日は、君達が本当に来てくれて、実に楽しい一刻を過ごすことが出来ました。
これからもチョクチョクこうゆうことがあっても良いと思いますねっ!
九回




