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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
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ある日の日記4回


四回



 次に、新たにご登場いただいた彼女のことですが、午前中には


「まだあの人を好きなのよって、言ってやりなさいよ」などとゆう――

僕の気持ちをワクワクさせるような言葉を感じ取っていました。

だから仕事の方も順調にいっていて、気分も爽快だったのです。


 しかしその後、その言葉がまったく急転直下して、魔の囁きに変わってしまったのです。

アァ~、とてもこのような言葉は聞きたくなかった。もしそのような言葉を囁くことを知っていたら、僕は自分の耳を切り落としてでも、その言葉を聞きたくなかったのです。


 しかし……、しかし聞いてしまいました。

どうしようもなかったんです。


「あの人の言っていることは嘘よ! ただの偶然じゃないの。

ウチはあの人が気遣っていることなんかちっとも知らなかったわ!

それにウチがそのように藤田さんのことを好きだってこと……ウソよ! ただカワイイなぁーと思っただけよ。

別に付き合いたいなんて、思ってもいないわ。

藤田さんは前からウチが好きになっていたと思っていて、今度の恥態ちたいをさらけ出して、ダメになったと悲しんでいるけど。

別に今度のことがあって壊れたんじゃないわ!

最初から何もありはしなかったのよ。本当に自分勝手に受け止めてばかりしておかしな人ねっ!」ということなんです。


 アァ~、もう僕はとてもその場に立ちつくしていることさえ辛く思いました。

その言葉を聞かされた後、僕の身体は一瞬にして鉛と化し、手足は重たく、心は凝り固まって、まったく自分の意思の命令する通りに動かなくなってしまったのです。


 それで当然、その後の仕事っぷりは最悪化しました。まったく僕の仕事っぷりというものは、自分の心と一心同体のごとく現れます。

僕の気分が悪いと調子まで悪くなってしまうのです。

仕事もダメ、君のこともダメになり、僕はしばらくは何にも手につかなくなってしまいました。


 これからどうしたらいいんだろう? ……

彼女まで失ってしまったら、いよいよ僕の求めている女性ひとは居なくなる。

アァ~、これからどうして彼女を探したらいいんだろう……

俺に作れるだろうか? などと、急に自信喪失し、シヨボーンとなりました。


 もうダメだ。とてもいたたまれない。田舎へでも帰ろうか? などと思いつめました。

しかし僕もやはり浮気者ですね!

アッ、まだ一人居た。彼女なら~?

アァ~、これもダメか?

もう彼女は一度、僕をふっているからナァ~と、また溜め息が出ました。



 この頃は、寮の一部の連中がのぼせ上がって、執拗に僕に嫌がらせをしたり、罵ったりして、蹴落とそうとしています!


そんなことしたって俺様が参るわけはないとゆうのに、彼等はあたかも自分達が人間様であって、地べたに這いずり回っているミミズを棒でつつき、からかっているつもりで有頂天になっています。


 本当は、僕の方が彼等をミミズ同然のように見下し、棒でつついてからかっているとゆうのにねっ! ウフフッ。


アットットッ、これは冗談です。


 ただ彼等はあまりにも心が狭くて、僕がどれくらい大きい人間であるか? 自覚出来ないでいるのです。

自分の知ったことが真実無比のことだと思い上がって、俺を(人を)呑んでかかるような所があります。

そのように心(心の目)が幼稚なものですから。


 色々なめしいに象を観察させたところ、ある者は耳たぶに触れて、「象とは風呂敷みたいにただ広いものだ、それに間違いない!」と言い張り。

ある者は手足に触れて、「丸太ん棒みたいなものだ」と言い張ったり。

ある者は、シッポに触れて「ヒモみたいなものだ」と言い張ったり。

ある者は、鼻に触れて、「ホースみたいなものだ」と言い張ったりして――

とか言うふうに、自分が知ったものが、本当に間違いのない真実のものだと言い張っているのです。


 そのように彼等がたとえめくらの手で僕の巨像の体に触れたとして、僕自身の実像を知ることは出来ないのです。知ってはいないのです。


 彼等に心の目が開かれない限り、僕の実像を目の当たりに見ることは出来ないでしょうねッ。

イヤッ、見ない方が良いのです。

一旦見てしまったら、彼等のように気の小さい連中は、縮みあがって――

もしかしたらその恐怖に息絶えるかも分からないのです。


 だから、まだ当分は、自分の実像をひた隠しに、かくしておくことにしましょうか。

彼等が自然に目が開き、僕の実像を見ても、恐怖の為に息絶えないように――

当分は心の準備をさせようと思っています。


 何しろ彼等はいずれ僕の配下に従属する、可愛い部下になるのですからねっ。

アットットッ、これも冗談です。

もしそうでもなったらナァ―という、夢想に浸っていただけなんです。

生意気なことを言ってシユミ~ズじゃない、シュミませんデス!――ハイッ。


    四回






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