ある日の日記37回
三十七回
奴は良い面ばかりしか見せようとしない。だから俺は嫌いなんだ。
たまにはまったく無様な醜態をさらけ出してみろ!
「手前にそれを実行するだけの勇気があるか! その恥ずかしさに耐えうる忍耐心があるか!」
これが俺と彼との決定的に違う点だろう。
彼はあまりにも事の真実を掘り下げようと――
いわば面白くなかったらパーッとはしゃぎ回って、そのウップン払いをしようとする。
それで確かに気はおさまるかもしれないが、しかしその裏には厳然として存在する悪循環の存在を突き止め、なくそうともしていないんだ。
だからそれがある限り、この先もずっと縁に触れてチョクチョク出てくることだろう。そして彼は相変わらず、またそのウップン払いにとはしゃぎ回ることしかしないだろう。
それも確かに人生を逞しく切り開いていく為の良策かもしれない。しかし僕にはとてもそのようなやり方では納得いかない。
確かに彼よりは時間がかかるだろうと思うが、やはりそのようなウップン払いをやらないでそれを現象させている根本原因を突き止め、解消させる為に、埋没していくことだろう。
たとえそれがはたから見て閉じこもっている――
縮こもっていると言われようと、本当はそれが一番早くその苦しみを解決できるものと思う。
だから今はとにかく埋没する。納得のゆくまで埋没する!
昨日、君の心を欺いたような日記を書いたということで、君達から散々コケにされてしまったが――
男であるある上役などは
「あんな奴等に何も頭を下げる事わないよ。勝手に読んでいるだけじゃないか!」――と。
「女に頭を下げるなんてみっともないよ!」
「一端自分の口から吐いた言葉だったら、たとえ間違っていることがあったとしても、決して謝るな。最後まで押し通せ! それが男らしいとゆうものさ。謝るんだったら最初から言うな!」――と。
それほどまで言われても、どうして僕が君達に頭を下げたか?
やはり悪いことをした時には悪いと認める素直さがあったからだ。
力を備えている男は、とにかく自分が悪いことをしても力でそれを押し通そうとする。それが男のエゴとゆうものなんだろうが、僕はそのようなことは大嫌いさ!
やはりこの法則(社会の法則、会社の法則、良心の法則等)を秩序正しく運行していくものは、そのような力ではなく、人の真心だと思うからだ。
確かに女性に対して悪しきふるまいをしても、彼女等はなんの抵抗も出来ない。男を打ち負かすだけの力がない。
しかしそのことの真実性は知っているはずだ。その女性的なやり方、心の配り――これが最後には秩序正しい法則を生み出す源泉となるはずだ。
力で抑えることは簡単なことさ! それをしないであくまで真心で、秩序だて統率していくことこそ最も困難な道であり、正しい道だと思う……と、僕はかように思っているのです。
しかしながら、僕にはまだそれを実行に移すだけの実力と自信がありませんから、ただの口先だけのことに終わるかもしれません。
しかし――、それでも今の僕はそのように思っているし、それに一歩でも近づけるように努力していきたいと思っています。
しかし彼等のエゴを打ち負かす為にはそれに勝る力を備えていかなければならないということで、自分は力をつけていくだろう。ただそれだけさ!
男も女も差別なく正しい法則に目覚めさせるようにすること――
それが僕に課せられた大業さ!
「そこが女に好かれる由縁なのか?」
「やっぱり来ている甲斐があるわね。昨夜は男の人のあれを見せてくれたし……!」
などと言っておられますが――
僕は君達が来てくれているということが、もう信じられなくなっているのです。
だから昨夜、不貞腐れてどうせやるんなら酒でも飲んで、堂々とやってやれとゆうことでしたのです。
今までさんざん君達から見つめられているとゆうことで恥ずかしさのあまり、あえて灯りを消してコソコソとやっていました。そんなにしては同じことをやるにしても、とても快感など感じられるものではなかったのです。
その欲求不満というものがきっと溜りに溜まっていたのでしよう。昨夜は思いっきり堂々とやれてスッキリしましたよ!
やはり男女が何(?)する時でも、襖一枚で隔てていて、その声が聞かれるのが恥ずかしいとか、その物音を聞かれるのが恥ずかしいとかいって、コソコソやっていても楽しめるものでわありませんしね。
やはりこれだけは思い切って堂々とやってこそ快楽の悦びが味わえるものと思いますし、それが人間に与えられた真実の喜びだと思うのです。
だからはた目を気にしてやることは正しいことじゃないし、もしそのようなことを強いられていたら取り除くようにすべきなのだ。そして思う存分楽しむことだね。
もし君達が来ていて実際拝見になられたのならどのようなご感想を受けられますか?
「あんなにやあらしい(可愛らしい)人でも、やっぱりやるのね。」
「うち達とまったく同じにやっているわ」
(そりゃ~どうゆうこっちゃ~。俺も一度君達のやっている姿を拝見したいものだと思います)
「今日は堂々としているわね。あんなに開けっ広げにやっていたんじゃ、とてもにくめないわ」
「藤田さんも立派なものを持っているわ」などとーー
最初の頃に味わったことと同じようなことを昨夜久々に味合わさせてもらいました。
アルコールが入っていて恥ずかしさはまったくありませんでした。とても……
やはり引け目を感じるでしょう?
男の雄々しい姿(何?)を見るとね!
しかしそのように引け目を感じることはないんですよ。君達にはそれに勝るとも劣らないような肉体美があるのですから。
これで五分と五分です。――ハイ。
三十七回




