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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
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ある日の日記39回


    三十九回


 モタイ殿はうちの会社の中で一番僕のことを嫌いだと言っているそうだね。


「他の者は皆可愛いと言っているのに、モタイさんだけは『何が可愛いのよ! あんな人大嫌いよ。あんな人その辺にゴロゴロ居るわ』」などと、冷たい言葉を吐いているみたいですね。

 どうしてそこまで嫌われてしまったのか分かりませんが――

 それならそれでどうしようもないことですね。


「モタイがあんまりいい加減だから、今は藤田とケンカしているんだよ!」

「石田の方がよっぽど藤田の気持ちを分かっているよ! 石田と一緒になった方が良いよ」

その人曰く


「ウチ最初見た時からそのような人だと分かっていたわ。もしウチが代われるものなら代わりたいのに、あの人は何にも言ってくれないし……」という女性ひとも居られるみたいですね。

 もしそのような言葉を吐いてくださる女性ひとが居たら、それでも構わないのです。

 もう彼女には何にも望みが持てませんし、他の娘に思いを変えていくしかないのです。

 その娘は「もうウチも今年二十一歳だし、そろそろ落ち着かなければならないと思っているのよ。あの人とだったら……」などと言われているそうですし、僕も前々からモタイ殿の陰に隠れてついてくる彼女の面影を気にしてもいたのです。

 心は素直そうだし、優しそうだし、とにかく歯並びが綺麗で、顔立ちもまんざら悪くなさそうだし……。

 アァ~、何とか僕をつかんでくれる女性ひとが現れないものかなぁ~!

「また、他の娘にチョッカイ出してるわ!」などと言われたって、もうどうしようもないんですよ。

 まったく彼女からは何も聞くことができませんし、自分からも何もするすべがないのです。

 結局は諦めるしかありませんし――


だから「「オ~イ! 石田君」」

は、まったく見込みがなさそうだし、それでもう一方の女性ひとである彼女にチヨッピリ、チョッカイのささやきをしたしだいなんです。

 これはあくまで日記の中で叫んでいるものですから、実際現実に行動に移さなければ何も生まれてこないのです。

 それが何とも儚くて仕方がありません。


 川口の店に、前から僕の苦しんでいる姿を見ては


「代われるものならウチが代わってやりたい……!」と言っている娘が居ます。

 その娘が、今は

「どうしても一緒になりたい。去年の暮れにカレンダーをもらった時、心に決めたの……。それなのにあの人はチッとも来てくれないし……。もし居場所さえ分かれば、飛んでいくのに……」といって思いつめているそうですね。

 僕も同じ店で長いこと付き合ってきた手前、その娘のことはこのまま闇の中に葬り去るような酷い仕打ちはしたくないのです。

 ある程度の好意は持っていますが、所帯を持つっていう所までには考えがいかないのです。

 だから断ることになることは変わらないと思いますが、今は店にも行きませんし、どうしていいか分かりません。

 この頃は

「そんなにウチと一緒になるのがイヤだってゆうんだったら無理して進めることはないわ。ウチにもプライドってゆうものがあるんだから……」と、不貞腐れ気味になっているみたいですが、そうなっていたならその方が自分としても助かるのです。


    三十九回




しばらく掲載を休みます。

よいお年を!

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