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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
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ある日の日記34回

    三十四回


 次元の低い幸福に甘んじ合っていることが真の思いやりか――

 全体の幸福境涯構築の為に敢然として挑んで行くことが真の思いやりか?――

 いづれその結論は出てくることなんです。


 だから今はいくら彼等に叫んでみても聞き入れてもらえそうもないみたいだし――

 だから僕は何も言わないで旅立ちます。

 とわ言え、僕にそのような力量があるか? どうかは確信できない有り様ですから、今の所そのような大きなことはほざかないことにします。

 ただとにかく何かを求めてやれる所までやって行こうと思っています。

 それだけです――ハイ!


 この話は今日のところ、一応このくらいにして、この前の結婚生活の夢とやらへ舞い戻ってみましょうか?

 しかしネエ~。この先のことと言ったら、実に嫌らしいものになるんです。

 何しろ何(?)の話しまで出てくるんですからね。

 しかしそれもたまにこうして打ち砕けて話してみれば、決してイヤらしく聞こえてこないでしょう?


 僕がこのような話題で何のイヤらしさも感ぜずに話し合った経験が川口の女性達ひとたちとあるのです。

 とにかく同性同士ならともかく、異性と話し合うとなると、そこにはどうしてものけられないベールとやらを取り除いてみれば、決してタブー視することもない話題だとゆうことがお分かりになることでしょう。


 実に楽しいんです。今までまったく違った生活様式の中をくぐってきて、性に対してもお互いに抵抗することや、恥じらうこと、いやらしがること……

 それら様々の障害物があります。

 しかしそれさえ取り除いてしまえば、本当に楽しくなごやかに話し合えることだと思います。


 とにかく異性のことを知り尽くしたいとゆう欲望は、人間(生き物)の根本欲望ですからねッ。

 その欲望がないとゆう人は、そりゃ~、ちと頭がおかしいのです。

 このように堅物で頭でっかちの僕でさえも毎夜夢の中でもうなされることですからね。仕方がありませんよ。

 実に人間というものは嫌らしい生き物ですね。

 あんなことするなんて……!

 イヤラチイ~~!

 でも勇気を持ってお話ししていくことにしましょう。


 君達(女性)は幾つの時に何(?)の経験を覚えましたか? どのようにしてやっているのですか? これが男である僕にとってはいっちバ~~ン興味のあることですが……

 アァ~、全然話が違いましたね。

 この前の続きの話しをするはずだったんですね。

 どうもスンズレイしました。


 しかしどうも中途の話しはオモシロクなさそうなんです。

 でもとにかく続けましょうか。


 二人の新住居のある所から1km離れたある賑やかな街の一角に、その車(列車)は到着しました。

 いよいよ待ちに待ったご両人の対面とあいなったのです。

 オムコさんはあまりの感激にションベンチビリチビリ漏らしながら、早くお嫁さんの素晴らしい晴れ姿を見ようと首を長々として改札口にしがみついているのです。

 お嫁さんはまた相も変わらず二人は似たもの同士で、小便をチビリながら、恥じらい初々しく出てきました。

「オ~~、あれが僕のお嫁さんか!」と、大声で叫びながら、お嫁さんの隣を歩いているオバチャンにしがみついたのです。

 そのオバチャンは入れ歯をフガフガさせて「アンハ、アニフンライ、ホノヒチハイガ!」(あんた、何すんだい! この気違いが)などと、仰天しながら、彼のしがみついてくる手をほどこうとします。

 しかしその抵抗する態度がまた彼にはいじらしく思われて、もっと強く抱きしめ、頬や額や鼻っ先のありとあらゆる所にキッスの雨です。


 アァ~、もうバカバカしいや~。

 こんなこと書いて、一人で吹き出しているなんて、本当に気違いじゃなかろうかにヤイ~~と思います。

 君達もビックリしたでしょう。読み返していると、つい吹き出して笑ってしまうのです。

 実に恥ずかしい醜態をお見せしてしまいましたね。

 恥ずかし、恥ずかし、恥ずかし。


 お嫁さんわと言えば、彼の声はすれども、いっこうに彼の身体をつかまえる手応えを得られず、両手を宙に浮かせ、あちらこちらとフラフラしています。

 実にそそっかしい彼氏ですね!

 やはりお婿さんをもらうんだったら、もっと目が良くて(心の目も同様)初対面の時にもチャンと自分を見分けられる人であってもらいたいものですね。

 このような喜劇はあくまで文字の中で楽しむものなんです。

 だから決して君達は真似するんじゃありませんよ!


「そんなこと分かっと~~くさい! 早く先を続けろ!」と言うのですか?


 それから小一時間も経ってからでしょうか。

 駅員さんの心遣いでやっと二人はお互いを認め合うことにあいなったのです。

 もうオバチャンは泣き泣き地べたに寝そべって不貞腐れています。

「ホホマヘキヘ、ホンハ、ハヒオハクハンヘ、ハンホハヘニ、ヒヒヘヒハホハ、ハハハハイ」(ここまで来て、こんな恥をかくなんて、何の為に生きてきたのか分からない)と、鼻汁たれたれ大粒の涙を流しています。

 これが本当のザンゲのおすいかけとでも言うものでしょうか?

 初っぱなからこのように人のお祝福があったのだから、二人はきっと幸福になられることでしょう。

 アァ~、もう時間がありませんし、ひとまず先の筋書きを簡単に書いておくことにしましょうか。


 1km先の新居地ヘ行くまでに、街の雑踏の人々を自分達の結婚を祝福してくれている人々の行列と思い、ご両人は悠々とその列車の中を闊歩していくのです。

 そしてその新居はと言えば、長屋のアバラ屋、家財道具といえば、何一つありませんから、画用紙で絵を描いて、それで家の中を飾っています。

 おカズもありませんから、料理屋の店先に飾ってある作り物の一品料理を添えて、実際は梅干しとタクワンの食事。

 職業はバタ屋。

 後は何(?)の話ですが……

アァ~、実はこのことを一番楽しみにしているんです。

 早く話したい、早く話したい、早く話したい。


 バターを塗りつけたメロンちゃんをヘロヘロ食らいつくことですかねぇ~。

 はまぐりに醤油をかけて、食らいつくことでしょうか? (実にイヤらしか~~!)

 とにかく僕も早くそのような新婚生活の楽しみを味わってみたいものだと思います。

 今日はこれまで。

 でわオヤスミナサイ。


    三十四回




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