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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
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ある日の日記32回

    三十二回


 二月二十六日


 彼等を力、根性で負かす自信はある。

 しかし今は自分自身に負けている。ただそれだけさ!


 彼等には何も引け目を感じるものはない。

 ただ今は自分自身に対する責め苦にあえいでいる。

 自分自身との闘い!

 今の負けている自分自身に、何とかして打ち勝ちたい!

 こうも気分が滅入っては、今まで培ってきたという精神力までいちどきに氷解していまうような気がする。

 この沈んだ気持ちを何とかして陽気に充実したものにしたい。

 その為にこの信仰をしているのだが、今日のように時には気乗りしない時がある。やはり俺も人間なんだ。時には沈みたい時もあるさ!


 マァ~、今日のところは彼等の威圧に負けたことにしておこう。

 実際は何にも威圧など受けていないのだが――

 ただ睡眠不足で弱気になっていただけさ!

 グッスリ一眠りすれば、また根気も回復するさ!

 そしてまた闘争の明け暮れが始まる。


 本当にこのように自分を恐怖せしめる刺激があるということは、実に喜ばしいことだ。これによって自分は益々成長できるのだからね。



 今はまだスターの座とやらえ祭り上げられているみたいだネ。

 しかし今の僕にはまったくそのようなことに興味もないから喜びもなし!

 ただ……、ただ――

 アァ~、もうやめた! 彼女の好きなようにさせるさ!

 もう今日は書くのをよします。

 音楽を聴いて、心を癒しますです――ハイ!


 「せっかくモタイさんが田舎へ帰るってゆうのに、お兄ちゃんとして何か一言でも助言をしてやったら良いのにねっ」とおっしゃるのですか?

 何をしに行くのか知りませんが、もしそれが本当だとしたら、やはり何か一言でも言わなければならないでしょうか?

 まだお兄ちゃんは結婚するまでに、大分色々と準備しなければならないことがあるのです。

 だからまだ当分はそのような決断を下せない。

 後はお前の方だね。

 お前が付き合って良いと思ったんならそれが正しいことさ!

 僕に対することにおいては、やはりこの日記と、はたから見ていることによって、大分お前自身で美しい夢を見ているのだろう。

 しかし実際のお兄ちゃんはそんなに美しくもないし、大した男じゃないんだよ。

 実際付き合ったら、やはりそのようなくだらない欠点ばかり見えて、お前の抱いてるようなお兄ちゃんの姿なんて消えてしまうことだろうよ。


 だから夢は夢として、美しいままにとっておいても良いんじゃないか?

 後は彼氏と決意をくだした後であるけど――

 やはり彼にも実際付き合っているだけでは見えない欠点も一杯あると思う。それを見てやはり幻滅することも一杯あると思う。

 それで夢もチボウ(希望)もなくなり、お前まで不貞腐れてしまったんでは、本当にお前達二人の砦は壊されてしまうことになるんだよ!


 前にも言ったように、たとえ旦那さんが悪いふるまいをしていても、それをそっと見て見ぬふりをし、暖かく受け流すことだね。

 そして自分が誠意を持って常に愛情を示していたら、旦那さんもいつかは心を入れ替えて、お前の愛情に応えるようになると思う。


 お前の家庭を良くするも否も、決して旦那さんの手で築かれるものじゃないんだよ。

 お前自身がキチンと旦那さんの急所を掴んで良い方へ良い方へ、導いて行くことでね!

 どのような相手とでも自分さえ愛情を示していれば、必ず良い家庭を築いていけると思う。

 良くするも悪くするも、全てお前の(女性側の)手にかかっているんだよ。


 だから……、ねえ~。

 今のようにオツムの弱かったんじゃ、とてもそのような重責は切り盛り出来そうもなさそうだね!

 今からでもいいから、もっともっと良書を愛読して心を豊かにすること……。

 オツムを鍛えること……。

 そうしたらきっとその重責も賄えないことはないと思うんだよ!

 だから自信を持て!

 そして精一杯彼に愛情を示せ!

 いつまでもお兄ちゃんの面影を間に挟んで愚痴ばかりこぼしていたんじや、決して良くなりはしないんだよ。


 マァ~、一旦、意を決して家庭に飛びこんだら、とてもお兄ちゃんの面影を振り返る余裕すらなくなるだろうと思うから、その点は心配ないと思う。


 とにかく、意を決して飛び込んでみることだね!

 自分が好きであったら、何も両親の否定に従うことはないんだよ。

 あくまで自分の家庭(これからの人生)は、自分の意思と決断で決めることだからね。


 マァ~、それだけにその後の責任はお前がシッカリと受けなければならない。

 両親の否定に反発してまで、決行することだからね。

 一緒になってみて、良くなったということを堂々と両親に言えるような良い家庭を築いていくように頑張ってくれ!

 お兄ちゃんも(これからも一生幻のお兄ちゃんという存在で通すと思うが)――

 陰ながら応援しているよ!


 でわ、お前の前途を祝して乾杯!


    三十二回





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