ある日の日記7回
七回
もう今日は、本を読むことなど(勉強することなど)よしましょう。そしてこの話しを続けましょうね。
モタイ殿について、まだチョッピり気分が晴れませんので、一言、言わせてもらおうと思うのです。
やっぱり君は、この日記のことを知っていたんだよ!
今、ひょっこり気がついたことですが――
君の手紙の中で、僕の名前を言う時に、下に『様』をつけていましたね。
これは僕が、君のことを呼ぶ時に、『殿』を付けていたのと似ています。
普通なら、とても見知らぬ人に対して『様』なんてゆう字を当てやしませんよ。
(イヤ? 普通は『様』をつけますが、この時にはそう思いました。悪しからず)
やはり君は少しなりとも、この日記のことを知っているんです。
それなのにどうして君は、その事について何にも言ってくれなかったのか?……
それが腹立つのです。
この日記を続けさせる為に、ある人達からかたく口止めされたとは言え、これじゃとても納得がいきませんよ。
もう君がこの寮に来ていないということは分かりましたし、それでもある人達が来ているという妄想から脱却することが出来ません。
だから、たとえ君の口からその事の一部始終を聞かされたとしても、僕がこの日記を止めることはしないのです。
今までどうりに、彼女達に、語りかけていくつもりです。
それに、この日記を手紙文のようにして書くことは、今後、一生続けられていくものとなるでしょうし――
だからもう君から言われても、さしてさしつかえはないんです。
このことは、この日記を手にされている他の姉ちゃんにもお願いしたいことなんです。
読んでいるのなら読んでいても構わないのです。
ただ、先の日記でも訴えましたように、今の僕には、どうしてもこの日記を、誰かの手に渡っているとゆうことを、教えてもらわなければ、とてもいたたまれない苦境に立たされているのです。
誰が? 読んでいるとゆうことは知らなくてもいいのです。
ただ、誰かの手に渡り、読まれて、誰かと交流しているということを教えてもらったら、それで良いのです。
また、君が手紙を出した後、色々後悔したり、思い悩んだりしたことがあるようですねっ。
「ウチ、やっぱり藤田さんと結婚するわ。ウチの為にあの人は、ああなったんだもん。ウチに責任があるんだもん」などと――
でも、そのような気遣いは、して下さらなくても良いのです。
もう僕は、別に君と結婚出来るなどとは思ってやしませんし――
ただ、それだけの気遣う気持ちがあるのだったら、もう一度、もう少し、真心のある言葉でつづった手紙をいただきたいと思うのです。
それも、今まで起こっていたこと、感じていたこと、思っていたことなどを、ありのまま、そっくりに述べた文章がいただきたいのです。
それで、どうしてもダメだとゆうことを知ったなら、今度こそ僕は、キッパリと君のことは諦めるつもりです。
僕がここまで来ていながら、まだグジグジと君のことを思っていることは、何も欲が深くて――
しつこいからじゃないんです。
君の言動があまりにもいい加減で、中途半端だから、後味が悪くスッキリしないからなんです。
君にも分かってもらえるでしょう?……
何しろ僕は正真正銘、君のことを思い詰め、死の深淵までさ迷い歩いた経緯があるのですからねっ。
このような、あまりにも愛想の無い文章では、とても納得いき難いのは赤子にだって分かることですよ!
どうですか? もう一度チャンとした手紙を出す気になりましたか?
そんな気が起こらなかったら、君は女としても人間としても失格ですよ!
天女の仮面をかぶった醜い鬼が、君の正体でしょうね!
サァ~、どうですか? これでも出す気になれませんか?
アァ~、もうよして下さい。彼等の言うことを聞くのは!
「あんな奴の言うことなんか聞くことないよ!」
バカこけ、すかたん、鼻っぽん。
ワサン達の方が、よっぽど人情味がかけとっとバイ。
自分のことばっかい考えと~。ホンマもんの自己中心者たい!
君は確かに今は、彼氏に従属しとる身じゃけど、だからちゅ~て、人間としての常道を踏みにじっても良かとゆうコツはなかとバイ。
オハンがほんなもんの、真心バもっと~ゆうんじゃったら、何も人の情も分からんような奴の言を聞くことはなか!
何も俺は、ワサンと結婚したか! ちゅうこつを言よっとじゃなかとぞ!
ただもう少し、温かみのあ~手紙(返事)バもらいたかちゅうだけのこったい!
サァ~、どうか! まだ出す気は起こらんか!
アァ~ン、どがんしてもダメか!
アァ~、そうかい。もうオハンは女じゃなかぞ! 人間じゃなかぞ! クソしておっ死じまえ。
サァ~、どがんか? まだ出す気は起こらんか?
ウフフのフ~だ。
バカらしか! 勝手にセ~ちゅうんじゃ。
とにかく期待バしと~ゾ。
オハンの真心バ信じと~バイ!
七回




